六角穴付きボルト(キャップボルト)とは?特徴・寸法・用途・選定ポイントをわかりやすく解説!

機械要素

機械設計で最もよく使われるボルトのひとつが、
六角穴付きボルト(キャップボルト)です。

装置フレーム、ブラケット、モーター固定、治具など、
ほとんどの機械で登場します。

この記事では、キャップボルトの特徴・利点・用途・選定時の注意点を、
初心者の方にもわかりやすく解説します。


スポンサーリンク

六角穴付きボルト(キャップボルト)とは?

六角穴付きボルトとは、
頭部の中央に六角形の穴(六角レンチ用)が空いたボルトのことです。

六角レンチ(またはヘキサゴンレンチ)を
差し込んで締め付ける構造になっています。

外側に出っ張る部分が少ないため、
限られたスペースでも確実に締め付けができるのが特徴です。


キャップボルトの主な特徴と利点

① 頭が小さく、省スペース設計に有利

六角穴付きボルトの頭は、六角ボルトに比べて外径が小さく高さが低いため、
狭い場所でも使いやすく、機械内部のコンパクトな設計に向いています。

② 強い締め付けが可能

六角穴の構造により、レンチがしっかり噛み合うため、
トルクを正確に伝えやすく、高い締結力を得られます。
このため、振動の多い装置や高精度を求める箇所でよく使われます。

③ 外観がすっきりして見た目が良い

頭が小さく、出っ張りが少ないため、外観を損ねないデザイン性も魅力の一つです。
装置カバーや見える部分の固定にも適しています。

④ レンチで上方向から締め付け可能

スパナやメガネレンチのように横から回す必要がなく、
上方向から六角レンチを差し込むだけで作業できるため、狭い組立空間に最適です。


⚙️ 主な用途

キャップボルトは、以下のような場面でよく使われます。

  • モーターや減速機の固定
  • 精密機械・治具の組立
  • アルミフレーム構造の接合部
  • 装置カバーやプレートの固定
  • ロボットや搬送装置など、振動がある箇所

強度・作業性・見た目のバランスが良く、
まさに「機械設計の定番ボルト」と言える存在です。


材質と表面処理の種類

材質特徴
SCM435(合金鋼)一般的な黒色のキャップボルト。強度が高く、標準仕様。
SUS304錆びにくく、食品機械や屋外装置に適する。
チタン・アルミ製軽量・耐食性に優れるが高価。

また、黒染め・ニッケルメッキ・亜鉛メッキなどの防錆処理も施されることがあります。
使用環境(湿度・水・薬品)によって選定することが大切です。


六角穴付きボルト(キャップボルト)の寸法をわかりやすく解説

頭径・高さ・六角穴サイズをわかりやすく解説

六角穴付きボルト(通称:キャップボルト)は、
機械設計や組立で最も使用頻度の高いボルトのひとつです。

コンパクトで見た目もスッキリしており、
限られたスペースでも確実に締め付けられるのが特徴です。

本記事では、設計に欠かせない寸法(頭の径・頭の高さ・六角穴の二面幅)について、
初心者でも理解できるように詳しく解説します。


よく使うキャップボルト寸法一覧

呼び径頭の径 D [mm]頭の高さ H [mm]六角穴幅 B [mm]
M35.532.5
M4743
M58.554
M61065
M81386
M1016108
M12181210
M14211412
M16241614
M20302017
M24362419
M30453022

① 頭の径(D)

キャップボルトの頭の径(D)は、ボルトの頭部分の外径を示します。
六角ボルトよりもコンパクトに設計されており、狭い場所での使用に適しています。

💡 ポイント

六角ボルトに比べて小径なので、周囲との干渉を避けたい部分に有効。
ただし、工具が入るスペースも確保する必要があります。


② 頭の高さ(H)

頭の高さ(H)は、ボルトの頭部分の厚みです。

キャップボルトは高トルクに耐えられるよう、
頭が厚めに設計されています。

💡 ポイント

頭が高い分、レンチがしっかり掛かりやすく強いトルクを伝えられる
出っ張りを減らしたいときは「低頭キャップボルト」を検討しましょう。


③ 六角穴の二面幅(レンチサイズ)

六角穴の「二面幅」は、レンチを差し込む部分の幅を示します。
この寸法が合っていないと、穴をナメたりボルトを破損する原因になります。

💡 ポイント

工具を奥までしっかり挿入して締め付けましょう。
斜めに差すと穴がつぶれやすくなります。
規格レンチを使うことで、トルク管理作業効率が向上します。


④ 設計での活用ポイント

干渉チェックを忘れずに

頭の径と高さを考慮して、部品間のクリアランスを確認しましょう。

工具スペースを確保する

六角レンチの挿入スペースが足りないと、実際の組立が難しくなります。

外観・スペース重視なら低頭タイプを選ぶ

出っ張りを抑えたい設計では、低頭キャップボルトが便利です。


六角穴付きボルト(キャップボルト)の寸法は、
「頭の径」・「頭の高さ」・「六角穴の二面幅」の3つが基本です。

これらを理解しておくことで、

  • 干渉のない設計
  • 作業性の高い組立構造
  • 信頼性の高い締結部

を実現することができます。

はじめ
はじめ

小さなボルト1本でも、設計精度と組立品質に大きな差が出ます。
寸法表を活用し、最適なキャップボルトを選定しましょう。


スポンサーリンク

キャップボルト選定のポイント

① 強度区分を確認する

キャップボルトには「強度区分(例:12.9級)」があり、
数値が大きいほど高強度です。
一般的には、機械設計では12.9級がよく使用されます。

② 長さの指定方法

呼び径(例:M6)とねじ部長さ(L寸)で指定します。
例:「六角穴付きボルト M6×20」 → M6ねじで長さ20mm。

③使用工具との相性

六角穴サイズは規格化されていますが、
長年使ったレンチや安価な工具では、穴をナメる(潰す)こともあります。
精度の高いレンチの使用をおすすめします。


六角穴付きボルトの使用上の注意点

六角穴付きボルト(キャップボルト)はとても便利で、
見た目もスマートなボルトですが、
正しく扱わないとトラブルの原因になることがあります。

ここでは、使用時に気をつけたいポイントを3つ紹介します。


① 六角穴をナメやすい

キャップボルトは、六角レンチをボルト頭の穴に差し込んで締めます。
しかし、この六角穴は意外と「ナメやすい(角がつぶれやすい)」のが特徴です。

特に次のような場合は注意が必要です。

  • 工具(六角レンチ)の角が丸く摩耗している
  • 斜めに差し込んで力をかけている
  • 過度なトルクをかけている

穴がナメてしまうと、ボルトを外すのが非常に大変になります。

対策

工具の先端を定期的にチェックし、摩耗していたら早めに交換しましょう。
しっかり奥までまっすぐ差し込むことも大切です。


② 過剰トルクでの締め付けに注意

キャップボルトは強度が高い反面、締めすぎると破損する恐れがあります。
特に、M3~M6などの細いボルトでは「少し強く締めただけ」でねじ切れてしまうことも。

対策

トルクレンチを使って、推奨トルクで締め付けるのが理想です。
メーカーのカタログには、ねじサイズごとの適正トルク値が記載されています。
設計や組立時には、ぜひ確認しておきましょう。


③ 黒染めボルトは錆びやすい

キャップボルトには「黒染め(黒色酸化皮膜)」仕上げのものがよく使われます。
見た目が引き締まっていて人気ですが、実は錆びやすいという欠点があります。

屋外や湿度の高い場所で使うと、すぐに赤錆が出ることも。

対策

  • 防錆スプレーや油を塗布して保護する
  • もしくは、ステンレス製のキャップボルトを採用する

使用環境に応じて、素材や防錆処理を選ぶことが大切です。


キャップボルトは便利で強度も高く、機械設計には欠かせないねじですが、
「ナメ」「締めすぎ」「錆び」といったトラブルは意外と多いものです。

  • 工具の状態をチェックする
  • トルクを守る
  • 使用環境に応じた素材を選ぶ

この3点を意識するだけで、キャップボルトのトラブルを大幅に減らすことができます。
安全で確実な締結のために、ぜひ日常の設計・組立で意識してみてください。


スポンサーリンク

まとめ

項目内容
名称六角穴付きボルト(キャップボルト)
特徴頭が小さく、省スペース・高強度・美観◎
主な材質SCM435、SUS304など
用途モーター固定・フレーム・治具など
注意点過剰トルクや工具摩耗に注意

六角穴付きボルトは、機械設計に欠かせない基本部品です。
「省スペース・高強度・見た目の良さ」を両立できるため、
どんな設計者でも必ず使う機会があります。

設計の初期段階で「どこにキャップボルトを使うか」を意識しておくと、
組立性や保守性の高い設計が実現できます。



はじめ
はじめ

ボルトやナット、軸受け、ギアといった
基本的な要素部品の機能と選び方を
詳しく紹介します。

コメント

タイトルとURLをコピーしました