【作成方法】エア回路図の基礎と読解【読む力】

動力選定

機械設計において、空圧機器の適切な制御や動作の理解には、エア回路図の読解と作成が欠かせません。
空圧回路図は、コンプレッサーからエアシリンダーに至るまでの空気の流れを示し、どのバルブがどのように動作するかを明確にするための設計図です。

本記事では、空圧回路図の基本記号や回路の種類、設計のポイントについて詳しく解説します。


エア回路図とは?

エア回路図とは、圧縮空気を利用する機械や設備の動作を表現した図面です。
電気回路図と同様に、空圧機器の接続や動作の流れを視覚的に理解できるように設計されており、主に次のような用途で使用されます。

設備の設計・組立:空圧機器をどのように接続するかを明示
メンテナンス:トラブル発生時の原因特定や修理の際に活用
動作のシミュレーション:エアシリンダーやバルブの動きを事前に検討


エア回路図の基本記号

エア回路図には、以下のような代表的な記号が使用されます。

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エア供給

記号名称説明
コンプレッサー圧縮空気を供給する装置
3点セット「エアフィルタ」「レギュレーター」「ルブリケータ」の3つの装置を組み合わせたもの
エアフィルター空気中の異物を除去
レギュレーター空気圧を一定に調整
ルブリケータ潤滑油を自動的に供給
ミストセパレータエアフィルターで除去しきれない
水分や微細なゴミ、油分などを除去する
圧力計エア圧力を測定するゲージ
タンク圧縮空気を一時的に蓄えるための装置
増圧弁供給される圧縮空気の圧力をさらに高める装置
圧力スイッチ設定圧力になった時に信号を出力させる装置
ロータリージョイント固定された配管から回転する機械に空気を供給する継手

アクチュエータ(動作部品)

記号名称説明
単動シリンダー片側のみ空気圧で動作し、戻りはスプリング
複動シリンダー両方向に空気圧を供給し、前後運動を行う
ロータリーアクチュエーター回転動作ができるアクチュエータ
アチャックエアシリンダーの圧力を利用して、爪を開閉させることで物体を掴む(ホールド)または解放する(アンロック)

電磁弁(ソレノイドバルブ)

記号名称説明
2ポート弁(3/2弁)ONとOFFを切り替えるバルブ
3ポート弁(3/2弁)入口、出口、排気口を持つスイッチバルブ
5ポート弁(5/2弁)シリンダーの動作方向を切り替えるバルブ
電磁弁についての詳細記事はこちら

制御バルブ

記号名称説明
スピードコントローラー
メーターアウト
空気の流量を調整して動作速度を制御
(メーターアウト)
スピードコントローラー
メーターイン
空気の流量を調整して動作速度を制御
(メーターイン)
チェックバルブ
(逆止弁)
空気が一方向にしか流れないようにするバルブ
リリーフバル設定圧力を超えた圧縮空気を排出することで
システムの圧力を一定に保つバルブ
止め弁流体の流れを制御するバルブ
ボールバルブやグローブバルブ等

排気

記号名称説明
サイレンサ空圧機器からの排気音を低減する装置
エキゾーストクリーナー排気に含まれる油分やミストを除去する装置
残圧排気弁空気圧ラインの残圧を排気する手動切換弁
排気処理についての詳細記事はこちら

真空

記号名称説明
真空源空気を吸引して、装置内を低圧(真空)状態にする装置
真空エジェクタ圧縮空気を利用して真空を作り出す装置
真空パッド真空を利用して吸着する部品

空圧回路の種類

空圧回路にはさまざまな種類があり、用途に応じて適切な構成を選択することが重要です。

基本回路(単純なシリンダー駆動)

  • コンプレッサー → エアフィルターレギュレーターソレノイドバルブ(3/2弁または5/2弁)エアシリンダー
  • シンプルな構成で、1つのシリンダーを前後運動させるために使用される。

スピード制御回路

  • スピードコントローラーをシリンダーの排気側に設置し、動作速度を調整する回路。
  • 流量調整でシリンダーの動きを滑らかにし、急激な動作を防止できる。

クッション回路

  • シリンダーが終端に到達する直前で、衝撃を和らげるための回路
  • ショックアブソーバーやエアクッション機構を利用し、動作の安定性を向上させる。

空圧回路設計のポイント

エア漏れを防ぐ設計

  • 適切なシール材(Oリング・ガスケット)を使用し、エア漏れを防ぐ。
  • 配管の接続部にはワンタッチカプラを用いて、確実に接続する。
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エア供給の安定化

  • フィルターやレギュレーターを適切に配置し、異物の混入や圧力変動を防ぐ。
  • エア供給が不安定だと、シリンダーの動作がバラつくため注意。
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メンテナンス性を考慮する

  • 配管を整理し、識別しやすいようにタグを付ける
  • バルブやフィルターをメンテナンスしやすい位置に配置することで、作業の効率が向上。

シリンダーの動作速度と負荷を考慮

  • スピードコントローラーを適切に配置し、動作速度を調整。
  • 高速動作時の発熱に注意し、シリンダーの耐熱性能を確認する

エア回路図の作成にはSMCの「空気圧回路図作成プログラム」がオススメ!

機械設計においてエア回路図の作成は、空圧機器の適切な選定やシステムの効率的な構築に欠かせません。特に、空気圧機器メーカーであるSMCが提供する「空気圧回路図作成プログラム」は、簡単かつ効率的にエア回路図を作成できるフリーソフトとしてオススメです。


引用:SMC株式会社

SMCの「空気圧回路図作成プログラム」とは?

SMCの空気圧回路図作成プログラムは、エア回路図を簡単に作成できる無料ソフトです。
SMCの豊富な空圧機器をライブラリとして利用できるため、実際の部品を使ったリアルな回路設計が可能になります。

主な特徴

ドラッグ&ドロップで簡単作成
直感的な操作で回路図を素早く作成でき、初心者でも扱いやすい。

SMC製品のシンボルを標準装備
SMCのバルブ、シリンダー、フィルターなどの機器をそのまま配置できる。

配管の自動接続機能
配管ミスを防ぎながら、スムーズに回路を構築できる。

JPEG・DXF出力対応
作成した回路図をJPEGやDXFファイルとして保存でき、他の設計ツールとの連携も可能。

無料で利用可能!
エア回路図作成の専用ソフトが無料で使えるのは大きなメリット。


活用シーン

  • エアシリンダーの駆動回路設計
  • エアブロー回路の構築
  • 安全設計のための排気処理回路作成
  • メンテナンス時の回路解析

このソフトを活用することで、設計ミスの削減・作業効率の向上が期待できます。


エア回路図の作成には、SMCの「空気圧回路図作成プログラム」が非常に便利です。無料で利用できるため、空圧機器を使用する設計者にはぜひオススメのツールです。

「手書きやExcelで作図していたけど、もっと簡単に作りたい!」という方は、ぜひ一度試してみてください!

まとめ

空圧回路図は、エアシリンダーやバルブの動作を理解するために必須の設計ツールです。

基本記号を理解し、適切な回路を選定する
エア供給の安定化やシリンダーの動作速度を適切に制御する
メンテナンス性を考慮し、タグや配管整理を行う

空圧機器を活用することで、設備の自動化や省力化を効率的に実現できます。
設計の際には、空圧回路図を適切に作成し、安全で高効率な機械設計を目指しましょう!



はじめ
はじめ

モーターやアクチュエーターなど、機械の駆動源に関する基礎知識と選定基準をまとめています。

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