機械設計や自動化装置において、
エアシリンダーやバルブを
接続するために使用されるエアーチューブ。
その中でもよく使われるのが
ポリウレタン(PU)チューブとナイロン(PA)チューブです。
この記事では、それぞれの特性の違いや、
現場での適切な使い分け方法について解説します。
ポリウレタンチューブ(PUチューブ)の特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 柔軟性 | 非常に柔らかく、曲げやすい |
| 曲げ半径 | 小さく、狭い場所でも配管可能 |
| 耐圧性 | 標準的な耐圧性(0.8〜1.0 MPa) |
| 耐摩耗性 | 比較的低め |
| 耐熱性 | やや低め(常用温度:〜60℃程度) |
| 色展開 | 豊富で識別しやすい |
ポリウレタンチューブのメリット
ポリウレタンチューブデメリット
向いている用途
ナイロンチューブ(PAチューブ)の特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 硬さ | やや硬く、しっかりしている |
| 曲げ半径 | 大きめ(曲げにくい) |
| 耐圧性 | 高い(〜2.0 MPa以上も可能) |
| 耐摩耗性 | 高い(摩耗しにくい) |
| 耐熱性 | 高め(常用温度:〜80℃) |
| 寿命 | 長く、劣化しにくい |
ナイロンチューブのメリット
ナイロンチューブのデメリット
向いている用途
特性比較一覧表
| 項目 | ポリウレタンチューブ | ナイロンチューブ |
|---|---|---|
| 柔軟性 | ◎ 非常に柔らかい | △ やや硬い |
| 耐圧性 | ○ 標準 | ◎ 高耐圧 |
| 耐熱性 | △ やや弱い | ○ 高め |
| 耐摩耗性 | △ 低め | ◎ 高い |
| 配管作業性 | ◎ 取り回し良好 | △ 固めで作業性は低い |
| コスト | ◎ 安価 | △ やや高い |
| 向いている場所 | 可動部・狭所配管 | 長距離・高圧・固定配管 |
実際の使い分け例
📌 可動部(例:ロボットアーム、スライドユニット)
👉 柔軟性が求められるため、ポリウレタンチューブを使用
📌 エア供給の幹線(例:コンプレッサから装置まで)
👉 長距離かつ耐圧が必要なので、ナイロンチューブが適する
📌 高温環境(例:ヒーター付近)
👉 ナイロンチューブの方が耐熱性に優れていて安心
📌 配管ミスを防ぎたいとき(例:複数ライン)
👉 色分けしやすいポリウレタンチューブが便利
よくあるトラブルと対策
| トラブル例 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| チューブが折れる・割れる | 曲げ半径超過や経年劣化 | 柔軟なPUに変更 適正曲げ配管 |
| エア漏れが発生 | チューブ接続不良 | チューブカット面の確認 継手再挿入 |
| 熱でチューブが変形 | 耐熱不足 | ナイロンチューブに切替 |
ポリウレタン・ナイロン以外の材質の特徴と使い分け
エア配管における主流チューブは
「ポリウレタン(PU)」と「ナイロン(PA)」ですが、
実はそれ以外にも特定の用途や環境に適した材質のエアーチューブが存在します。
本項では、ポリエチレン(PE)チューブ、
フッ素樹脂(PTFE・PFA)チューブ、ソフトPVCチューブなどの
特徴と使い分けについて解説します。
ポリエチレン(PE)チューブの特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 硬さ | ナイロンより柔らかめだがPUより硬め |
| 耐薬品性 | ○(酸・アルカリに比較的強い) |
| 重量 | 非常に軽量 |
| 耐熱性 | △(60℃程度) |
| 透明度 | 半透明(内容物が見える) |
ポリエチレンチューブのメリット
ポリエチレンチューブのデメリット
向いている用途
フッ素樹脂チューブ(PTFE・PFA)の特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 耐薬品性 | ◎(ほぼすべての薬品に耐える) |
| 耐熱性 | ◎(200℃以上にも耐える) |
| 滑り性 | ◎(内部抵抗が非常に小さい) |
| 硬さ | 非常に硬く、取り回しにくい |
| 色 | 乳白透明〜半透明が多い |
フッ素樹脂チューブのメリット
フッ素樹脂チューブのデメリット
向いている用途
ソフトPVC(塩化ビニル)チューブの特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 柔軟性 | ◎ 非常に柔らかい |
| 透明性 | ◎ 内容物がよく見える |
| 耐圧性 | △ あまり高くない |
| 耐熱性 | △(60〜70℃程度) |
| コスト | ◎ 非常に安価 |
ソフトPVCチューブのメリット
ソフトPVCチューブのデメリット
向いている用途
シリコンチューブの特徴(エア用としては特殊)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 柔軟性 | ◎ 極めて柔らかい |
| 耐熱性 | ◎(200℃前後まで可) |
| 無毒性 | ◎ 食品・医療用途で多用 |
| 耐圧性 | △ 非常に低い(圧縮空気には不向き) |
シリコンチューブのメリット
シリコンチューブのデメリット
向いている用途
チューブ材質別まとめ表
| 材質 | 柔軟性 | 耐圧性 | 耐熱性 | 耐薬品性 | コスト | 用途例 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ポリエチレン (PE) | ○ | △ | △ | ○ | ◎ | 軽量ライン 簡易薬品配管 |
| フッ素樹脂(PTFE/PFA) | × | ◎ | ◎ | ◎ | × | 高温・薬品 クリーンルーム |
| ソフトPVC | ◎ | △ | △ | △ | ◎ | 低圧 一時配管 |
| シリコン | ◎ | × | ◎ | ○ | × | 医療 食品の低圧ライン |
ポリウレタンやナイロン以外のチューブにも、
それぞれ独自の長所と用途があります。
選定において重要なのは、
使用環境に応じて以下の要素を見極めることです。
耐熱性(高温になる場所か?)
耐薬品性(薬液やオイルが飛ぶか?)
柔軟性(取り回しが必要か?)
耐圧性(高圧の空気を使うか?)
安全性や衛生性(食品・医療機器か?)

これらのポイントを押さえることで、
チューブの破損やエア漏れなどのトラブルを未然に防ぐことができます。
まとめ
エアーチューブの選定では、「柔軟性」を重視するならポリウレタンチューブ、
「耐圧性・耐久性」を重視するならナイロンチューブを選ぶのが基本です。
配管場所の条件や使用環境に合わせて、
適材適所で使い分けることが装置トラブル防止のカギになります。
初心者の方も、この記事を参考にして正しいチューブ選定を行ってください!

モーターやアクチュエーターなど、
機械の駆動源に関する基礎知識と
選定基準をまとめています。




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