カムポジショナーとは、従来の機械式カムと
リミットスイッチ(または光電センサ)を
組み合わせた回転角度検出システムを電子的に実現する装置です。
これは、回転軸の角度を検出し、
設定された角度ごとに出力をON/OFFすることで、
様々な機械の動作タイミングを制御する役割を果たします。
特に食品・包装機械、プレス機、組立機械などでは、
カムポジショナーを用いた精密なタイミング制御が求められています。
カムポジショナーの基本構造と動作原理
カムポジショナーは、以下の3つの要素から構成されます。
入力検出器(レゾルバ、エンコーダ)
カムプログラム(角度設定値)
出力制御(リレー出力やPLC接続)
カムポジショナーの特徴
高精度な角度検出と制御
レゾルバやエンコーダを使用することで、
機械式カムに比べて圧倒的に高精度な角度検出と制御が可能になります。
特に、高速回転する機械でも正確な動作タイミングを実現できます。
設定の柔軟性とプログラム変更が容易
機械式カムは物理的に形状を変更しない限り制御タイミングを変えられませんが、
カムポジショナーはソフトウェア上で容易にON/OFFの角度を変更可能です。
メンテナンス性の向上
従来の機械式カムは、摩耗や経年劣化による交換が必要でしたが、
カムポジショナーは電子制御のため、摩耗がなく長寿命です。
多軸制御や同期制御が可能
複数の軸の動作を同期させることが可能で、
多軸制御が必要な装置でも容易に適用できます。
コンパクトで設置が容易
機械式カムは物理的なスペースを取りますが、
カムポジショナーは小型化が可能で、省スペース化に貢献します。
設定された角度ごとに出力をON/OFFする仕組み
機械設計において、回転運動を伴う装置では
「特定の角度で決まった動作をさせる」ことが求められます。
従来は、機械式のカムとリミットスイッチを組み合わせた仕組みで
制御していましたが、現在では「カムポジショナー」が活用されることが増えています。
カムポジショナーの最大の特徴は、回転軸の角度を検出し、
設定された角度ごとに出力をON/OFFする機能を持つことです。
本項では、この特徴について詳しく解説します。
カムポジショナーの基本原理
カムポジショナーは、回転軸の角度をリアルタイムで検出し、
事前に設定されたON/OFF角度で信号を出力する電子カムです。
入力:回転角度の検出
カムポジショナーは、角度センサと組み合わせて使用されます。
回転軸の角度情報を常に取得し、角度の変化を高精度に検出します。
制御:カムプログラムによるON/OFF角度の設定
カムポジショナーには、カムプログラム(ON/OFF角度設定値)を登録できます。
例えば、「回転角度が30°の位置でON、150°の位置でOFF」というように、
出力のタイミングを自由に設定可能です。
出力:設定した角度での信号制御
設定されたON/OFF角度に応じて、
PLC(シーケンサ)やソレノイド、モーター制御装置などに信号を送信し、
機械の動作を制御します。
カムポジショナーを使用するメリット
カムポジショナーを使用することで、機械の制御精度が向上し、
作業効率がアップします。以下のような利点があります。
機械式カムよりも柔軟な制御が可能
従来の機械式カムでは、ON/OFFのタイミングを変更するには
物理的なカムの形状を変更する必要がありました。
一方、カムポジショナーではプログラム上で角度設定を変更するだけで、
簡単に動作タイミングを変更できます。
高精度な角度検出が可能
エンコーダやレゾルバと組み合わせることで、
1°単位(場合によっては0.1°単位)での精密な角度制御が可能になります。
機械式カムでは実現できなかったミクロン単位の制御も可能です。
多点制御が可能
機械式カムは通常、1つの回転軸に対して1つのON/OFFポイントしか持てませんが、
カムポジショナーなら1つの回転軸に対して複数のON/OFFポイントを設定できます。
例えば、
「30°でON、60°でOFF、120°でON、180°でOFF」
といった複雑な制御も簡単に実現できます。
メンテナンスが容易
機械式カムは、長期間使用すると摩耗し、
動作精度が低下することがあります。
しかし、カムポジショナーは電子的に制御されるため、
摩耗の影響を受けず、メンテナンスがほぼ不要です。
カムポジショナーの活用例
カムポジショナーは、さまざまな産業で活用されています。
特に、以下のような回転運動に基づくタイミング制御が必要な機械に適しています。
カムポジショナーは、回転軸の角度をリアルタイムで検出し、
事前に設定されたON/OFF角度で信号を出力する制御装置です。
機械式カムと比較して、柔軟な設定が可能で、
高精度な制御ができるため、産業用機械に広く活用されています。
カムポジショナーの特徴まとめ
食品・包装機械やプレス機など、回転軸の動作制御が重要な場面では、
カムポジショナーを活用することで精密な動作が実現できます!
カムポジショナーを活用するうえで「1回転シャフト」を設定する重要性
カムポジショナーは、回転軸の角度を検出し、
設定された角度ごとに出力をON/OFFすることで、
精密なタイミング制御を実現する装置です。
その性能を最大限に活かすためには、
「1回転シャフト」の設定が重要になります。
本項では、1回転シャフトを設定する理由と、
そのメリットについて詳しく解説します。
1回転シャフトとは?
1回転シャフトとは、機械の動作サイクルを1回転(360°)の
基準で管理するために設定する回転軸のことです。
通常、カムポジショナーは回転軸の角度を基準にON/OFFを制御するため、
基準となる「1回転」の範囲を明確にすることが重要になります。
この設定を適切に行うことで、機械の動作サイクルを正確に制御でき、
ズレのない安定した動作が可能になります。
1回転シャフトを設定する重要性
1回転シャフトを適切に設定することで、以下のようなメリットがあります。
動作サイクルの基準が明確になる
機械の動作は、多くの場合「一定の周期」で繰り返されます。
このように、動作の基準を1回転(360°)に統一することで、
全体の動作タイミングが正確になり、ズレを防ぐことができます。
カムプログラムの設定がシンプルになる
カムポジショナーの「カムプログラム(ON/OFF角度)」を設定する際、
1回転シャフトを基準にすると、
角度の計算が簡単になり、設定ミスを減らすことができます。
🔍 例:充填機のカムプログラム
充填機で「120°でON、180°でOFF」という動作を設定するとします。
✅ 1回転(360°)を基準にする場合
❌ 1回転の基準が不明確な場合
このように、1回転を明確に定義することで、
安定した動作サイクルを実現できます。
エンコーダやレゾルバの基準を統一できる
カムポジショナーは、エンコーダやレゾルバを使って回転角度を測定しますが、
回転の基準が決まっていないと、
回転数をカウントする際に誤差が生じる可能性があります。
🔍例えば、
1回転シャフトを明確に定めることで、
エンコーダやレゾルバの基準を統一でき、
長期間の使用でも誤差が発生しにくくなります。
トラブルシューティングが容易になる
1回転シャフトを基準に設定すると、
機械が正常に動作しているかを確認する際にも役立ちます。
例えば、
✅ 正常な動作
→ 360°ごとに動作が繰り返される
❌ 異常な動作
→ 360°ごとにズレが生じている
(ON/OFFのタイミングが遅れるなど)
このように、基準が明確なため、
トラブルの原因を特定しやすくなるのです。
1回転シャフトを設定するメリット:まとめ
カムポジショナーを活用するうえで、「1回転シャフト」の設定は非常に重要です。
これを適切に設定することで、機械の動作を正確に制御し、安定した動作を実現できます。

カムポジショナーを最大限に活用するためには、
1回転シャフトの設定をしっかり行い、
回転角度を正確に管理することが重要です!
カムポジショナーの選定ポイント
1. 検出方式の選定(レゾルバ vs エンコーダ)
2. 出力信号の種類
リレー出力、オープンコレクタ、トライアック出力など、
制御機器との適合性を確認。
3. 設定方法の利便性
PCやタッチパネルから設定変更が可能なものを選ぶと、柔軟な調整が可能。
4. 動作環境への適合
高温・多湿・振動が多い環境では、耐環境性能が高い製品を選定。
まとめ
カムポジショナーは、機械式カムの機能を電子的に置き換え、
高精度で柔軟な動作制御を実現する装置です。
特に、食品・包装機械やプレス機、組立機械などにおいて、
精密なタイミング制御や多軸同期制御が求められる場面で大きな効果を発揮します。
カムポジショナーの導入により以下のメリットを享受できます。
▶ 制御精度の向上
▶ メンテナンスの負担軽減
▶ 設定変更の柔軟性向上
▶ 省スペース化
機械設計において、従来の機械式カムとカムポジショナーを
適切に使い分けることで、より効率的なシステムを構築できるでしょう。

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