CAD作業では、部品図・組立図・3Dモデル・PDF出力など、多くのファイルを扱います。
しかし、整理せずに保存を続けると、
「最新版のファイルがどれかわからない」
「過去の図面を探すのに時間がかかる」
「同じファイルが複数存在して混乱」
といった問題が発生します。
そこで重要なのが、フォルダ構成の整理と命名ルールの統一です。
これらを整えるだけで、作業効率やミス防止効果が大きく向上します。
CADファイル整理が重要な理由

最新版の特定が容易になる
命名ルールを決めておけば、ファイル名を見ただけで最新版がわかります。
過去データの流用がスムーズ
似た部品を再利用するとき、整理されていれば探す時間が大幅に短縮されます。
チーム作業でも混乱しない
他の設計者や製造部門とデータ共有する際、誰が見ても理解できる構造になります。
おすすめのフォルダ構成例
フォルダ構成は「案件 → 種別 → バージョン」という階層で整理するとわかりやすくなります。
プロジェクト名(または案件番号)
│
├─ 01_3Dモデル
│ ├─ 部品
│ └─ アセンブリ
│
├─ 02_2D図面
│ ├─ 部品図
│ └─ 組立図
│
├─ 03_PDF出力
│
├─ 04_参考資料
│
└─ 99_旧データ
フォルダ構成のポイント
- フォルダ名の先頭に番号を付けると並び順が固定される
- 「旧データ」は必ず分離して誤使用を防ぐ
- 「参考資料」はメーカー図面や仕様書を保存する場所に
命名ルールの最適化
命名ルールは「見ただけで内容がわかる」ことが大切です。
おすすめは以下の要素を組み合わせる方法です。
- 部品番号
- 部品名
- 日付
- バージョン
🔍 例)
- A101_ベースプレート_2025-08-14_v03
- B205_カバー_2025-08-14_v01
✅ 命名ルールのポイント
- 部品番号:設計管理表と一致させる
- 部品名:略称でもOK、誰が見てもわかる名前
- 日付:作成や更新日(YYYY-MM-DD形式がおすすめ)
- バージョン番号:v01、v02…と連番にする
ファイル名に日本語(全角文字)を使うメリットとデメリット
CADや設計の現場では、図面やモデルのファイル名に「ベースプレート」「フレーム組立図」など、日本語を使うことがあります。
しかし、便利な反面、トラブルの原因になることもあります。
ここでは、日本語(全角文字)をファイル名に使う場合のメリットとデメリットを整理し、適切な使い方を解説します。
日本語を使うメリット
✅ 直感的に内容がわかる
「A101_BasePlate」よりも「A101_ベースプレート」のほうが、パッと見て部品の種類が分かりやすいです。
特に、日本語が母国語のチームでは理解が早くなります。
✅ CAD初心者や事務スタッフにも優しい
部品番号だけでは理解しづらい場合、日本語名を入れておくと図面検索や確認がスムーズです。
✅ 図面と同じ名称で管理できる
図面のタイトル欄や仕様書に日本語が使われている場合、そのままファイル名に反映できるため、管理の整合性が保たれます。
日本語を使うデメリット
🚫 他システムや海外環境で文字化けする
- 古いソフトや一部のCADでは、日本語が「???」や「文字化け」として表示されることがあります。
- 海外の取引先や外国製ソフトでは、そもそも日本語に対応していない場合があります。
🚫 コマンドラインやスクリプト処理でエラーが出やすい
自動化スクリプトやプログラム処理を行う場合、日本語ファイル名が原因で動作しないことがあります。
🚫 URLやクラウド保存時に長くなる
クラウドやWeb共有では、日本語がURLエンコードされて長い文字列に変換され、リンクが見づらくなることがあります。
おすすめの運用方法
日本語+半角英数字を組み合わせる
完全に日本語だけではなく、部品番号や略称と組み合わせることで互換性を確保できます。
🔍 例)
- A101_ベースプレート
- B205_カバー
共有環境や納品先を考えて判断
- 国内だけで使う社内データ → 日本語OK
- 海外や外部システムに渡すデータ → 英数字のみ推奨
どうしても日本語が必要なら短めに
長い日本語ファイル名はトラブルのもと。5〜10文字以内に収めると安全性が高まります。
✅ メリット:わかりやすい、初心者に優しい、図面と一致
🚫 デメリット:文字化け、処理エラー、URL長文化
➤ 対策:日本語+英数字の組み合わせ、納品先によって使い分け、短めの名前

日本語ファイル名は便利ですが、CADや設計の現場では「互換性」も重要です。
社内運用と外部共有のバランスを取りながら、
ルールを決めて運用するとトラブルを防げます。
バージョン管理のコツ

上書き保存を避ける
新しい変更は必ず別ファイルとして保存し、過去バージョンを残します。
「最新版」と「旧版」を分ける
最新版は「作業中フォルダ」に置き、旧版は「99_旧データ」へ移動。
日付とバージョンの両方を記録
日付だけだと更新の順番がわかりにくい場合があるため、必ずv番号も入れる。
チーム作業での運用ポイント
- 命名ルールを共有文書にまとめる
- 誰でも同じルールで保存するよう徹底
- 共有サーバーやクラウドで一元管理(Google Drive、OneDrive、NASなど)
- 定期的な整理日を設ける(月1回など)
整理術を維持するための習慣
- 作業開始前にフォルダ構成を準備
- 保存時は必ずルールを意識
- 週末に1回、不要ファイルを整理
- 更新履歴をメモするファイルを同じフォルダに置く(Readme.txtなど)
まとめ
CAD作業の効率は、単に操作スキルだけでなくデータ整理の仕方にも大きく左右されます。
✔ フォルダ構成を階層化して、誰でも迷わないようにする
✔ 命名ルールを統一して、ファイル名だけで内容がわかるようにする
✔ バージョン管理を徹底して、最新版と旧版を明確に分ける
この3つを守れば、作業スピードは確実に上がり、データ紛失や誤使用のリスクも大幅に減らせます。
今日から整理ルールを導入し、ストレスのないCAD作業環境を作りましょう。
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