ものづくりにおいて大切なのは、「完成させること」だけではありません。
安全に・安定して・長く使える製品をつくるには、「壊れる前に問題を見つける」ことが重要です。
そこで活用されるのが、FMEA(エフ・エム・イー・エー)=故障モード影響解析という手法です。
この記事では、FMEAがなぜ必要なのかを、初心者にもやさしく解説します。
FMEAってなに?
FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)は、
「どこが、どう壊れる可能性があるか」を事前に洗い出して対策を立てるための方法です。
製品の設計や工程の中で、
✅ 故障のモード(どんな壊れ方をする?)
✅ 故障が起きたときの影響(何が困る?)
✅ 故障の原因(なぜ起きる?)
を分析し、リスクが高いものには先回りして対策します。
なぜFMEAが必要なの?
― 問題を防ぐ・信頼を守るためのリスク対策 ―
~FMEAの利点サイクル~

製品の設計や製造には、「ちゃんと動く」だけでなく、安全で・壊れにくく・信頼できることが求められます。
そのために行うのが FMEA(故障モード影響解析) という方法です。
本項では、FMEAがなぜ必要なのかを、3つの理由から初心者にもわかりやすく解説します。
理由①:問題を「起きる前に」防げる
FMEAの最大の目的は、「トラブルを事前に予測し、防ぐこと」です。
設計や製造の初期段階で、
- どこが壊れそうか?
- その時、どんな影響があるか?
- なぜ壊れるのか?
を洗い出し、対策を立てます。
たとえば…
🔧「ボルトがゆるんで部品が外れるかも」
→ 対策:ワッシャーを追加、締め付けトルクを管理
こうした事前の分析によって、リコールや手戻りのリスクを減らすことができます。
理由②:製品の信頼性が上がる
FMEAをきちんと実施することで、次のような効果があります。
✔ 製品の不具合が減る
✔ ユーザーの満足度が上がる
✔ ブランドや会社の信用が高まる
特に、自動車や医療機器などの業界では、安全性が重要なため、FMEAは必須とされています。
信頼できる製品は、長く使われ、評価も高まります。
理由③:チーム全体でリスクを共有できる
FMEAは、設計者だけがやるものではありません。
製造、品質保証、調達、サービスなど、
いろんな部門の人が一緒にリスクを洗い出すことで、
✔ 見落としが減る
✔ みんなが納得できる対策が立てられる
✔ 情報共有がスムーズに進む
など、チームで製品を良くする仕組みとしても効果的です。
なぜ必要なのか?ポイントは3つ
FMEA(故障モード影響解析)は、
「問題が起きてから直す」のではなく、「起きる前に防ぐ」ための大切な手法です。
- 不具合の予防ができる
- 製品の信頼性が高まる
- チーム全体でリスクを共有できる

初心者のうちからFMEAの考え方を学ぶことで、
将来、トラブルの少ない、安心して使える製品を作れるようになります!
FMEAでよく使う3つの評価項目とは?
― リスクを数値で見える化して、優先度を決めよう ―

FMEAは、製品や工程で起こりうる不具合を事前に洗い出し、防ぐための分析手法です。
では、どの不具合から対策すべきか?
それを判断するために使われるのが、3つの評価項目です。
評価項目①:発生度
「どのくらいの確率でその問題が起きそうか?」を評価します。
点数 | 意味 |
---|---|
1 | ほとんど起きない |
10 | 非常に高い確率で起きる |
🔍 例)
設計上の問題が頻繁に起きている部品 → 発生度は高い(例:9)
評価項目②:重大度
「その問題が起きたら、どれくらい重大な影響があるか?」を評価します。
点数 | 意味 |
---|---|
1 | ほとんど影響なし |
10 | 安全に関わる致命的な影響 |
🔍 例)
ブレーキが効かなくなる不具合 → 重大度は非常に高い(例:10)
評価項目③:検出度
「その問題を事前に見つけることがどれくらい難しいか?」を評価します。
点数 | 意味 |
---|---|
1 | ほぼ確実に検出できる |
10 | まったく検出できない可能性がある |
🔍 例)
目視検査では気づけない内部のひび割れ → 検出度は高い(例:8)
RPN(リスク優先数)で対策の優先順位を決める
この3つの点数を掛け合わせて、RPN(Risk Priority Number:リスク優先数)を求めます。
RPN = 発生度 × 重大度 × 検出度
RPNが大きいほど、優先的に対策すべきリスクということになります。
例)
故障モード | 発生度 | 重大度 | 検出度 | RPN |
---|---|---|---|---|
A | 8 | 9 | 7 | 504 |
B | 5 | 4 | 3 | 60 |
故障モードAはリスクが高いため、最優先で対策が必要です。
覚えておきたい3つの評価項目
FMEAでは、問題を感覚ではなく数値で評価し、
どこに手を打つべきかを明確にします。
🔁 発生度 … どれくらいの頻度で起きるか?
⚠️ 重大度 … 起きたときの影響の大きさ
👀 検出度 … 見つけやすさ(低いほど見つけにくい)

この3つを使ってRPNを計算し、リスクの優先順位をつけるのが、
FMEAの大きなポイントです。
まとめ:FMEAは「信頼を守る仕組み」
FMEAは、単なるチェックリストではありません。
「起きてから直す」のではなく、「起きる前に防ぐ」ための設計手法です。
ポイントをまとめると,,,
✔ 故障リスクを事前に見つけて対策できる
✔ 製品の品質・安全性・信頼性が高まる
✔ チーム全体で設計の抜け・漏れを防げる
初心者のうちからFMEAの考え方に触れておくことで、
将来「壊れない・後悔しない」設計ができるようになります!
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