機械設計におけるラダー図の概要と特徴とは?

動力選定

機械を設計する際、「どのように動力を制御するか?」を考えることは非常に重要です。その制御を担うのがラダー図です。
ラダー図を理解することで、センサーやスイッチの適切な配置を考えられ、無駄な部品を削減できます。

本記事では、ラダー図の基本から、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)との関係、機械制御における役割まで、初心者にもわかりやすく解説します。


ラダー図の概要と特徴

✅ ラダー図とは?

ラダー回路とは、PLCを使って機械の制御を行うためのプログラムの構成図です。
リレー回路を図式化したもの」と考えるとわかりやすいです。

この回路は、電気回路のリレーシーケンスを模したはしご(ラダー)のような形をしており、左側に電源、右側に出力を配置します。
図で表すと、以下のような構造になります。

✅ ラダー図の特徴

  1. 直感的にわかりやすい
    → シンプルなON/OFF制御の組み合わせで構成されている
  2. リレー回路をそのまま置き換えられる
    → 従来の電気制御と同じ考え方で設計できる
  3. PLCによって動作する
    → 機械に合わせた柔軟な制御が可能

PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)との関係

✅ PLCとは?

PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)は、リレー回路をソフトウェアで置き換えた制御装置です。
PLCにはラダー回路をプログラムとして入力し、センサーやスイッチの信号を受け取って、モーターやアクチュエータを制御します。

✅ PLCとラダー回路の関係

  • ラダー図=PLCの制御プログラム
  • PLCがラダー図の命令を実行し、機械を動かす
  • リレー回路の代わりに使われ、柔軟な制御が可能になる

例えば、PLCを使うことで、タイマーやカウンターを使った複雑な制御も簡単に実現できます。


機械の制御におけるラダー図の役割

ラダー回路は、機械を動かすための論理的な設計図の役割を果たします。
主に、以下のような制御に使用されます。

モーターのON/OFF制御
  → スイッチを押したらモーターが回り、離したら止まる

センサー信号を受けた動作の切り替え
  → 物体が通過したら、次の工程へ進む

インターロック(安全制御)
  → 条件が揃わないと機械が動かないようにする

カウンター制御
  → 一定回数動作したら自動停止する

タイマー制御
一定時間経過後に動作を開始する


ラダー回路の基本制御を事例でわかりやすく解説!

ラダー回路は、機械の動作をプログラムで制御する仕組みです。PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)を用いることで、スイッチやセンサーの信号に応じた動作が可能になります。今回は、初心者でもイメージしやすいように、具体的な事例を交えて解説します。


① モーターのON/OFF制御

スイッチを押したらモーターが回り、離したら止まる

事例:送風機のスイッチ制御

工場の換気扇を例に考えてみましょう。

スイッチを押すと換気扇が回り、離すと止まる → シンプルなモーメンタリ動作
スイッチを1回押すとON、もう1回押すとOFF自己保持回路を使った動作

🔍 ポイント!

  • ラダー回路では、スイッチの入力信号をモーターのON/OFFにつなげます。
  • 自己保持回路を使えば、スイッチを押し続けなくてもモーターが回り続けるようにできます。

② センサー信号を受けた動作の切り替え

物体が通過したら、次の工程へ進む

事例:コンベアの自動搬送

工場のベルトコンベアで、荷物がセンサーを通過したら次のラインへ送る仕組みを考えます。

光電センサーが荷物を検知すると、次のコンベアを動かす
荷物が一定の位置を超えたら、前のコンベアを停止する

🔍 ポイント!

  • センサー信号を条件にして動作を切り替えることで、自動化が可能になります。
  • センサーの種類(近接センサー、光電センサーなど)によって適用範囲が異なります。

③ インターロック(安全制御)

条件が揃わないと機械が動かないようにする

事例:安全扉が閉まらないと機械が動かない

工作機械やプレス機では、安全のために扉が開いていると作業ができない仕組みがよく使われます。

安全スイッチがON(扉が閉じている)でないと機械が動かない
緊急停止ボタンが押された場合は、動作をストップする

🔍 ポイント!

  • インターロックは、作業者の安全を守る重要な仕組み
  • 誤動作を防ぐため、複数の条件を組み合わせることが多い

④ カウンター制御

一定回数動作したら自動停止する

事例:部品加工の回数管理

工作機械で、同じ部品を100回加工したら自動で停止するようにします。

センサーがカウントを増やし、100回に達したら機械を停止
リセットボタンを押せば、カウントが0に戻り再スタート可能

🚀 ポイント!

  • カウンター機能を使えば、動作回数を管理し、無駄な動作を防げる
  • 回数が多い場合は、表示装置と連携して作業者に知らせることも可能

⑤ タイマー制御

一定時間経過後に動作を開始する

事例:塗装ラインの乾燥時間管理

塗装後の部品を乾燥させるために、5分後にヒーターをONするようにします。

塗装完了のボタンを押したら、5分間待機
5分後に自動で乾燥ヒーターがONになる

🔍 ポイント!

  • タイマー制御を使えば、時間を意識した工程管理が可能
  • 遅延動作、一定時間の動作、周期的な動作など、さまざまな制御ができる

ラダー回路を使うことで、機械の動作を柔軟に制御できます。

モーターのON/OFF制御 → 簡単なスイッチ動作
センサー信号による動作切り替え → 自動化の基本
インターロック(安全制御) → 作業者の安全確保
カウンター制御 → 回数管理による自動停止
タイマー制御 → 時間管理による自動動作

はじめ
はじめ

ラダー回路を理解することで、より効率的な機械設計が可能になります。ぜひ、身近な機械を例に考えながら、基本を学んでみてください!


まとめ

ラダー回路は、PLCを使って機械を制御するための回路図であり、リレー回路を図式化したものです。視覚的に分かりやすく、ON/OFFのシンプルな論理制御を基本としています。

PLCはラダー回路の命令を実行し、モーターやアクチュエータを動作させる役割を担います。これにより、柔軟かつ効率的な機械制御が可能になります。

ラダー回路を理解すると、機械設計において以下のメリットが得られます。
適切なセンサー配置やスイッチの選定ができる
無駄な部品を減らし、コストダウンにつながる
トラブル発生時に回路の問題を素早く特定できる

ラダー回路を習得することで、機械設計の幅が広がり、より効率的で安全な制御システムの構築が可能になります。まずは基本を理解し、実際の回路を読み解くところから始めてみましょう!


はじめ
はじめ

モーターやアクチュエーターなど、機械の駆動源に関する基礎知識と選定基準をまとめています。

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