機械設計において、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ) を使った電気制御は欠かせません。PLCを使用する際に重要なのが、パルス命令(PLS)とパルフ命令(PLF) です。
この記事では、ラダー図の基本命令である「パルス命令(PLS)」と「パルフ命令(PLF)」の違いや使い方 を初心者向けに解説します!
パルス命令(PLS)とは?
パルス(PLS)命令 とは、入力がOFFからONに変化した瞬間だけ、1スキャン(1回だけ)ONする命令 です。
1スキャンとは・・・
ラダー回路では、PLCが一定の周期(スキャンタイム)で回路を繰り返し実行します。
このとき、「1スキャン」とは、PLCが回路全体を1回処理する時間を指します。
🔹 簡単にいうと…
➡ 「スイッチが押された瞬間だけ反応する命令」 です。
PLS命令の特徴
✅ 信号がOFFからONに変わったときだけ1スキャンONになる
✅ 連続してONにならないので、誤作動を防げる
✅ 押しボタンの入力やカウントアップ動作などに使われる
PLS命令の具体的な用途
🔸 カウンターのカウントアップ
➡ 「ボタンを押したときに1回だけカウントする」
🔸 モーターの単発動作
➡ 「スイッチを押した瞬間だけモーターを1回転させる」
パルフ命令(PLF)とは?
パルフ(PLF)命令 とは、入力がONからOFFに変化した瞬間だけ、1スキャン(1回だけ)ONする命令 です。
1スキャンとは・・・
ラダー回路では、PLCが一定の周期(スキャンタイム)で回路を繰り返し実行します。
このとき、「1スキャン」とは、PLCが回路全体を1回処理する時間を指します。
🔹 簡単にいうと…
➡ 「スイッチを離した瞬間に反応する命令」 です。
🔹 PLF命令の特徴
✅ 信号がONからOFFに変わったときだけ1スキャンONになる
✅ スイッチを離したことを検出できる
✅ 動作終了時の処理やカウントダウン動作などに使われる
🔹 PLF命令の具体的な用途
🔸 センサーの通過完了信号
➡ 「センサーがワーク検知し、通り過ぎてセンサー信号がきれた瞬間に1スキャン」
🔸 モーター停止のトリガー
➡ 「スイッチを離した瞬間に停止処理をする」
パルス命令(PLS)とパルフ命令(PLF)の記号と事例
記号 | 名称 | 説明 |
---|---|---|
![]() | パルス命令 | 入力がOFFからONに変化した瞬間だけ、1スキャン(1回だけ)ONする命令 |
![]() | パルフ命令 | 入力がONからOFFに変化した瞬間だけ、1スキャン(1回だけ)ONする命令 |
パルス命令(PLS)のラダー図(例)

動作説明
🔍カウンターのカウントアップの例
- X01(スイッチ) を押した瞬間(OFF→ON)に、PLS M1が1スキャンだけONする。
- PLS M1(出力) は1スキャンのみONし、その後すぐOFFする。
- PLS M1(出力)が1スキャンする毎にY01(カウンター)が増加する。
- ボタンを押し続けても、追加のON信号は発生しない。
使用例
- カウンターの増加(1回押すごとにカウント)
- トリガー動作(単発の信号を送る)
パルフ命令(PLF)のラダー図(例)

動作説明
🔍コンベアのワーク検知の例
- X1(コンベアボタン)を押すとY1(コンベア)がONする。M1(自己保持)する。
- ワークがX2(センサー)を通過中(検知中)の間は何も起こらない。
- ワークが通過後、X2(センサー)が(ON→OFF)の瞬間にPLF M2が1スキャンだけONする。
- PLF M2の出力でコンベアの自己保持を解除し、Y1(コンベア)をOFFする。
- Y1(出力) は1スキャンのみONし、その後すぐOFFする。
使用例
- 動作の終了を検知(ボタンを離したときに処理を実行)
- リセット処理(ONが切れたときに値をクリアする)
- センサーのONからOFF時に信号出力
パルス命令(PLS)とパルフ命令(PLF)の違いを比較!
項目 | パルス命令(PLS) | パルフ命令(PLF) |
---|---|---|
信号のタイミング | OFF→ONの瞬間 | ON→OFFの瞬間 |
ONする時間 | 1スキャンのみ | 1スキャンのみ |
主な用途 | ボタンを押した瞬間の処理 | ボタンを離した瞬間の処理 |
例 | スイッチを押した瞬間にカウントアップ | スイッチを離した瞬間にカウントダウン |
まとめ
✅ パルス命令(PLS)は「入力がOFF→ONになる瞬間だけON」になる命令
✅ パルフ命令(PLF)は「入力がON→OFFになる瞬間だけON」になる命令
✅ どちらも1スキャン(1回)だけONになり、誤作動を防ぐのに役立つ
PLCのプログラムを組む際には、どのタイミングで信号を発生させたいのか を考え、PLSとPLFを使い分けることが重要 です!
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