【シザーリフト】油圧リフターの特徴と選定ポイント

動力選定

油圧リフターは、工場設備や建設機械、
さらには物流現場などで広く使用される昇降装置の一種です。

油圧を利用することで高い持ち上げ能力とスムーズな動作を実現し、
多様な用途に適した性能を提供します。

本記事では、油圧リフターの特徴と
選定時の重要なポイントについて解説します。


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油圧リフターの特徴

高い持ち上げ能力

油圧を利用することで、
小さな動力源でも大きな荷重を持ち上げることが可能です。

数百kgから数十トンまで対応できるため、
重量物の昇降が必要な場面で重宝されます。

スムーズな動作

油圧の圧力を制御することで、
負荷に応じた滑らかな昇降動作を実現します。

微調整が可能で、
作業精度が求められる現場にも適しています。

安全性の高さ

油圧リフターには、過負荷を防ぐための安全弁や、
急な下降を防止するロック機構が搭載されることが一般的です。

緊急時には圧力を解放して安全に停止させる仕組みもあります。

設置の柔軟性

コンパクトな設計が可能で、
スペースの限られた場所でも設置できます。

設置環境や用途に応じたカスタマイズが可能です。

耐久性

油圧システムは機械的な摩耗が少なく、
適切にメンテナンスを行えば長期間使用可能です。


油圧リフターの主な用途

  • 工場の生産ライン
    作業台の高さ調整や、製品の昇降搬送。
  • 物流現場
    荷物の積み下ろし作業での効率向上。
  • 建設現場
    重機や建材の昇降。
  • 自動車修理
    車両の持ち上げ。

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油圧リフターの選定ポイント

持ち上げ能力(定格荷重)

昇降させる最大荷重を超える余裕を持った仕様を選びます。

安全率として、
必要荷重の1.25〜1.5倍程度を見込むことが一般的です。

昇降高さ

作業内容に応じた最大昇降高さを確認します。

ストローク範囲が足りないと使用目的を果たせないため、
余裕を持った設計が必要です。

昇降速度

必要な作業効率に応じて、
油圧ポンプの能力や流量を検討します。

急ぎの作業が多い場合は高速モデルを選択。

リフトテーブルサイズ

昇降する物のサイズや形状に応じたリフトテーブルの寸法を選びます。

テーブルが小さすぎると荷物が安定しないため、
必要面積に加え、余裕を持った設計が重要です。

荷物の偏荷重が想定される場合は、
テーブルの強度や剛性にも注意します。

設置環境

設置場所のスペースや地盤の強度を確認。

屋外での使用の場合、
耐候性のある材料や防錆処理が施されたモデルが適しています。

電源の仕様

使用する油圧ポンプの電力供給に
適した電源(AC100V、200V、三相など)を確認。

耐久性とメンテナンス

使用頻度に応じた耐久性を考慮。

簡単に交換可能なシリンダーパーツや、
手軽なメンテナンスが可能な設計かどうかもポイントです。

安全機能

ロック機構や過負荷防止装置など、
安全性の高い製品を選ぶことが重要です。

コストパフォーマンス

初期費用だけでなく、
メンテナンスやランニングコストも考慮したトータルコストで比較します。


油圧リフター選定の注意点

使用頻度と運用条件の見極め

頻繁に使用する場合は耐久性重視、
たまに使用する場合はコスト重視で選定することが有効です。

特殊な環境

高温・低温や粉塵・水分の多い環境では、
適切なシール材や防錆加工が施された製品を選ぶ必要があります。

油圧ユニットの置き場の考慮

油圧リフターは、昇降動作に必要な圧力を供給するための油圧ユニットを伴います。このユニットの設置場所が不適切だと、以下の問題が発生する可能性があります。

振動や騒音の影響

油圧ユニットは動作中に振動や音が発生するため、
騒音対策が必要な場合、
専用の防振材やカバーを使用するか、設置場所を変更します。

メンテナンス性の低下

油圧ユニットは定期的な点検やオイル交換が必要です。

メンテナンス作業が容易に行える位置に設置することが重要です。

スペースの確保

設置スペースが十分に取れない場合、
適切なサイズのユニットを選定するか、
設計段階で置き場を確保しておく必要があります。

リフトテーブルの安定性

荷物が偏荷重になる場合や不安定な形状の場合は、
リフトテーブルの剛性やサイズを慎重に検討し、
事故や故障を防ぎます。

配線・配管の取り回し

油圧リフターを設置する際、
油圧ホースや電源ケーブルの取り回しが
安全で効率的であることを確認します。

動作中にホースが損傷しないよう、
固定具や保護材を適切に使用します。

昇降速度と作業効率

必要な昇降速度と作業効率に応じて
油圧ポンプの能力を検討します。

高速動作を求められる場合、
適切な油圧ポンプを選定することが重要です。

安全装置の搭載

緊急時の安全停止装置(油圧ロック、下降防止弁など)が
備わっているか確認します。

過負荷防止装置の有無も選定のポイントです。


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電動リフターとの違いと使い分けについて

近年では、油圧式から電動式への置き換えが進んでいます。

理由は、電動リフターの「制御性の高さ」と
「メンテナンス性の良さ」が向上しているためです。

従来、油圧リフターは「大きな力を出せる」ことから
多くの産業現場で使われてきましたが、
最近では以下のような理由で
電動リフターを採用するケースが増加しています。

  • インバータ制御やサーボ制御により、位置決め精度が飛躍的に向上
  • オイルを使わないクリーン設計で、食品・医療・電子機器分野にも対応
  • メンテナンス不要に近い構造で、ランニングコストを削減
  • IoT連携や自動化ライン対応など、制御の柔軟性が高い

このように、以前は「重い荷重は油圧」
「軽い荷重は電動」といった棲み分けが一般的でしたが、
現在では電動リフターでも数百kg以上の荷重を扱える高性能モデルが登場しています。

つまり、設計段階では「油圧が本当に必要か?」を再検討する時代に入っていると言えるでしょう。

油圧リフターと電動リフターについての記事はこちら

主なメーカー

メーカー名メーカーページCADダウンロード
株式会社メイキコウメーカーページはこちら2D 対応
株式会社マキテックメーカーページはこちら2D 対応
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まとめ

油圧リフターは、高い持ち上げ能力とスムーズな動作で、
機械設計における多くの場面で活躍します。

選定時には、用途や環境、作業条件をよく考慮し、
安全で効率的に運用できるモデルを選ぶことが大切です。

また、リフトテーブルサイズを適切に選ぶことで、
荷物の安定性や安全性が向上します。

さらに、適切なメンテナンスを行うことで、
油圧リフターの性能を長期間維持することが可能です。


はじめ
はじめ

モーターやアクチュエーターなど、
機械の駆動源に関する基礎知識と
選定基準をまとめています。

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