機械設計や製造現場では、高精度な寸法測定が求められる場面が多くあります。
特に、精度が0.01mm以下の測定が必要な場合には、ノギスではなくマイクロメーターを使用することが一般的です。
本記事では、マイクロメーターの基本構造・種類・選定ポイントについて詳しく解説します。
マイクロメーターとは?
マイクロメーターとは、高精度な長さ測定を行う測定工具で、測定精度が0.01mm~0.001mmレベルに及ぶものもあります。
ノギスと異なり、主に外径・内径・厚み・深さの測定に使用される測定具で、スピンドル(測定軸)を回転させて測定物を挟み込み、正確な寸法を測る仕組みです。
✅ 測定精度:±0.01mm(高精度モデルは±0.001mm)
✅ 測定範囲:0~25mm、25~50mm、50~75mm など(25mmごとに異なるモデルが存在)
マイクロメーターの種類と用途
外側マイクロメーター(外径測定用)
📌 用途:シャフト・ボルト・ワークの外径や厚みを測定
📌 特徴:最も一般的なマイクロメーター
✅ 測定精度:0.01mm~0.001mm
✅ 測定範囲:0~25mm、25~50mm、50~75mm など
👉 代表的なメーカー:ミツトヨ、シンワ測定、SK
内側マイクロメーター(内径測定用)
📌 用途:パイプや穴の内径測定
📌 特徴:3点支持方式や2点測定方式がある
✅ 測定範囲:5~30mm、30~50mm など
✅ 測定精度:0.01mm
👉 代表的なメーカー:ミツトヨ、TESA、マール
デプスマイクロメーター(深さ測定用)
📌 用途:溝や穴の深さ測定
📌 特徴:測定面がフラットで、高精度な深さ測定が可能
✅ 測定範囲:0~25mm、25~50mm など
✅ 測定精度:0.01mm
👉 代表的なメーカー:ミツトヨ、シンワ測定
マイクロメーターの選定ポイント
測定精度の要求を満たしているか?
一般的なマイクロメーターは0.01mm精度ですが、より高精度な0.001mm単位で測定できるものもあります。
✅ 通常の測定 → 0.01mm精度のモデル
✅ 高精度測定(公差±0.005mm以下) → 0.001mm精度のモデル
測定対象のサイズに適した測定範囲か?
マイクロメーターは、25mmごとに異なる測定範囲のモデルが用意されています。
✅ 0~25mmの部品 → 0~25mmタイプ
✅ 30mmのシャフト → 25~50mmタイプ
✅ 50mm以上の部品 → 50~75mmタイプ
測定環境に適しているか?(デジタル or アナログ)
✅ アナログマイクロメーター(目盛りを読んで測定)
- 電池不要
- 耐久性が高い
- 比較的安価
✅ デジタルマイクロメーター(LCD画面で数値を表示)
- 測定値をすぐに読み取れる
- 誤読を防ぐ
- データ転送機能があるモデルも
マイクロメーターの測定手順
- 測定面を清掃(ゴミや油がついていると誤差が発生)
- 測定対象物をスピンドルで挟む(軽く接触する程度)
- ラチェットストップを使って一定の力で測定(締めすぎない)
- 測定値を読み取る(アナログは目盛り、デジタルは画面表示)
ノギスとの比較:どんな場面でマイクロメーターを使うべきか?
項目 | ノギス | マイクロメーター |
---|---|---|
測定精度 | 0.05mm~0.02mm | 0.01mm~0.001mm |
測定方法 | スライド式 | スピンドル回転式 |
測定対象 | 一般的な部品の外径・内径 | 高精度が必要なシャフト・ベアリング |
電池 | アナログは不要、デジタルは必要 | アナログは不要、デジタルは必要 |
耐久性 | 比較的丈夫 | 繊細な構造なので注意が必要 |
✅ ノギスは汎用的な測定工具
✅ マイクロメーターは高精度な測定が必要な場合に使用
マイクロメーターのメーカー「ミツトヨ」
ミツトヨ(Mitutoyo)は、世界トップクラスの精密測定機器メーカーであり、特にマイクロメーターやノギスなどの測定工具で広く知られています。
本項では、ミツトヨのマイクロメーターの特徴や製品ラインナップ、選定ポイントについて詳しく解説します。
ミツトヨとは?
株式会社ミツトヨは、1934年に創業された日本の精密測定機器メーカーで、測定工具・計測機器の世界的なリーディングカンパニーです。
✅ 本社所在地:神奈川県川崎市
✅ 設立:1934年
✅ 事業内容:測定工具・計測機器の製造・販売
✅ 主な製品:マイクロメーター、ノギス、ダイヤルゲージ、CNC測定機
ミツトヨの測定工具は、世界中の航空・自動車・半導体・医療機器などの産業分野で使用されており、高精度・高品質な製品として広く認知されています。
ミツトヨのマイクロメーターの特徴
高精度・高耐久性
ミツトヨのマイクロメーターは、測定精度が0.001mm単位のものもあり、高精度な測定が可能です。
また、スピンドル(測定軸)やフレームの材質にこだわり、経年劣化が少なく耐久性が高い点も大きな特徴です。
✅ 測定精度:±0.002mm(高精度モデルでは±0.001mm)
✅ 耐久性:長期間使用しても精度が落ちにくい
デジタルモデルの充実
ミツトヨは、アナログマイクロメーターだけでなく、デジタルマイクロメーターも多数ラインナップしています。
✅ デジタル表示で読み取りミスがない
✅ クーラント耐性があり、水や油がかかる環境でも使用可能
✅ USB接続で測定データをPCに転送できるモデルもあり
豊富な種類と用途別モデル
ミツトヨは、一般的な外側マイクロメーターだけでなく、特殊用途向けのマイクロメーターも多数取り扱っています。
✅ 標準外側マイクロメーター(最も一般的なモデル)
✅ 内側マイクロメーター(穴の内径測定用)
✅ デプスマイクロメーター(深さ測定用)
✅ ホイールマイクロメーター(ギア歯厚測定用)
✅ レーザーマイクロメーター(非接触測定用)
代表的なミツトヨ製マイクロメーター
標準外側マイクロメーター(103シリーズ)
📌 特徴:最も一般的なアナログマイクロメーター
📌 測定範囲:0~25mm、25~50mm、50~75mm など
📌 測定精度:±0.002mm
✅ ラチェットストップ機構により一定の測定圧を保持
✅ 長年の使用でも精度が落ちにくい耐久性
👉 用途:シャフト・プレート・ボルトなどの外径測定に最適
デジタルマイクロメーター(293シリーズ)
📌 特徴:デジタル表示で簡単に測定値を読み取れる
📌 測定範囲:0~25mm、25~50mm など
📌 精度:±0.001mm(高精度タイプ)
✅ クーラントプルーフ(IP65防水規格)で耐環境性が高い
✅ USB出力対応でPCへデータ転送が可能
✅ ワンタッチゼロリセット機能搭載
👉 用途:工作機械や精密加工の現場での測定に最適
内側マイクロメーター(468シリーズ)
📌 特徴:パイプや穴の内径測定用
📌 測定範囲:5~30mm、30~50mm など
📌 精度:±0.005mm
✅ 3点支持方式で安定した測定が可能
✅ 小径部品の精密測定に最適
👉 用途:内径の公差管理、精密機械部品の測定に最適
ミツトヨ製マイクロメーターの選定ポイント
(1) 測定範囲を選ぶ
✔ 0~25mm → 小型部品用
✔ 25~50mm → 一般的な中型部品用
✔ 50~75mm以上 → 大型部品用
(2) 測定精度を確認
✔ ±0.01mm → 標準モデル
✔ ±0.002mm → 高精度モデル
✔ ±0.001mm → 超高精度モデル
(3) デジタル or アナログを選択
✔ アナログ → コストを抑えたい、耐久性を重視
✔ デジタル → 読み取りミス防止、データ転送が必要
✅ ミツトヨは世界トップレベルの測定機器メーカー
✅マイクロメーターの精度・耐久性に優れる
✅ デジタルタイプや特殊用途向けのマイクロメーターも豊富に展開している
✅ 測定範囲・精度・用途に応じて最適なモデルを選定することが重要
ミツトヨのマイクロメーターは、精密測定が必要な場面で確実な性能を発揮します。
機械設計や製造業において、信頼できる測定工具を選ぶならミツトヨ製品が最適な選択肢のひとつです!
まとめ
🔹 マイクロメーターが適している場面
✅ 高精度(0.01mm以下)の測定が必要な場合
✅ シャフト・ベアリング・ギアの測定を行う場合
✅ 内径・深さ・歯厚などの精密測定が必要な場合
🔹 ノギスが適している場面
✅ 簡易的な測定で十分な場合(0.05mm~0.02mm精度)
✅ 多様な形状の部品を測定する場合
マイクロメーターは、高精度が求められる場面でノギスと使い分けることが重要です!
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