機械設計において、部品の寸法測定は製品の精度や品質を保証する上で非常に重要な工程です。寸法測定にはさまざまな測定具が使用されますが、その中でも「ノギス」は汎用性が高く、多くの現場で使われています。
本記事では、ノギスの基本的な使い方、種類、測定できる寸法、選定ポイントについて詳しく解説します。
ノギスとは?
ノギス(Vernier Caliper)は、長さ・厚み・内径・外径・深さなどの寸法を測定できる多機能な測定具です。一般的に精度0.05mm単位の測定が可能で、製造現場や品質管理で広く使用されています。
ノギスの構造
ノギスは、以下のような部位で構成されています。
部位 | 説明 |
---|---|
本尺 | 本体となるスケール部分 |
スライダー | 測定時に移動させる部分 |
外側ジョウ | 外径・厚みを測る部分 |
内側ジョウ | 内径を測る部分 |
デプスバー | 深さを測る部分 |
バーニア目盛(副尺) | ミクロン単位の精度を読み取るための目盛 |
ノギスの特徴として、外径・内径・深さの測定が1つの工具で可能な点が挙げられます。
ノギスの種類と選び方
一般的なノギスの種類
種類 | 特徴 |
---|---|
標準ノギス | 最も一般的なノギスで、0.05mm精度の測定が可能 |
デジタルノギス | LCD表示で数値を読み取れるため、読み間違いがない |
ダイヤルノギス | ダイヤル式で細かい寸法を読み取りやすい |
大型ノギス | 200mm以上の大きな寸法を測定可能 |
特殊ノギス | 深さ測定専用や段差測定用など、用途に応じた特殊仕様 |
測定する部品のサイズや形状に応じて、適切なノギスを選定することが重要です。
ノギスの精度と測定範囲の選び方
ノギスの測定範囲は 150mm、200mm、300mm などがあります。一般的な部品の測定には 150mmの標準ノギス が使用されますが、大きな部品の場合は200mmや300mmのノギスが必要になります。
測定範囲 | 適用例 |
---|---|
150mm | 小型部品、機械部品の一般測定 |
200mm | 中型部品、板金加工品 |
300mm | 大型部品、機械フレーム |
また、精度は0.05mm単位が標準ですが、より精密な測定が必要な場合は0.02mm単位のノギスを選ぶこともあります。
ノギスの使い方と測定のポイント
外径測定(厚みや直径)
- 外側ジョウを部品に密着させて測定する。
- 斜めに当てると誤差が生じるため、ノギスを部品に対して直角に保持することが重要。
内径測定(穴の直径)
- 内側ジョウを穴に押し当て、広げながら測定する。
- できるだけ穴の中心で測定し、バラツキがないか確認する。
深さ測定(溝や穴の深さ)
- デプスバーを対象の底にしっかり当てて測定する。
- 傾けると誤差が生じるため、平行を保つことが大切。
段差測定
- 部品の高さの違いを測る際に使用。
- 段差部にしっかりノギスを当てる。
ノギスの測定誤差を防ぐためのポイント
ノギスを使用する際、測定誤差を防ぐために以下のポイントに注意しましょう。
測定前にノギスのゼロ点を確認する
スライダーを完全に閉じた状態で、「0」になっているかチェック。デジタルノギスの場合は「ゼロリセット」を行う。
測定面に汚れやバリがないか確認する
部品の測定面に汚れやバリがあると、正確な測定ができないため、必ず清掃する。
ノギスの測定力を一定に保つ
強く押し当てると部品が変形し、誤差の原因となるため、適切な力加減で測定する。
部品をしっかり固定して測定する
測定中に部品が動くと、測定値が変わるため、安定した状態で測定することが重要。
温度変化による影響を考慮する
金属は温度によって膨張・収縮するため、室温(20℃前後)で測定するのが理想的。
アナログノギスがデジタルノギスより優れている点とは?
機械設計や製造現場において、寸法測定は極めて重要な作業です。
ノギスは最も基本的な測定工具の一つで、アナログノギスとデジタルノギスの2種類があります。
近年はデジタルノギスが普及していますが、アナログノギス(バーニヤノギス)にはデジタルノギスにはない優れた点があります。
本項では、アナログノギスの利点を詳しく解説し、デジタルノギスとの比較を行います。
電池不要でいつでも使える
アナログノギスは電池が不要なため、バッテリー切れの心配がありません。
✅ デジタルノギスの弱点:「使おうと思ったら電池切れ…」
✅ アナログノギスの強み:どんな環境でもすぐに測定可能
特に、長期間保管していたノギスを急に使う場合や、屋外作業では、この点が大きなメリットになります。
故障しにくく、長期間使える
デジタルノギスは電子部品が内蔵されているため、故障のリスクがあります。
特に、水・油・衝撃・粉塵の多い環境では、故障しやすいです。
一方、アナログノギスはシンプルな構造のため、適切に手入れすれば10年以上使い続けることも可能です。
✅ デジタルノギスの弱点:落とすとディスプレイが壊れることがある
✅ アナログノギスの強み:シンプルな構造で壊れにくい
防水・防塵性が高く、過酷な環境で使える
✅ デジタルノギスは電子基板があるため、水・油・粉塵に弱い
✅ アナログノギスは電子部品を使っていないため、水や油の影響を受けにくい
工場の現場や屋外作業では、アナログノギスの方が安心して使える場面が多いです。
軽量で取り扱いやすい
デジタルノギスはディスプレイやバッテリーがあるため、若干重量があることが多いです。
アナログノギスはシンプルな構造なので、軽量で持ち運びがしやすいのが特徴です。
特に工具箱に常備しておく測定工具としては、アナログノギスが便利です。
コストが安い
✅ アナログノギスの価格:2,000円~10,000円(一般的なモデル)
✅ デジタルノギスの価格:5,000円~20,000円(一般的なモデル)
アナログノギスは、デジタルノギスより価格が安く、手軽に購入できるのがメリットです。
特に、複数本必要な場合や、個人用に1本持っておきたい場合には、コスト面での利点があります。
アナログノギス vs. デジタルノギスの比較表
項目 | アナログノギス | デジタルノギス |
---|---|---|
電池 | 不要 | 必要 |
耐久性 | 高い(壊れにくい) | 低い(ディスプレイが壊れることがある) |
防水・防塵性 | 高い | 低い(防水モデルは高価) |
精度 | ±0.05mm(高精度モデルは ±0.02mm) | ±0.02mm |
軽さ | 軽量 | やや重い |
価格 | 安い | 高い |
適した環境 | 過酷な環境(工場・屋外) | 室内での精密測定 |
どんな場面でアナログノギスが適しているのか?
アナログノギスが向いている場面
✅ 屋外や工場など、過酷な環境で使用する場合
✅ 電池切れを気にせず、いつでも測定したい場合
✅ 耐久性が求められる場面(落とす可能性がある作業)
✅ コストを抑えて、長期間使用したい場合
✅ わずかな測定値の変化を直感的に把握したい場合
デジタルノギスが向いている場面
✅ 素早く測定値を読み取りたい場合
✅ 数値を明確に表示して、記録をとる必要がある場合
✅ 測定ミスを減らしたい場合
デジタルノギスは便利ですが、アナログノギスには耐久性・防水性・電池不要・コスト面などのメリットがあります。
特に、工場現場や屋外作業では、アナログノギスの方が優れている場面が多いです。
測定環境に応じて、アナログノギスとデジタルノギスを使い分けるのが最適です!
ミツトヨのアナログノギス:高精度測定の代名詞
機械設計において、寸法測定は製品の精度を保証するための重要な工程です。その中でも、アナログノギスはシンプルな構造で高い信頼性を持ち、多くの現場で使用されています。
本項では、世界的な精密測定機器メーカー「ミツトヨ(Mitutoyo)」のアナログノギスについて、その特徴やラインナップ、選定ポイントなどを詳しく解説します。
ミツトヨとは?
ミツトヨ(Mitutoyo)は、1934年に創業した日本の精密測定機器メーカーで、世界的にもトップクラスのシェアを誇る企業です。
主に以下のような測定機器を製造・販売しています。
✅ ノギス(アナログ・デジタル)
✅ マイクロメータ
✅ ダイヤルゲージ
✅ CNC三次元測定機
✅ 投影機・形状測定機
特にノギスやマイクロメータの品質と精度の高さには定評があり、国内外の製造業で広く採用されています。
ミツトヨのアナログノギスの特徴
高い精度と耐久性
ミツトヨのアナログノギスは、JIS規格に準拠し、高精度な測定が可能です。通常、最小目盛は0.05mm単位で、精密測定に適しています。
また、ステンレス製の高耐久モデルが多く、長期間の使用でも摩耗や変形が少ないのが特徴です。
バーニア目盛の視認性の良さ
アナログノギスは、副尺(バーニア目盛)を読み取る必要がありますが、ミツトヨ製は目盛がはっきりしており、読み取りやすい設計になっています。
また、目盛の刻みが精密に加工されており、細かい寸法の読み取りがしやすい点も評価されています。
滑らかなスライド機構
ノギスのスライダー部分は、スムーズな動きが重要です。ミツトヨのノギスは、適切なクリアランス設計と高精度加工技術により、スムーズなスライド操作を実現しています。
また、ロックネジ付きのモデルでは、測定値を固定できるため、安定した測定が可能になります。
幅広いラインナップ
ミツトヨは、さまざまな用途に対応するアナログノギスを展開しています。
モデル名 | 測定範囲 | 特徴 |
---|---|---|
530シリーズ(標準ノギス) | 150mm / 200mm / 300mm | 一般的なノギス、JIS規格準拠 |
532シリーズ(精密測定用) | 130mm / 180mm / 280mm | 精度が高く、目盛が見やすい |
160シリーズ(長尺ノギス) | 450mm / 600mm / 1000mm | 大型ワーク向け |
505シリーズ(ダイヤルノギス) | 150mm / 200mm / 300mm | ダイヤル上で数値を読み取れる |
ミツトヨのアナログノギスの選び方
ミツトヨのアナログノギスを選定する際は、以下のポイントを考慮しましょう。
測定範囲
一般的な機械部品なら150mm、大型部品なら200mm以上を選ぶ。
最小目盛(精度)
一般的なノギスは 0.05mm精度。より精密な測定なら 0.02mm精度のモデルを選ぶ。
用途に応じた特殊仕様
- 防水モデル(IP67) なら、冷却水や油のある環境でも使用可能。
- 大型ノギス(500mm以上) は、大型ワーク測定に適している。
視認性と読みやすさ
目盛が読み取りやすいモデルを選ぶと、測定ミスを防げる。
ミツトヨのアナログノギスのメンテナンス
ミツトヨのアナログノギスを長く正確に使用するためには、定期的なメンテナンスが必要です。
測定後は清掃
- 使用後は、ノギスの測定面を清潔な布で拭く。
- 油分や汚れが付着すると、精度に影響するため、防錆油を軽く塗布すると良い。
スライダーの動きをチェック
- スライドの動きが重い場合は、微量の潤滑油を使用する。
- ただし、油分が多すぎるとホコリが付着するので注意。
ゼロ点を確認
- 測定前に、ノギスを完全に閉じて「ゼロ」が合っているかチェック。
- ずれがある場合は、専門業者で校正するのがおすすめ。
衝撃に注意
- 落下や強い衝撃を与えると、目盛がずれる可能性があるため、取り扱いは慎重に。
🔹 ミツトヨは、世界的に有名な精密測定機器メーカーで、高品質なノギスを提供している。
🔹 アナログノギスは、視認性・精度・耐久性に優れ、機械設計や加工現場で広く使用されている。
🔹 測定範囲や精度、用途に応じて適切なモデルを選定することが重要。
🔹 適切なメンテナンスを行うことで、ノギスの精度を長期間維持できる。
機械設計や製造現場において、寸法測定の精度は製品品質に直結します。ミツトヨのアナログノギスを正しく活用し、高精度な測定を実現しましょう!
シンワ測定のアナログノギス:コストパフォーマンスに優れた測定工具
機械設計や製造業において、寸法測定は部品精度を保証するための重要な工程です。その中でも、ノギスは長年にわたり広く使われており、シンプルな構造と高い汎用性が特徴です。
本項では、コストパフォーマンスに優れた測定工具を提供する「シンワ測定」のアナログノギスについて、特徴や製品ラインナップ、選定ポイントなどを詳しく解説します。
シンワ測定とは?
シンワ測定は、1950年に創業した日本の測定機器メーカーで、手頃な価格で高品質な測定工具を提供することで知られています。
主な製品ラインナップには、以下のような測定工具があります。
✅ ノギス(アナログ・デジタル)
✅ 直尺・スケール
✅ マイクロメータ
✅ 角度計・水準器
✅ レーザー距離計
特に、アナログノギスや直尺(スケール)は国内市場で広く普及しており、DIYユーザーからプロの技術者まで幅広く利用されています。
シンワ測定のアナログノギスの特徴
コストパフォーマンスの高さ
シンワ測定のノギスは、手頃な価格ながらも十分な測定精度を持つため、特にコストを抑えつつ正確な測定を求める現場に適しています。
一般的なミツトヨ製のノギスと比べても低価格で入手可能なため、予算を抑えつつ測定工具を揃えたい場合におすすめです。
視認性の良いバーニア目盛
アナログノギスは、バーニア目盛を読み取る必要がありますが、シンワ測定のノギスは目盛がはっきりしており、視認性が良いのが特徴です。
また、白地に黒文字の目盛が採用されているモデルもあり、コントラストが高く読み取りやすい設計になっています。
軽量で扱いやすい設計
シンワ測定のノギスは、比較的軽量な設計になっており、長時間の作業でも負担が少ないのが特徴です。
特に、アルミ合金製のモデルはステンレス製よりも軽く、持ち運びにも適しています。
幅広いラインナップ
シンワ測定は、さまざまな用途に対応するアナログノギスを展開しています。
モデル名 | 測定範囲 | 特徴 |
---|---|---|
普及型ノギス | 150mm / 200mm / 300mm / 450mm / 600mm / 1000mm | 一般用途向け、低価格モデル |
高級ミニノギス | 70mm / 100mm | 小型でコンパクト |
プラノギス | 70mm / 100mm | 軽量な樹脂製、持ち運びに便利 |
ファイバーノギス | 150mm | ダイヤル式ノギス |
用途に応じて、最適なモデルを選択できます。
シンワ測定のアナログノギスの選び方
シンワ測定のアナログノギスを選定する際は、以下のポイントを考慮しましょう。
測定範囲
- 一般的な機械部品の測定なら150mm、大型部品なら200mm以上が適切。
軽量タイプの選択
- 樹脂製ノギスは軽く、持ち運びにも便利。
- ステンレス製は耐久性が高く、長期間の使用に適している。
測定精度
- 最小目盛は 0.05mm と一般的な精度のラインナップが多いです。
シンワ測定のアナログノギスのメンテナンス
シンワ測定のアナログノギスを長く正確に使用するためには、定期的なメンテナンスが重要です。
✅ 測定後の清掃
→ 使用後は、ノギスの測定面を清潔な布で拭く。
→ 防錆油を軽く塗布すると、サビを防止できる。
✅ スライダーの動きをチェック
→ 動きが重い場合は、微量の潤滑油を使用する。
→ ただし、油分が多すぎるとホコリが付着しやすくなるので注意。
✅ ゼロ点を確認
→ 測定前に、ノギスを完全に閉じて「ゼロ」が合っているかチェック。
→ ずれがある場合は、再調整または校正を行う。
✅ 衝撃に注意
→ 落下や強い衝撃を与えると、測定精度に影響を与える可能性があるため、慎重に取り扱う。
🔹 シンワ測定は、日本のメーカーで、コストパフォーマンスに優れたノギスを提供している。
🔹視認性・軽量性・価格面でメリットがあり、特にコストを抑えたい現場に適している。
🔹 用途に応じて、樹脂製・ステンレス製など、最適なモデルを選定することが重要。
🔹 適切なメンテナンスを行うことで、ノギスの精度を長期間維持できる。
「高価なノギスを使うほどではないが、精度の高い測定を行いたい」
そんなニーズに応えるのが、シンワ測定のアナログノギスです。
適切なモデルを選び、正確な測定を実現しましょう!
まとめ
🔹 ノギスは機械設計において、外径・内径・深さなどを測定できる基本的な測定具。
🔹 標準ノギス・デジタルノギス・ダイヤルノギスなどの種類があり、用途に応じた選定が重要。
🔹 測定時の誤差を防ぐために、ゼロ点確認・汚れ除去・適切な測定力を意識する。
ノギスは機械設計の現場で頻繁に使用される測定具ですが、正しく使用しなければ測定誤差が生じ、設計や製造に影響を与える可能性があります。適切なノギスの選定と正しい測定手順を理解し、高精度な部品製作に活かしましょう!
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