機械設計における最終フェーズとして欠かせないのが「現地据付・試運転」です。
これは、設計・製作を終えた機械をお客様の現場に設置し、
正常に稼働するかどうかを最終確認する作業です。
一見、単純な作業に見えるかもしれませんが、
実はトラブルが起こりやすいタイミングでもあります。
この記事では、現地据付から試運転までの流れと、
初心者が気をつけるべきポイントについてわかりやすく解説していきます。
現地据付・試運転の全体の流れ
現地での作業は、大まかに以下の流れで進められます。
- 墨出し(すみだし):設置基準の位置出し
- 機械の搬入
- 機械の据付(位置決め・アンカーボルト固定・水平出しなど)
- 電源・配線の接続
- 各部の最終チェック
- 試運転(お客様立会い)
- 操作説明と取扱説明書の引き渡し
以下で、それぞれの工程について詳しく解説します。
墨出しとは?設置精度を左右するスタート地点
「墨出し」とは、床に設置位置の基準線を引く作業のことです。
建設業や機械設置ではおなじみの工程で、
機械の据付位置を正確に決めるための最初の一手です。
墨出しの目的
よく使われる道具
墨出しが正確でなければ、
後工程すべてにズレが生じてしまいます。
そのため、熟練の作業者は最初の墨出しに
最も時間をかけるほど重要視している作業です。
機械の水平出し・設置
搬入された機械は、指定された設置場所に正確に据え付ける必要があります。
その際に重要なのが「水平出し」です。
なぜ水平が重要?
機械が傾いていると、ベアリングやスライド部に
偏荷重がかかり、早期故障の原因になります。
自動搬送ラインなどでは、
わずかな傾きが製品不良や停止につながることもあります。
作業内容
注意点
設置環境の床が完全に水平とは限らないため、
調整は現場で柔軟に行う必要があります。
レベリングは複数の測定ポイントで行い、
全体が水平になっていることを確認します。
電源や配線の接続
次に行うのは、機械と電源・制御盤との接続作業です。
設計図面をもとに、モーターやセンサー、シーケンサ(PLC)などの配線を行います。
作業内容
注意点
各部の最終チェック
配線が完了したら、機械が正常に動作するかを
確認するために各部の最終点検を行います。
チェック項目の例
注意点
お客様立会いの試運転
基本的な動作確認が済んだら、
お客様立会いのもとで本格的な試運転を行います。
実際の製品やワークを使って連続運転を行い、
仕様通りに動くかを検証します。
試運転の目的
注意点
操作説明・取扱説明書の引き渡し
最終ステップとして、機械の操作方法やメンテナンス方法をお客様に説明します。
また、取扱説明書などの書類一式もこのタイミングで引き渡します。
説明のポイント
注意点
まとめ:据付・試運転は「品質」と「信頼」を決める最後のステージ
現地据付・試運転は、機械設計者にとって
「最後の関門」とも言える重要な工程です。
トラブルが起こりやすいタイミングである一方で、
お客様との信頼関係を築く大きなチャンスでもあります。
以下に注意点を再度まとめます。
▶ 設置の水平出しは、機械寿命に直結する重要作業
▶ 配線ミスや安全装置の未確認に要注意
▶ 試運転時にはトラブルが発生しやすいが、柔軟な対応が信頼につながる
▶ 操作説明は、安全面を中心に丁寧に伝える
据付・試運転を確実に進めることで、
機械の真価を最大限に発揮でき、
お客様満足度の向上にもつながります。
ぜひ設計の一環として据付まで意識し、
準備を万全に整えて臨みましょう。



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