〜ミスの芽を早めにつぶし、手戻りゼロに近づける工夫集〜
設計の仕事をしていると、「あ、これはミスだった…」という経験は誰にでもあるもの。
設計ミスは時に、製造不良・納期遅延・コスト増大など大きなトラブルにつながってしまいます。
多くの現場では「設計レビュー」でミス防止に取り組んでいますが、それだけではカバーしきれないケースも。
レビューは後工程なので、「もっと早く気づければ防げたのに…」という声もよく聞かれます。
この記事では、設計レビュー以外でも設計ミスを防ぐための効果的な方法を、初心者にもわかりやすくご紹介します。
普段の設計業務の中に取り入れるだけで、驚くほどミスは減らせます。
ぜひ明日からの設計活動に活かしてください!
設計意図を「言語化」する習慣をつける
設計を考えているときの頭の中は、意外と曖昧な状態になっていることが多いもの。
そのまま図面にしてしまうと、
✔ 意図が抜け落ちた
✔ 勘違いしたまま進めてしまった
といったミスの温床になります。
✅ 設計意図や仕様要求を一度「メモに書き出す」
✅ 部品ごとの役割や動作想定を図示して整理する
こうした「言語化」の工程を1ステップ入れるだけでも、設計の抜け・曖昧さを減らせます。
チームで設計意図書(簡易版)を作るのも有効です。
検討段階で「チェックリスト」を活用する
ベテラン設計者ほど「自分だけのチェック項目」を持っています。
✅ 強度・耐久性チェック
✅ 干渉確認
✅ 組立性・メンテ性確認
✅ 樹脂部品の肉厚チェック
✅ 寸法公差の妥当性チェック
こうした自分専用 or チーム共通のチェックリストを使うことで、検討段階でのミスをかなり抑制できます。
✔ チェックリストを作り、設計工程に組み込む
✔ 新しい設計が出たらリストに沿って自分でチェックする
これだけでも設計品質は大きく変わります。
部品単位の「仮組み」「試作」を早めに行う
紙やCAD画面上だけではわからない問題は意外と多くあります。
✅ 組付け時の干渉
✅ 工具が入らない
✅ 部品の反りやたわみ
✅ 作動時の意外な挙動

試作・仮組みを早い段階で行うことで、これらの問題を発見しやすくなります。
✅ 部品単位の簡易試作を許容する風土作り
✅ プリントモデル(3Dプリンタ)活用
✅ モックアップで早期検証

「紙から飛び出して現物確認」を積極的に取り入れることが、ミス低減に貢献します。
他人の視点を取り入れる「ペア設計」
一人で設計に没頭していると、視野が狭くなりがち。
✅ 思い込みによる見落とし
✅ 自分が作った図面を正しく読めない
✅ 定番の設計ミスを知らずにハマる
「ペア設計」や「ペアチェック」(2人1組で作業確認)を意識的に取り入れることで、こうした盲点が大幅に減ります。
✅ 重要設計は2人組で進める
✅ 図面完成前に相互にレビューしあう
✅ 設計意図のすり合わせをペアで行う
このようなチームでの相互支援型設計は、ミス低減だけでなくチームの知見共有にもつながります。
よくあるミス事例を「ナレッジ化」する
同じようなミスが何度も出るのは、設計の現場ではよくある話。
✅ 特定部品で毎回同じ勘違いが出る
✅ 典型的な組立不良の原因が繰り返される
こうした事例は、ナレッジ(知見)としてチームで共有しておくのが効果的です。
✅ 「設計ミス事例集」を作成・更新する
✅ レビューや反省会で発見されたミスを蓄積する
✅ 新人教育に活用する
「自分だけはミスしない」は幻想です。知見の積み上げがチーム全体のミス低減につながります。
ナレッジ化のポイント
✅ できるだけ簡潔かつ現場感のある表現で記載する
✅ 画像・図面を活用すると非常に伝わりやすくなる
✅ 検索しやすいタグ付けが重要(ナレッジ活用度が高まる)
✅ 年1回の棚卸し・事例更新を行い、古くなったものは整理する
まとめ
設計レビューは重要ですが、それだけに頼っていては設計ミスは防ぎきれません。
✔ 設計意図の言語化
✔ チェックリストの活用
✔ 早期の仮組み・試作
✔ ペア設計の導入
✔ ミス事例のナレッジ化
こうした普段の設計活動の中に小さな工夫を取り入れることが、「未然防止」につながります。
「ミスはある前提。その芽を早く見つけて摘み取る」
そんな意識をチーム全体で持つことが、設計品質向上と手戻り削減の鍵になります。
ぜひ今日から、自分の設計スタイルに1つでも取り入れてみてください!
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