機械設計の図面注記の書き方のコツ|現場で伝わる図面を作るポイントを解説

図面・CAD

機械設計の図面において、最も見落とされやすいのが“注記”の書き方です。

どれだけ詳細な図面でも、注記が曖昧だったり、読みづらかったりすると、
加工ミス・組立不良・検査トラブルが発生し、製造品質が大きく低下します。

本記事では、現場に確実に伝わる注記の書き方のコツを、
初心者でも理解しやすいようにわかりやすく解説します。

スポンサーリンク

機械設計の注記を書くうえで重要なポイント

① 誰が読んでも同じ解釈になる文章にする

曖昧な表現は製造トラブルの原因です。

  • NG例
    • できるだけ平らに仕上げる
    • 可能な範囲でバリ取り
    • 必要に応じてグリス塗布
  • OK例
    • Ra3.2以下で仕上げる
    • C0.2以下の微小面取りを行う(バリ残し禁止)
    • 組立時にリチウム系グリスNo.2を塗布
はじめ
はじめ

誰が読んでも同じ行動ができる文章を書くことが鉄則です。


② 注記は「体系立ててまとめる」と読みやすくなる

注記がバラバラに書かれていると、重要情報が埋もれてしまいます。

おすすめの分類例

  1. 加工に関する注記
    (面取り・仕上げ・公差)
  2. 組立に関する注記
    (締付トルク・塗布材料)
  3. 検査に関する注記
    (測定方法・基準)
  4. 安全に関する注意事項
    (必読項目)

カテゴリーごとに整理するだけで一気に見やすくなります。


③ 重要な注記は強調(太字・囲み枠)して見落とし防止

特に重要な項目は、文字を少し大きくしたり、枠で囲むと効果的です。

🔍 例)

【重要】組立前にOリング面に傷がないことを必ず確認すること

加工者・組立者・検査者の誰が見ても分かるよう、
視線誘導を意識しましょう。


④ “一般注記”をテンプレート化すると品質が安定する

🔍 例)

  • バリ・カエリは全て除去のこと
  • 指示なき角部はC0.3以下
  • 表面粗さは特記なき場合Ra6.3

毎回書き方が違うと、現場は混乱します。
会社標準・課内標準として統一するのが最も効果的です。


⑤ 測定方法や使用基準は具体的に示す

加工や公差は“測定できること”が前提です。

🔍 例)

  • 平行度は基準面Aに対して測定
  • 直角度は三次元測定機で確認
  • 厚み測定はミツトヨ製デジマチックキャリパ使用可

測定方法の明記は、検査トラブルの抑制にとても有効です。


【そのまま使える】機械設計の図面 注記テンプレート

用途別に整理された“使いやすい注記テンプレート”です。
自社ルールに合わせてカスタマイズして使ってください。


① 加工に関する注記

  • 指示なき角部は糸面取りとする。
  • バリ・カエリは全て除去のこと。
  • 表面粗さは特記なき場合Ra6.3とする。
  • 指示寸法の公差は一般公差 JIS B 0405-m を適用する。
  • 溶接部はスパッタ除去し、外観を整えること。

② 組立に関する注記

  • 組立前にOリング接触面に傷・異物がないことを確認すること。
  • 六角ボルトの締付トルクは付属のトルク表による。
  • ねじ部にはロックタイト243を塗布すること。
  • ベアリングは清浄な環境下で組立を行うこと。

③ 検査に関する注記

  • 直角度は基準面Aに対して測定すること。
  • 寸法検査はミツトヨ製ノギスまたはマイクロメータを使用可。
  • 表面粗さは接触式粗さ計にて測定すること。
  • 平行度は三次元測定機(CMM)で確認すること。

④ 仕上げ・表面処理(Surface Finish Notes)

  • 黒色アルマイト処理(膜厚10µm)を施すこと。
  • 塗装色はマンセルN1.5相当のつや消し黒とする。
  • メッキ部は傷つけないよう治具を使用すること。

⑤ 安全に関する重要事項(Safety Notes|強調推奨)

  • 【重要】組立前に全ての回転部の干渉を確認し、
    手回しで1回転以上のスムーズな動作を確認すること。
  • 【注意】油圧配管は耐圧試験を実施し、漏れが無いこと。

スポンサーリンク

よくあるダメな注記例(初心者がやりがちなNG行為)

“現場が困る注記”を具体例で紹介します。
これらは絶対に避けるべきです。


① あいまいで判断できない注記

  • NG例
    • できるだけ滑らかに加工
    • 適当にバリ取り
    • 必要があればグリス塗布
  • 問題点
    • 読む人によって作業がバラバラになる。
    • 不良の温床。

② 具体的な数値がない

  • NG例
    • 面取りすること
    • 真っすぐになるように加工
    • 高精度で仕上げる
  • 問題点
    • 「どの程度やれば合格なのか」が不明。

③ 力任せの“責任転嫁系”注記

  • NG例
    • 加工ミスがないように注意すること
    • 品質に問題がないように作業すること
  • 問題点
    • 誰でも分かっている内容で、意味がない。
    • 現場も困るし、品質保証にも使えない。

④ 図面主題と関係のない注記

  • NG例
    • 出荷前に全体を清掃しておくこと
    • 現場の判断に従うこと
  • 問題点
    • 図面の役割から逸脱しており、責任範囲が曖昧。

⑤ 「一般注記」と矛盾している

一般注記:角部はC0.3
個別指示:角部C1

  • 問題点
    • 矛盾が起こって加工ミスの原因となる。

良い注記は、製造品質を大きく向上させる“最強の武器”

良い注記のポイントは以下の通りです。


良い注記の条件

  • 誰が見ても同じ解釈ができる
  • 数値で明確に示す
  • カテゴリーを整理して書く
  • 重要項目は強調する
  • 一般注記と整合性を取る

注記は「最後に付け足すもの」ではなく、
図面の品質を決める最重要情報のひとつです。

テンプレート化してチーム全体で統一すれば、
加工品質・組立品質・検査精度がすべて向上します。

スポンサーリンク

【まとめ】伝わる注記は製造品質を大きく向上させる

機械設計の図面における注記は、
“余白を埋める情報”ではなく 品質を守るための最重要項目 です。

注記のポイントまとめ

▶ 誰が読んでも同じ解釈になる文章にする
▶ 分類して整理し、情報を体系化する
▶ 重要部分は強調して見落としを防ぐ
一般注記はテンプレート化して統一
▶ 測定方法や基準は具体的に記載する

注記を丁寧に書くだけで、
加工ミスや組立不良が激減し、図面品質が劇的に向上します。


図面とCADはアイデアを具体的な形にし、
設計意図を正確に伝えるための重要な手段です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました