【ラジアル】軸受けにかかる荷重方向【アキシャル】

機械要素

機械設計において軸受け(ベアリング)は、回転部品を支持し、
スムーズで効率的な回転を実現するために重要な役割を担っています。

軸受けにかかる荷重は、
主に「ラジアル荷重」と「アキシャル荷重」の2つに分類されます。
これらの荷重の理解と適切な対応が、軸受けの選定や設計において非常に重要です。

本記事では、ラジアル荷重とアキシャル荷重について詳しく解説し、
軸受けの選定ポイントにも触れます。

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ラジアル荷重とは

ラジアル荷重は、軸に対して垂直方向(半径方向)にかかる力を指します。

軸受けの最も一般的な荷重の一つで、
回転する軸を外部からの力に対して支持する役割を果たします。

🔍 例)

モーターの回転軸にかかるベルトの張力や、
シャフトを支える荷重などがラジアル荷重に該当します。

特性

ラジアル荷重を受ける軸受けには、
深溝玉軸受け円筒ころ軸受けが適しています。

これらは、軸方向(アキシャル)に対してはあまり大きな荷重をサポートしないものの、
ラジアル方向に対しては優れた支持力を発揮します。

アキシャル荷重とは

アキシャル荷重は、軸に沿った方向(軸方向)にかかる力を指します。

ラジアル荷重に比べて特殊な状況で発生することが多く、
軸受けの選定時に特別な考慮が必要です。

🔍 例)

スラスト方向の荷重、つまり回転軸に対して
押しつけられるような力がアキシャル荷重です。

例えば、プロペラシャフトや縦向きの回転シャフトにかかる重量が該当します。

特性

アキシャル荷重をサポートする軸受けとしては、
スラスト玉軸受けスラストころ軸受けがあります。

これらは、ラジアル荷重に対しては弱いものの、
軸方向の荷重に対して高い支持力を持っています。

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ラジアル荷重とアキシャル荷重の違いと関係性

ラジアル荷重とアキシャル荷重は、作用する方向が異なるため、
それぞれに適した軸受けを選定する必要がありますが、
実際の設計ではこれらが同時に発生するケースが多くあります。

このような複合的な荷重に対応する軸受けも存在します。

複合荷重

ラジアル荷重とアキシャル荷重が同時にかかる場合、
軸受けは両方の荷重を適切にサポートしなければなりません。

例えば、アンギュラ玉軸受けは、
ラジアルとアキシャルの両方に対して強い支持力を発揮するため、
広く使用されています。

軸受けの選定ポイント

軸受けを選定する際には、ラジアル荷重、アキシャル荷重、
それに加えて回転速度や環境条件を考慮することが必要です。

ラジアル荷重の優先

ラジアル荷重が主な場合は、深溝玉軸受けや円筒ころ軸受けが選ばれます。

これらは、軸に対して垂直に作用する力を効率よく分散し、
摩耗を最小限に抑える設計です。

アキシャル荷重の優先

アキシャル荷重が主な場合、スラスト玉軸受けやスラストころ軸受けが適しています。

これらは軸方向にかかる力に特化して設計されており、
荷重に対して安定した支持力を提供します。

複合荷重対応

ラジアル荷重とアキシャル荷重が同時にかかる場合、
アンギュラ玉軸受けや円すいころ軸受けなどの
複合荷重に対応する軸受けを選定する必要があります。

これらは、ラジアルとアキシャル両方の荷重に対してバランスの取れた性能を発揮します。

潤滑と温度条件

荷重がかかる際の摩擦を軽減し、
軸受けの寿命を延ばすために、適切な潤滑が必要です。

また、高温や低温などの特殊な環境では、
潤滑剤や材料の選定も重要です。

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軸受けの寿命に対する影響

ラジアル荷重、アキシャル荷重ともに、軸受けの設計限界を超える荷重がかかると、
摩耗や損傷が早期に進行し、軸受けの寿命を大きく縮めてしまいます。

適切な荷重計算と軸受けの選定が、
機械の効率や耐久性に直結するため、設計時には十分な考慮が求められます。

荷重の計算

軸受けの許容荷重を正確に計算し、
過大な荷重がかからないように設計することが不可欠です。

荷重の方向や大きさ、作用点を考慮しながら、
使用する軸受けのタイプや仕様を選定する必要があります。

ラジアル荷重とアキシャル荷重の具体的な例

軸受けは、機械部品の回転や移動を支える重要な部品であり、
その選定にはかかる荷重の理解が不可欠です。

荷重には大きく分けて「ラジアル荷重」と「アキシャル荷重」の2種類があり、
それぞれが軸受けに与える影響は異なります。

この項目では、ラジアル荷重とアキシャル荷重の違いと、
具体的な使用例を通じてその理解を深めていきます。


ラジアル荷重がかかる具体的な例

モーターのシャフト

電動モーターや発電機などの回転機器では、モーターのシャフトが回転します。

このシャフトにはモーター内部の回転部品の重さや、
動作中に生じる遠心力などがラジアル荷重としてかかります。

特に、モーターのシャフトが大きい場合、
ラジアル荷重は相当な大きさになるため、高い負荷に耐えられる軸受けが必要です。

ベルト駆動システムのプーリー

ベルトやチェーンで駆動されるプーリーには、
回転時に生じるラジアル荷重がかかります。

特に長時間使用するシステムでは、
プーリーが受けるラジアル荷重を適切に支えるための軸受けが必要です。

自転車のホイール

自転車のホイールが回転する際、車輪の軸にラジアル荷重がかかります。
この荷重は車輪の重さや走行時の路面の状態に応じて変化します。

自転車の軸受けは、このラジアル荷重を支えるために設計されています。

ベアリングを使用した工作機械

工作機械では、切削工具が回転する際、回転する軸にラジアル荷重がかかります。

例えば、フライス盤や旋盤の回転部分に使用される軸受けは、
このラジアル荷重をしっかりと支える必要があります。


アキシャル荷重がかかる具体的な例

ポンプやファンのシャフト

ポンプやファンなどの回転機械では、
流体が軸方向に圧力をかけることで、アキシャル荷重が発生します。

これらの機器では、
特にシャフトの両端にアキシャル荷重を支えるための軸受けが必要です。

スクリューコンベア

スクリューコンベアのスクリュー軸には、
物料の移動による圧力や摩擦力がアキシャル荷重を発生させます。

この荷重に耐える軸受けは、
スクリューコンベアの性能を安定させるために非常に重要です。

ボールミル(粉砕機)のシャフト

ボールミルのシャフトには、
内部で金属のボールが回転し粉砕を行う際にアキシャル荷重がかかります。

この荷重は、粉砕する物質や摩擦により発生し、
アキシャル荷重に対応する軸受けが必要です。


ラジアル荷重とアキシャル荷重の組み合わせ

実際の機械設計では、
ラジアル荷重とアキシャル荷重が同時にかかる場合が多くあります。

このような場合、
ラジアル・アキシャル両方向に対応できる軸受けを選定することが求められます。

例えば、以下のような状況です。

自動車の駆動軸

自動車の駆動軸は、車輪を駆動するために回転しますが、
その軸にはラジアル荷重(車輪の重さや走行時の遠心力)と
アキシャル荷重(加速や減速時の力)が同時にかかります。

この場合、両方の荷重に耐えられる
コンビネーションベアリングを選定することが重要です。

産業用モーター

産業用モーターでは、モーターシャフトに回転によるラジアル荷重と、
動力伝達によるアキシャル荷重が同時に作用します。

このような場合、
ラジアル荷重とアキシャル荷重の両方を支える能力が求められるため、
角度調整ベアリングスラストベアリングが使われることが多いです。


ラジアル荷重とアキシャル荷重は、機械設計における軸受けにとって重要な要素です。
ラジアル荷重は軸方向に直角な力であり、
回転部分の重さや遠心力などが影響します。

一方、アキシャル荷重は軸方向にかかる力で、
動力伝達や直線的な圧力によって生じます。

実際の機械では、
この二つの荷重が同時にかかることが多いため、適切な軸受けの選定が重要です。

はじめ
はじめ

設計においては、荷重の方向や大きさ、機械の運転条件を十分に考慮して、
ラジアル荷重とアキシャル荷重の両方に耐える軸受けを選定することで、
機械の安定性と耐久性を高めることができます。

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まとめ

軸受けにかかるラジアル荷重とアキシャル荷重は、
機械設計において軸受けの選定に大きな影響を与えます。

ラジアル荷重が主に作用する場合はラジアル荷重に強い軸受け、
アキシャル荷重が主な場合はアキシャル荷重に強い軸受け、
そして複合的に荷重がかかる場合はそれに対応した軸受けを選定することが重要です。

これにより、機械の性能を最大限に引き出し、
長寿命で安定した運転を実現することが可能になります。



はじめ
はじめ

ボルトやナット、軸受け、ギアといった
基本的な要素部品の機能と選び方を
詳しく紹介します。

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