機械設計や製図において、
図面の線種は設計意図を正確に伝えるための重要なルールです。
その中でも「破線(隠れ線)」は、
見えない形状を表現するために欠かせない線種ですが、
使い方を誤ると図面が分かりにくくなり、
加工・組立ミスの原因になります。
この記事では、図面における破線(隠れ線)の
意味や正しい使い方、注意点を初心者にもわかりやすく解説します。
破線(隠れ線)とは?
破線(隠れ線)とは、
その方向からは見えないが、
内部や裏側に存在する形状を表す線です。
たとえば、
など、実線では直接見えない部分を表現するために使われます。
「そこに形状はあるが、今の視点では見えない」
という情報を伝えるのが破線の役割です。
破線(隠れ線)を使う目的とは?
破線(隠れ線)は、図面上では見えない形状を伝えるための線です。
機械図面では、すべての形状が正面から見えるとは限らないため、
「見えない部分をどう表現するか」が図面の分かりやすさを大きく左右します。
部品の内部構造が理解しやすくなる
破線を使うことで、
穴の奥側や内部の段差、裏側にある溝など、
外からは見えない形状の存在を明確に示すことができます。
加工者や検査担当者は、
「中がどうなっている部品なのか」を一目で把握できるため、
加工ミスや勘違いを防ぎやすくなります。
実線だけでは伝わらない形状を補足できる
実線だけの図面では、
内部形状が省略されて見えることがあります。
破線を補助的に使うことで、
を正しく伝えられます。
破線は「実線の説明役」として機能します。
加工者・組立者が完成形をイメージしやすくなる
破線が適切に入っている図面は、
完成した部品や組立状態を頭の中でイメージしやすいという特徴があります。
その結果、
など、現場での作業効率向上にもつながります。
破線(隠れ線)を使う目的は、
見えない形状を正しく、分かりやすく伝えることです。
破線を適切に使うことで、
設計意図が正確に伝わる「伝わる図面」になります。
破線(隠れ線)の基本ルールを押さえよう
破線(隠れ線)は、見えない形状を伝えるために重要な線種ですが、
使い方を間違えると、かえって図面が分かりにくくなるという側面もあります。
そのため、いくつかの基本ルールを意識して使うことが大切です。
線の種類は「短い線の連続」で描く
破線は、
短い線を一定間隔で連続させた線で表現します。
実線や一点鎖線と混同されないよう、
線の長さやピッチは規格どおりに整えることが重要です。
線が長すぎたり不揃いだったりすると、
別の線種と誤解される原因になります。
実線より細く描く
破線は、
主役となる形状を表す実線よりも細く描くのが基本です。
これは、
という役割の違いを、視覚的に分かりやすくするためです。
線の太さを守ることで、
図面を見た瞬間に「どこが見える形状か」が判断しやすくなります。
必要以上に多用しない
破線は便利ですが、
多用しすぎると図面がゴチャゴチャしてしまいます。
特に、
は、かえって理解しづらくなることがあります。
そのような場合は、
といった工夫も検討しましょう。
破線(隠れ線)を正しく使うためには、
という基本ルールを守ることが重要です。
破線は「伝えるための補助線」です。
使いすぎず、的確に使うことで、読みやすく伝わる図面になります。
破線(隠れ線)を使わない方が良いケース
破線は見えない形状を表すための便利な線ですが、
すべてのケースで最適とは限りません。
状況によっては、破線を使うよりも断面図を用いた方が、
図面の可読性や正確性が大きく向上します。
ここでは、破線を使わない方が良い代表的なケースを解説します。
内部形状が複雑な場合
内部に段差・溝・穴が多い部品では、
破線だけで表現しようとすると線が重なり合い、
形状の把握が非常に難しくなります。
このような場合は、
断面図にして内部をはっきり見せる方が圧倒的に分かりやすくなります。
「見えない形状を想像させる」より
「見せてしまう」方がミスを防げます。
破線が多くなりすぎる場合
破線が増えすぎると、
といった問題が起こります。
図面は一目で理解できることが重要です。
破線が増えてきたと感じたら、
断面図や部分拡大図への切り替えを検討しましょう。
寸法や公差を正確に指示したい場合
破線上に寸法や公差を記入すると、
といったリスクがあります。
寸法や公差を正確に伝えたい場合は、
断面図で実線として表現した状態で指示するのが基本です。
特に機械加工や検査に関わる重要寸法は、
破線表現を避けるのが安全です。
可読性を基準に使い分ける
「破線で表すか、断面図にするか」は、
図面の可読性を最優先に判断することが重要です。
このように使い分けることで、
加工・組立・検査のすべてで誤解のない図面になります。
破線は便利な表現方法ですが、
使わない判断ができることも、良い設計者の重要なスキルです。
よくあるミスと注意点|破線(隠れ線)の扱い方
破線(隠れ線)は、図面を分かりやすくするための補助的な表現です。
しかし使い方を誤ると、かえって図面を読みづらくし、
加工ミスや解釈違いの原因になります。
ここでは、破線に関するよくあるミスと、その注意点を解説します。
見えるエッジを破線で描いてしまう
最も多いミスが、
実際には見えるエッジを破線で描いてしまうケースです。
破線は「見えない部分」を表す線なので、
見えている輪郭やエッジは必ず実線で描く必要があります。
破線と実線を取り違えると、
加工者が「削らなくてよい部分」と誤解する恐れがあります。
実線と破線が重なって区別がつかない
破線を多用しすぎると、
といった問題が起こります。
特に小さな部品や複雑な形状では、
破線同士・実線との重なりが致命的になります。
「破線が重なりそうだ」と感じたら、
断面図や部分拡大図に切り替える判断が重要です。
破線の意味が分からない配置になっている
破線が、
という配置になっていると、
図面を初めて見る人には理解できません。
図面は説明がなくても伝わることが基本です。
破線は「誰が見ても意味が分かる位置・形」で配置しましょう。
注意点|破線はあくまで脇役
破線は便利な表現ですが、
主役はあくまで実線です。
この役割を常に意識することが大切です。
破線を使うときは、
「この破線は本当に必要か?」
「断面図の方が分かりやすくないか?」
と一度立ち止まって考えましょう。

正しく使えば、
破線は図面の理解を助ける強力な味方になります。
まとめ
図面の破線(隠れ線)は、
見えない形状を正しく伝えるための重要な線種です。
▶ 内部や裏側の形状を表現するために使う
▶ 実線より細く、必要最小限に使用する
▶ 複雑な場合は断面図を優先する
これらを意識することで、
図面の可読性が向上し、
加工・組立ミスの防止につながります。
正しい線種の使い分けは、
良い図面を作るための基本です。




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