【エア供給】エア配管の基本と設計ポイント【2次エアー】

動力選定

空圧機器のシステム設計において、エア配管は
圧縮空気を適切に各機器に供給するための重要な要素です。

エア配管の設計と施工が正しく行われていないと、
圧力損失や漏れが発生し、システム全体の効率が低下する原因になります。

この記事では、エア配管の種類、設計ポイント、
配管材の選定基準などについて解説します。

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エア配管の基本機能

エア配管は、コンプレッサーから圧縮空気を取り出し、
シリンダー、アクチュエーター、エアツールなど、
各空圧機器に供給する役割を果たします。

また、配管は空気の供給だけでなく、
圧力や流量の制御も可能にします。

エア配管の種類

硬質配管(スチール・ステンレス管)

強度が高く、耐久性に優れた素材。
高圧空気の供給や大規模な空圧システムで使用されます。

ステンレス配管は耐食性も高いため、
腐食が問題となる環境でよく使用されます。

📌 用途

  • 高圧用途、大型空圧システム、化学プラントや屋外設備など。
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軟質配管(ナイロン・ポリウレタンチューブ)

柔軟性が高く、曲げやすいのが特徴で、
小型空圧機器や狭いスペースへの配管に適しています。

施工が容易で、軽量のため簡単に取り扱いが可能です。

📌 用途

  • 小型空圧機器、移動式設備、ロボットアームなど。

フレキシブルホース

大きな振動や機器の移動に対応できるフレキシブルホースは、
移動の多い場所や、高温や化学的に厳しい環境での配管に使用されます。

📌 用途

  • 振動や可動部の多い設備、移動機器やエアツール。

配管種類メリットデメリット
硬質配管長寿命
高温環境でも使用可能
耐薬品性に優れる
(ステンレスの場合)
配管の加工が手間
設置や変更が難しい
重量がある
軟質配管配管作業が容易
柔軟な設置が可能
軽量で小型機器に適する
耐圧性が低い
高温環境に弱い
(ポリウレタンの場合)
フレキシブルホース振動や衝撃を吸収
耐久性と柔軟性のバランスが良い
長い寿命
他の配管に比べて高価
取り回しが悪くなる

💡補足:選定のポイント

硬質配管は、配管の固定が必要で
高圧や高温の条件がある場合に適しています。

軟質配管は、軽量で柔軟な配管が求められる
小型の空圧システムや頻繁に変更が必要な配管に最適です。

フレキシブルホースは、振動が多い環境や可動部の接続に適しており、
寿命や耐久性を重視する場合に選ばれます。

エア配管の設計ポイント

圧力損失の最小化

配管の長さや直径が適切でない場合、
圧力損失が生じ、システムの効率が低下します。

特に長距離配管の場合、圧力が低下しないように
十分な内径を持つ配管を選定し、
エアの流れを妨げないようにします。

配管径の選定

配管の径は、システム全体の流量と圧力に基づいて決定します。

配管が細すぎると、流量不足や圧力低下が発生し、
太すぎるとコストや設置スペースが無駄になります。

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配管ルートの最適化

直線的で短いルートを採用し、
必要以上に曲げや分岐を減らすことで、
圧力損失を抑えます。

曲げが多いと流れの抵抗が増加し、
圧力損失の原因となります。

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漏れの防止

配管の接続部や継手部分は、
シールやテープでしっかりと密閉し、
漏れを防ぐ必要があります。

定期的な点検を行い、
漏れがないかを確認することも重要です。

耐久性と環境対応

使用する空気の温度や湿度、配管が設置される
環境(腐食性、摩耗など)に合わせた材質を選定します。

例えば、腐食の危険がある場合には
ステンレス鋼や樹脂製配管を選ぶといった工夫が必要です。

適切な傾斜の確保

空圧配管の内部に水分が溜まることを防ぐために、
配管はわずかな傾斜を持たせて設置するのが望ましいです。

配管内に溜まった水分が自然に排出されるようにします。

配管の振動対策

空圧機器は稼働中に振動を発生することがあります。

これに対して、振動吸収材や固定具を使用して配管を安定させ、
振動による接続部の緩みや配管の破損を防ぎます。

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配管材の選定基準

圧力耐性

使用する圧力に対して適切な配管材を選びます。

特に高圧システムでは、耐圧性能が保証された配管材が必要です。

耐腐食性

配管が設置される環境や使用される空気の特性に応じて、
腐食に強い材料を選定することが重要です。

湿気が多い環境ではステンレスや樹脂製配管を選びます。

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温度耐性

配管材の耐熱性も重要です。

高温環境では、ナイロンやポリウレタン製の配管は劣化が早いため、
ステンレス鋼などの耐熱性のある素材を選びます。

エア配管の施工とメンテナンス

施工時の注意点

配管の接続部分がしっかりと締められているか、
継手部分にシール材が正しく塗布されているかを確認します。

また、取り回しが適切かどうか、
配管が擦れたり曲げられすぎたりしていないかも重要です。

メンテナンス

定期的な漏れチェックや継手の点検を行い、
圧縮空気の漏れを早期に発見します。

エアフィルターや水分除去装置のメンテナンスも
並行して行い、空気の品質を保つことが大切です。

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2次エアー配管におけるエアチューブとワンタッチ継手の特徴

空圧機器を使用したシステムでは、エア配管は重要な役割を果たします。

特に2次エアー配管(末端の配管)では、
エアチューブとワンタッチ継手が一般的に使用され、
利便性と効率性を向上させています。

本項では、これらの特徴や選定ポイントについて解説します。


エアチューブの特徴

エアチューブは、空圧機器の2次配管で広く使用される柔軟な配管です。

以下に主な特徴を挙げます。

材質

  • ポリウレタン
    • 柔軟性が高く、狭いスペースや複雑な配管に適しています。
  • ナイロン
    • 耐圧性が高く、摩耗や化学薬品への耐性があります。

メリット

  • 柔軟性
    • 狭いスペースや移動が必要な配管にも対応可能。
  • 軽量:
    • 小型装置や移動式設備に最適。
  • 簡単な切断と接続
    • 現場で長さ調整が容易。

デメリット

  • 耐圧性や耐熱性は硬質配管より劣る。
  • 長期間使用すると素材が硬化し、交換が必要。

💡 適用用途

  • 小型空圧装置
  • ロボットアームなどの可動部
  • 工場内の軽負荷ライン

ワンタッチ継手の特徴

ワンタッチ継手は、エアチューブを接続するために使用される部品で、
配管作業の効率を劇的に向上させます。

構造と動作

  • 継手内部にリング状の爪があり、エアチューブを押し込むだけで固定可能。
  • 着脱が簡単で、工具を使用せずに再接続が可能。

メリット

  • 取り付けの容易さ
    • 工具不要で接続作業が迅速に行える。
  • コンパクト設計
    • 狭いスペースにも適応可能。
  • 高い密閉性
    • エア漏れを防止する構造。

デメリット

  • 耐振動性はねじ込み式継手に劣る場合がある。
  • 高温や高圧環境では使用制限があることが多い。

💡適用用途

  • 自動化ラインの分岐配管
  • 短期間で頻繁に変更がある現場
  • 可動部の配管接続

エアチューブとワンタッチ継手の組み合わせによる利便性

エアチューブとワンタッチ継手の組み合わせは、以下の利便性を提供します。

  1. 迅速なメンテナンス
    • 配管の変更や修理が容易で、
      システムのダウンタイムを最小限に抑えられます。
  2. 柔軟な設計
    • 複雑なルートや可動部分にも柔軟に対応可能。
  3. コスト削減
    • 専用工具や熟練した技術が不要で、
      初期設置や配管変更にかかるコストを削減できます。

選定ポイント

エアチューブとワンタッチ継手を選ぶ際には、
以下を考慮してください。

使用環境

  • 高温や高圧環境では適切な材質を選択すること。
  • 化学薬品にさらされる場合は耐薬品性の高い素材を選ぶ。

流量要件

  • チューブの内径がシステムの流量要件を満たしているか確認する。

振動や衝撃

  • 振動が多い環境では、ねじ込み式や補強付き継手を検討。

エアチューブとワンタッチ継手は、
空圧機器の2次エアー配管で不可欠な要素です。

それぞれの特徴を理解し、
使用環境や目的に応じて適切な選定を行うことで、
効率的で信頼性の高い空圧システムを構築できます。

特に、小型装置や可動部の多い設備では、
その利便性を最大限に活かすことができます。

まとめ

エア配管は、空圧システムの効率と安定性に
大きな影響を与える重要な要素です。

適切な配管材の選定、圧力損失を抑えるための設計、
漏れの防止策などを考慮することで、
システム全体の性能を最大限に引き出すことができます。



はじめ
はじめ

モーターやアクチュエーターなど、
機械の駆動源に関する基礎知識と
選定基準をまとめています。

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