【省スペース】ギヤモーターの特徴と取付姿勢について【低速・高トルク】

動力選定

ギヤモータは、電動機(モーター)と
減速機(ギヤボックス)を一体化した装置であり、
機械設計において動力伝達の効率化や
設置スペースの削減を目的として広く利用されています。

本記事では、ギヤモータの特徴や選定ポイントについて詳しく解説します。

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ギヤモータの特徴

省スペース設計

ギヤモータはモーターと減速機が一体化しているため、
別々に設置する場合と比較して設置面積が小さく、
機械全体のコンパクト化に寄与します。

高い効率性

適切なギヤ比を選定することで、
出力軸に必要なトルクや回転数を効率的に供給できます。

また、摩擦ロスを抑えた設計のギヤボックスを
使用することでエネルギー効率が向上します。

低速・高トルクの実現

モーターの高回転を減速することで、
高トルクを得ることが可能です。

これにより、大きな負荷を駆動する用途にも適しています。

耐久性と信頼性

ギヤモータは、適切に設計・選定された場合、
長寿命で信頼性の高い動力伝達が可能です。

高品質なギヤと適切な潤滑が施されていることが耐久性の要となります。

カスタマイズ性

多くのギヤモータメーカーでは、
用途に応じた仕様変更が可能で、
特殊な環境(高温、多湿、耐腐食性など)にも対応可能です。

ギヤモータの取付姿勢の種類

平行軸タイプ

出力軸とモーター軸が平行になるように配置された構造です。

このタイプは、コンパクトでシンプルな形状が特徴で、
さまざまな装置に適用可能です。

水平設置が一般的ですが、スペースに応じて垂直設置も可能です。

特徴

  • コンパクトなデザインで設置が容易。
  • 負荷の伝達効率が高い。
  • シンプルな設計でメンテナンスが簡単。

🔍 用途例

コンベアや搬送装置など、
負荷の方向が一定の用途に多く使われます。


直行軸タイプ

モーター軸と出力軸が直交する構造です。

この配置により、限られたスペースに効率よく設置できます。
特に、L字型のレイアウトが必要な機器や装置に適しています。

特徴

  • 空間効率が高く、狭いスペースでも設置可能。
  • 複雑な動力伝達機構が不要。
  • 重負荷や高トルクを効率的に伝達可能。

🔍 用途例

巻き取り装置や昇降装置、
工場の省スペース設備に適しています。


フランジタイプ

フランジを介して取り付けるタイプで、
壁面や側面に直接取り付けることが可能です。

装置のデザインに合わせて水平・垂直いずれの方向にも対応できます。

特徴

  • 壁や垂直な面に取り付け可能で、省スペース化に貢献。
  • 安定した取り付けが可能。
  • 垂直方向の負荷に強い。

🔍 用途例

垂直搬送装置やポンプ駆動装置など、
設置スペースが限られる場合に使用されます。


トルクアーム付タイプ

フランジタイプにトルクアームを付加したモデルで、
モーターの回転をトルクアームで抑える形式です。

シャフトへの直接取り付けが可能で、
シンプルな取り付けが求められる用途に適しています。

特徴

  • トルクアームが動力の安定性を向上させる。
  • 設置が容易で、振動抑制効果も期待できる。
  • メンテナンスが簡単で交換作業が迅速。

🔍 用途例

コンベアや回転テーブル、
搬送装置などでよく用いられます。


取付姿勢選定時の総合ポイント

📌 使用環境に応じて適切な取り付けタイプを選定する。
📌 負荷条件や設置スペースを十分考慮する。
📌 特にトルクアーム付タイプは振動の多い場所や精度が求められる設備に最適。


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ギヤモータの選定ポイント

必要な出力トルクと回転速度の確認

機械に求められるトルクと回転速度を計算し、
それに応じたギヤモータを選定します。

この際、負荷特性(定常負荷・衝撃負荷など)も考慮する必要があります。

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使用環境の考慮

使用場所の温度、湿度、粉塵、腐食性ガスの有無などに応じて、
防塵・防水仕様や耐腐食性仕様のギヤモータを選びます。

減速比の適切な選定

減速比は、モーターの回転速度を
出力速度に変換する重要な要素です。

必要な速度とトルクを達成するために
最適な減速比を選択します。

減速比についての関連記事はこちら

サイズと取り付け方法

設置スペースに適合するサイズのギヤモータを選ぶとともに、
取り付け方法(フランジ型、脚型など)を機械構造に合わせて選定します。

効率と騒音レベル

効率の良いギヤモータを選ぶことで、
エネルギーコストを削減できます。

また、騒音が問題になる場合は、
静音設計のギヤモータを選択します。

寿命とメンテナンス性

ギヤモータの寿命は、潤滑油の種類や
メンテナンス頻度にも影響されます。

長寿命設計の製品やメンテナンスが容易な製品を選ぶと、
運用コストを抑えられます。


主なメーカー

株式会社ニッセイ         メーカーページはこちら

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まとめ

ギヤモータは、モータと減速機が一体化した動力伝達装置であり、
機械設計において欠かせない要素の一つです。

その主な特徴は、設置スペースを効率的に活用できる
コンパクトな設計、高いトルク出力、
そして幅広い用途に対応できる汎用性です。

また、動力伝達を効率化し、
装置の運転コストを低減するためにも、
設計の初期段階からギヤモータの選定は重要な役割を果たします。

ギヤモータの選定においては、
まず装置の使用条件を正確に把握することが必要です。

具体的には、必要なトルクや回転速度、負荷条件、運転時間、
設置環境(温度、湿度、振動、塵埃など)を考慮する必要があります。

たとえば、高トルクが求められる用途では
適切な減速比を持つギヤモータを選び、
コンパクトな設置スペースが必要な場合には
小型でフランジ取付が可能なタイプが適しています。

また、防塵・防水性能を備えたモデルは、
屋外や過酷な環境での使用に適しています。

さらに、ギヤモータの取付姿勢も選定の重要な要素です。

たとえば、平行軸タイプはシンプルなレイアウトが可能であり、
直行軸タイプは設置スペースを有効活用できるため、
搬送装置やコンベアでよく使用されます。

フランジタイプは、垂直な面や狭いスペースへの設置に便利で、
安定した取付けが特徴です。

また、トルクアーム付タイプは、
振動や衝撃を吸収しやすい構造で、
特定の条件下での柔軟な対応が可能です。

一方、長期的な信頼性を確保するためには、
正しいギヤモータのメンテナンス計画も重要です。

オイル交換や定期的な点検を怠ると、
ギヤやモータ部分の摩耗や故障が発生し、
装置の停止やコスト増加を招く可能性があります。

設計者としては、メーカーが提供するメンテナンス情報や
ガイドラインを活用し、適切なメンテナンス計画を立てるべきです。

加えて、環境や用途に応じた選定が求められるため、
ニッセイやその他の主要メーカーが提供する詳細なカタログや
技術サポートを最大限活用することを推奨します。

これにより、ギヤモータの性能をフルに発揮させるとともに、
設計目標に合致した最適な動力伝達を実現することが可能です。

総じて、ギヤモータの選定は、装置の効率性、耐久性、
そしてトータルコストに大きく影響します。

設計者は使用条件と性能を深く理解し、
適切な選択を行うことで、
装置全体のパフォーマンスを最大化しつつ、
コスト削減と信頼性向上を両立させることができます。



はじめ
はじめ

モーターやアクチュエーターなど、
機械の駆動源に関する基礎知識と
選定基準をまとめています。

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