空圧機器を使用する際、「もっと高い圧力を得たい」「圧力の安定性を向上させたい」と考えることはありませんか?
そんなときに役立つのが 増圧弁 と エアタンク です。
この記事では、それぞれの特徴と活用法について詳しく解説します!
増圧弁とは?
増圧弁の基本機能
増圧弁(ブースターバルブ)は、供給される圧縮空気の圧力をさらに高める装置 です。
通常、工場のエア供給ラインは 0.5~0.7MPa 程度ですが、
「特定の機器だけ 1.0MPa 以上の圧力が必要!」という場合に、増圧弁が活躍します。
仕組み
増圧弁は、内部の ピストン機構 を利用して、入力空気の圧力を上昇させます。
たとえば、供給圧力 0.5MPa のエアを 1.0MPa に倍増することが可能です。
増圧弁の活用法
✅ 高圧力が必要な装置への供給
→ 成形機やシリンダー駆動で強い力が必要な場合に使用
✅ コンプレッサーの負担を減らす
→ 必要な部分だけ局所的に圧力を上げることで、コンプレッサーの大型化を避ける
✅ 圧力を均一に維持する
→ 一部の機器だけ圧力を変えられるため、システム全体の圧力を一定に保てる
増圧弁の高圧力供給:必要な装置と活用法をわかりやすく解説!
空圧システムにおいて、一般的な工場エアの供給圧力は 0.5~0.7MPa が標準ですが、
「一部の機器だけ 1.0MPa 以上の高圧が必要! 」というケースもあります。
そんなときに活躍するのが 増圧弁(ブースターバルブ) です。
本項では、高圧エアを必要とする装置の種類や、増圧弁の活用方法について詳しく解説します!
高圧エアを必要とする装置とは?
工場で使用される機器の中には、通常の供給圧力 0.5~0.7MPa では不十分なものがあります。
主に以下のような装置では、高圧エアが必要になります。
空圧シリンダー(強い押し出し力が必要な場合)
空圧シリンダーは、ピストンの圧力 × 面積 によって推進力を生み出します。
高い圧力をかけることで、より大きな力を発生させることが可能!
📌 高圧エアが必要なシリンダーの例
✅ 重量物を押し出すシリンダー(例:プレス機、成形機)
✅ 摩擦が大きいワークを移動させるリフターシリンダー
✅ 強い締め付けが必要なクランプシリンダー
💡 例:通常のエアシリンダー(直径 50mm)の場合
- 0.5MPa の圧力 → 推力 約980N(100kgf)
- 1.0MPa の圧力 → 推力 約1960N(200kgf)
➡ 2倍の力を得られる!
エアツール(インパクトレンチ、エアカッターなど)
エア工具(インパクトレンチ、エアカッター、ドリル)では、
圧力が低いとトルク不足でパワーが落ち、作業効率が悪化します。
✅ ボルトの締め付けトルクを上げたい場合
✅ 金属の切断や穴あけ加工を高速で行いたい場合
このようなケースでは、増圧弁を使って 1.0MPa 以上のエアを供給することで、
作業時間を短縮し、確実な加工が可能になります。
エアブロー(強力な吹き飛ばしが必要な場合)
エアブローは、製品の表面の埃や切粉を吹き飛ばすのに使われますが、
通常の圧力では勢いが足りず、取り切れないことがあります。
✅ 金属加工後の切粉除去
✅ 高速ラインでの埃・異物除去
➡ 増圧弁で高圧エアを供給することで、吹き飛ばす力を大幅にアップ!
増圧弁の導入時の注意点
エア流量の制限に注意!
増圧弁は、供給圧力を上げることはできますが、流量は減少 します。
そのため、使用するシリンダーやエアツールのエア消費量が多い場合、
エア供給不足が発生する可能性があります。
📌 対策方法
✅ エアタンクを併用し、一時的なエア不足を防ぐ
✅ 増圧弁の流量性能(L/min)を機器に合わせて選定する
コンプレッサーの負荷を考慮
増圧弁を多用すると、圧縮空気の消費量が増加し、
コンプレッサーの負荷が増える可能性があります。
📌 対策方法
✅ コンプレッサーの容量を確認し、供給能力を超えないようにする
✅ 消費エア量が大きい場合は、真空ポンプや電動シリンダーを検討する
増圧弁の選定ポイント
増圧弁を選ぶ際は、以下のポイントをチェックしましょう!
選定項目 | チェックポイント |
---|---|
増圧比 | 2倍・3倍など、必要な圧力を確保できるか |
流量(L/min) | 使用する機器のエア消費量に対応できるか |
設置スペース | 配管経路や取り付け位置を確保できるか |
エアタンクとの併用 | 圧力変動を防ぐため、タンクを追加するか |
特に、流量不足になると性能が発揮できない ため、
「高圧が必要な機器のエア消費量」に対して、十分な流量を持つ増圧弁を選ぶことが重要です。
✅ 増圧弁を使うと、特定の機器に高圧エアを供給できる!
✅ シリンダー・エアツール・エアブローの性能を向上させられる!
✅ 工場全体の圧力を上げずに、局所的に高圧化できるので省エネ!
✅ 流量制限やコンプレッサー負荷に注意し、適切な選定を行う!
増圧弁を上手に活用すれば、効率的な空圧システムを構築できます!
ぜひ、設計に取り入れてみてください。
エアタンクとは?
🔹 エアタンクの基本機能
エアタンクは、圧縮空気を一時的に蓄えるための装置 です。
工場のコンプレッサーやエア配管の圧力を安定させるために使用されます。
🔹 仕組み
タンク内に圧縮空気を蓄えることで、急激なエア消費にも対応でき、圧力変動を抑えることができます。
🔹 エアタンクの活用法
✅ 圧力の安定化
→ エア消費の変動が大きい機械でも、タンクを使うことで一定の圧力を供給可能
✅ コンプレッサーの負荷軽減
→ 短時間で大量のエアを使う場合でも、タンクが補助するため、コンプレッサーの稼働回数を減らせる
✅ 緊急時のエア供給
→ コンプレッサーが停止しても、タンク内のエアで一定時間動作可能
エアタンクの容量計算をわかりやすく解説!
エアタンクを選定する際、必要な容量を計算する方法 と 経験則で選ぶ方法 があります。
ここでは、計算による選定方法 を 具体的な例を交えて わかりやすく解説します!
引用元: 株式会社 明治機械製作所
エアタンク容量の計算式
エアタンクの容量 (m³)は、以下の式で求められます。
\( \displaystyle V=\frac{Q×t} {(P1-P2)×10}\)
それぞれの記号の意味
記号 | 意味 | 単位 |
---|---|---|
V | 空気タンクの容量 | m³(立方メートル) |
P1 | 空気タンク内の圧力 | MPa(メガパスカル) |
P2 | 必要な吐出圧力 | MPa |
Q | 使用空気量(必要空気量 – 吐出し空気量) | m³ |
t | 使用時間 | 分 |
計算例:エアブロー用のタンク選定
条件
- 1分間に 2m³ のエアを消費するエアブローを使用する
- 3分間 連続でエアを供給したい
- タンク内圧力(P1):0.8MPa
- 必要吐出圧力(P2):0.5MPa
この場合、タンク容量 V を求めると…
\( \displaystyle V=\frac{2×3} {(0.8-0.5)×10}\)
\( \displaystyle V=\frac{6} {3}=2.0㎥(2000L)\)
➡ 必要なエアタンクの容量は 2000L!
つまり、2000Lのタンクを設置すれば、3分間安定してエアブローを供給できます。
計算例:エアシリンダーを安定稼働させる場合
条件
- 1回のストロークで 0.5m³ のエアを消費するエアシリンダー
- 1分間に 5回 動作する(合計 2.5m³ の消費)
- 2分間 安定して動作させたい
- タンク内圧力(P1):0.7MPa
- 必要吐出圧力(P2):0.4MPa
この場合、タンク容量 Vは…
\( \displaystyle V=\frac{2.5×2} {(0.7-0.4)×10}\)
\( \displaystyle V=\frac{5} {3}≈1.67㎥(1670L)\)
➡ 必要なエアタンクの容量は 1670L!
このタンクを設置すれば、エアシリンダーが 2分間安定して動作 できます。
経験則でエアタンクを選ぶ場合
エアタンクの容量は、コンプレッサーの出力(kW) を基準に経験的に選定することもできます。
以下の表が目安になります。
コンプレッサー出力(kW) | タンク容量(L) |
---|---|
2.2~3.7 | 30~100 |
5.5~7.5 | 100~200 |
11~15 | 200~400 |
22 | 400~600 |
37 | 600~1000 |
55 | 1000~1500 |
75 | 1500~3000 |
例えば、5.5kW のコンプレッサー を使っている場合、
100L~200L のエアタンクが適切なサイズになります。
✅ 計算式でエアタンクの容量を正確に求められる!
✅ 局所的にエア消費が大きい場合は、タンク容量を増やすのが重要!
✅ 経験則でコンプレッサー出力に応じたタンク容量の目安もある!
エアタンクの適切な選定は、エア圧の安定化 に大きく関わります。
計算を活用し、最適なエアタンクを選びましょう! 💡
空圧機器のタンク活用術:局所的なエア消費を安定化する方法
空圧機器を使用する際、「エア圧が安定しない…」というトラブルに悩んだことはありませんか?
特に 局所的にエア消費が大きい機器(大型エアシリンダー・エアブロー・エアツールなど)を使うと、
圧力が急激に低下し、システム全体の動作に悪影響を与えることがあります。
そんな問題を解決するのが エアタンクの活用 です!
今回は エアタンクによる圧力安定化の仕組みと設計のポイント について、わかりやすく解説します!
なぜ局所的なエア消費が圧力低下を引き起こすのか?
空圧システムでは、コンプレッサーがエアを供給し、配管を通じて各機器へ供給されます。
しかし、以下のような状況では 一時的な圧力低下 が発生しやすくなります。
圧力低下が起こる主な原因
原因 | 詳細 |
---|---|
急激なエア消費 | 大型エアシリンダーやエアブローが一気にエアを使うと、圧力が一時的に下がる |
配管の圧力損失 | 長い配管や細い配管では、流れが悪くなり供給が追いつかない |
コンプレッサーの遅れ | コンプレッサーの供給能力を超える消費が発生すると、回復に時間がかかる |
➡ こうした問題を解決するために、局所的なエアタンクの設置が有効です!
➡ エア配管の最適化も必要になります。
エアタンクを活用した圧力安定化の仕組み
エアタンクは、圧縮空気を一時的に蓄え、必要なときに素早く供給する役割 を持ちます。
これにより、局所的に大きなエア消費が発生しても、供給が追いつかず圧力が下がるのを防げます。
エアタンクの役割
✅ 圧力変動を吸収し、安定したエア供給を実現
✅ 急激なエア消費に対応し、コンプレッサーの負荷を軽減
✅ 配管の圧力損失を補い、流量不足を解消
どんな機器で効果的?
機器 | エアタンクの効果 |
---|---|
大型エアシリンダー | ピーク時のエア不足を補い、動作を安定させる |
エアブロー | 強力なブローを維持し、異物除去の効果を高める |
エアツール(インパクトレンチ等) | 連続使用時のトルク低下を防ぐ |
増圧弁(ブースターバルブ) | 供給不足を防ぎ、安定した高圧エアを確保 |
エアタンクの設置ポイント
エアタンクを導入する際は、適切な設置場所を考える必要があります。
設置場所のポイント
タンクは、圧力低下が起こりやすい機器の近く に設置するのが理想的です。
✅ シリンダーの近くに設置 → 推力が安定
✅ エアブローの直前に設置 → 強力なブローを維持
✅ 増圧弁の手前に設置 → 安定した高圧エアを供給
また、タンクと配管の径を適切に選定する ことで、スムーズなエア供給が可能になります。
タンクの種類と選び方
エアタンクには 一般的な圧縮空気タンク のほか、特定の用途に適した種類があります。
タンクの種類 | 特徴 |
---|---|
一般的なエアタンク | 標準的な用途に適した汎用タイプ |
増圧用タンク | 高圧エア用(増圧弁と併用) |
ステンレス製タンク | クリーンエア用途(食品・医療向け) |
小型タンク | 局所的な設置に適したコンパクトタイプ |
エアタンク導入のメリットまとめ
✅ 局所的なエア消費が大きい機器への圧力安定化が可能!
✅ シリンダー・エアツール・エアブローの性能を最大限に活かせる!
✅ コンプレッサーの負担を軽減し、エネルギー効率を向上!
✅ 増圧弁と併用することで、高圧エア供給も安定化!
エアタンクを適切に活用することで、空圧システムの効率が向上し、機器の安定稼働につながります。
「エア圧が不安定で困っている…」という場合は、ぜひエアタンクの導入を検討してみてください!
増圧弁とエアタンクの組み合わせ活用
増圧弁とエアタンクを組み合わせることで、より効率的な空圧システムを構築できます。
📌 活用例1:圧力が不安定な機器の安定化
- エアタンクで圧力変動を抑える
- 増圧弁で必要な圧力まで引き上げる
📌 活用例2:エア供給不足の解決
- 増圧弁を使って高圧エアを供給
- エアタンクで蓄圧し、瞬間的なエア不足をカバー
増圧弁・エアタンクの選定ポイント
項目 | 増圧弁 | エアタンク |
---|---|---|
目的 | 局所的に圧力を高める | 圧力変動を抑える・エア供給を安定化 |
メリット | 高圧エアが必要な機器に有効 | 圧力の安定化・コンプレッサー負荷軽減 |
注意点 | 供給流量が制限されることがある | 大きすぎると設置スペースが必要 |
主な用途 | シリンダー・エア工具 | エア供給ラインの圧力調整 |
まとめ
✅ 増圧弁は、必要な部分だけ圧力を上げるのに有効!
✅ エアタンクは、圧力を安定させ、コンプレッサーの負荷を減らせる!
✅ 両方を組み合わせることで、より効率的な空圧システムを構築可能!
空圧システムの設計では、適切に増圧弁やエアタンクを活用することで、
「高効率」「安定動作」「コスト削減」を実現できます!
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