シャフトは、機械要素の中でも特に重要な部品であり、
動力や回転力を伝達する役割を担います。
シャフトは回転機械や動力伝達装置において不可欠な要素であり、
その設計や選定は機械の性能や耐久性に大きな影響を与えます。
本記事では、シャフトの基本的な機能、種類、
そして選定時の重要なポイントについて解説します。
シャフトの基本的な機能

シャフトは、機械や装置の中で回転や力を伝える中心的な部品です。
見た目はただの棒のようですが、実はとても多くの役割をこなしています。
動力伝達
シャフトの最も重要な仕事は、回転力(トルク)を別の部品に伝えることです。
例えば、モーターで発生した力をギアやベルトプーリーを介してタイヤや工具に伝えるなど。
こうした場面では、
シャフトがねじれに強い材質で作られていないと、力がロスしてしまいます。
回転力の支え
シャフトは回転する部品を支える軸でもあります。
ただ回すだけでなく、回転中にブレたり曲がったりしないように支えるのです。
回転運動の精度確保
シャフトは回転運動の中心になるため、真っ直ぐであることと形状精度がとても重要です。
特に高速回転する機械では、ほんのわずかな曲がりでも大きな問題になります。
そのため、シャフトは加工精度やバランス調整が厳しく管理されます。
荷重の支持
シャフトは動力を伝えるだけでなく、荷重(力)を受け持つ場合があります。
荷重には主に2種類あります。
- ラジアル荷重(シャフトに対して横向きの力)
例:回転ローラーを押さえる力 - スラスト荷重(シャフトに対して軸方向の力)
例:ギアのかみ合わせで発生する押し付け力
荷重が大きい場合は、太くて強いシャフトや、強度の高い合金鋼を選びます。
まとめ
シャフトは、ただの金属棒ではなく
動力を伝える(ねじれに強い必要あり)
回転を支える(ベアリングで安定)
精度を保つ(曲がり・ブレは大敵)
荷重を受ける(材質と太さの選定が重要)
という4つの重要な役割を持っています。

そのため、材質選び、加工精度、支持方法、潤滑など、
設計段階でしっかり考えることが必要です。
シャフトの種類
シャフトには、用途や機械の特性に応じていくつかの種類があります。

以下は代表的なシャフトの種類です。
回転軸(ストレートシャフト)
一般的な円筒形のシャフトで、シンプルな構造が特徴です。
主に回転力を伝達するために使用されます。
クランクシャフト
断続的な回転運動を円滑に伝達するための特殊なシャフトで、
自動車のエンジンやポンプで使用されます。
クランク機構により、往復運動を回転運動に変換する機能を持ちます。
カムシャフト
カムが取り付けられたシャフトで、
回転運動をカムによって指定されたタイミングでの往復運動に変換します。
スプラインシャフト
軸方向に沿って溝が切られたシャフトで、トルク伝達能力が高く、
スプライン穴と噛み合わせることで動力を伝える役割を持ちます。
シャフトの選定ポイント
シャフト選定に必要な「使用目的」「トルク・荷重能力」「材質選定」「回転速度」
「支持方式(軸受け)」「加工精度」「ねじり強度・剛性」などの観点から、
設計者が押さえておくべきポイントを体系的に解説します。
使用目的
- 一般的な回転伝達 → 回転軸(ストレートシャフト)
- 回転と往復の変換が必要 → クランクシャフト
- 正確な往復運動が必要 → カムシャフト
- 高トルク伝達が必要 → スプラインシャフト
トルク・荷重能力
シャフトにかかるトルクや強度を耐えられる強度が必要です。
ねじりモーメントや曲げモーメントを考慮して検討します。
材質の選定
シャフトの材質は、使用環境や負荷に合わせて選びます。
炭素鋼やステンレス鋼、工具鋼など一般的です。
回転速度
シャフトの回転速度に対応する剛性や軸受けを考慮する必要があります。
高速回転には特に動的バランスや振動抑制が求められます。
支持方式(軸受け・ベアリング)
シャフトを支えるために使用されるベアリングや軸受けの選定も重要です。
シャフトと軸受けの組み合わせによっては、
摩擦や振動が発生することがあるため、適切な組み合わせを選ぶ必要があります。
ラジアル荷重が大きい場合には深溝玉軸受け、
軸方向荷重が大きい場合にはスラスト軸受けが使用されます。
加工精度と表面仕上げ
シャフトの加工精度や表面仕上げは、機械の性能や耐久性に大きく影響します。
高い精度が求められる場合は、研磨加工や仕上げ加工を必ず行うことが必要です。
ねじり強度・剛性
シャフトはねじりや曲げに対する耐久性が求められるため、
シャフトの剛性や強度の評価が必要です。
過剰なねじりによるねじれ振動を防ぐため、
シャフトの断面積や形状を調整します。
特に長いシャフトの場合、たわみや曲げが発生しやすいため、
剛性を高める工夫が必要です。
回転機構の重要性について
シャフトは機械設計において、動力を伝達し回転運動を生み出す重要な機械要素です。
特に回転機構は、多くの機械の心臓部として機能し、
設計の精度や性能に直接影響を与えます。
シャフトの回転機構の重要性について、
その役割、設計の考慮点、使用事例を交えて解説します。
シャフトの回転機構の役割
動力の伝達
エンジンやモーターから発生した回転運動を他の部品に伝達します。
たとえば、自動車ではクランクシャフトがエンジンの動力を車軸に伝えています。
機械全体の効率化
効率的な動力伝達が可能であり、
摩擦やエネルギー損失を抑えられる設計が求められます。
ベアリングやカップリングを組み合わせることでスムーズな回転を実現します。
動力の変換
回転運動を直線運動に変換したり、
速度を調整するギアやプーリーと組み合わせて機械の動作を最適化します。
シャフトの回転機構の設計における重要ポイント
✅ 精度の確保
- シャフトの中心軸が正確であることが重要です。
- これにより、振動や摩擦が抑えられ、長寿命化が図れます。
- 同芯度や偏心量の管理が設計の鍵となります。
✅ 材料選定
- シャフトには高い剛性と強度が求められます。
- S45CやSCM440などの炭素鋼や合金鋼が一般的に使用されます。
- 軽量化が重要な場合にはアルミ合金やチタン合金が選ばれることもあります。
✅ 摩擦・潤滑管理
- 回転に伴う摩擦を減少させるために、適切な潤滑剤の使用やベアリングの選定が必要です。
- 潤滑不足による摩耗や発熱を防ぐことで、性能を維持できます。
✅ 過負荷への対応
- 軸が伝達するトルクや回転速度に対して、適切な寸法や断面形状を選ぶことが重要です。
- 過負荷や衝撃に耐えられる設計が求められます。
- 過負荷検知は、機械の安全性と耐久性を確保するために重要です。
✅ 軸受け部の設計
- シャフトを支持する軸受け部には、適切なベアリングを選ぶ必要があります。
- 回転速度や荷重に応じた設計を行うことで、シャフトの安定した動作が可能になります。
シャフト回転機構のメリットと課題
シャフトは、回転運動や動力を伝えるために欠かせない機械要素です。
その機能には大きなメリットがありますが、一方で注意すべき課題も存在します。
効率的な動力伝達
高精度な運動の実現
長寿命化が可能
シャフト回転機構は、効率性・精度・耐久性の3つの面で優れていますが、
その性能を最大限引き出すためには、潤滑管理・精度加工・強度設計が重要です。

設計段階でこれらの課題に対応することで、
安定稼働と長寿命化が実現できます。
主なメーカー
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まとめ
シャフトは機械設計における動力伝達や回転運動の
中心的な役割を決める要素であり、
その選定は機械の性能や耐久性に直結します。
多くの要素を総合的に検討し、
最適なシャフトを評価することが重要です。
適切なシャフトを選ぶことで、
機械的厚みを高め、効率的なパワー伝達が可能になります。
回転機構について
回転機構は、動力を正確に伝え、
機械全体の性能を最大化する上で欠かせない要素です。
その設計には、精度、材料選定、摩擦管理など、
多岐にわたる要素を考慮する必要があります。
また、使用環境に適したシャフト設計を行うことで、
効率性と信頼性を両立させることが可能です。

適切なシャフト設計は、機械の動作を安定させ、寿命を延ばすだけでなく、
全体のコストパフォーマンスを向上させるための重要なポイントとなります。
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