機械設計において、エア回路(空圧回路)はエアシリンダや電磁弁、バルブを使って空気の流れを制御する 仕組みです。エア回路図を読むためには、各機器の記号の意味を理解することが大切です。今回は、シリンダ・電磁弁・バルブ の記号についてわかりやすく解説します!
エア回路図(空圧回路図)とは
エア回路図は、空圧システムの構成を理解し、適切に設計・メンテナンスするために不可欠です。基本的な記号や流れを把握することが重要です。
✅ シリンダーのシンボル:エアシリンダーの動作方向や種類を示す記号。
✅ バルブの記号:2ポジション・3ポジションなどの動作パターンを表現。
✅ 圧力源・フィルターの記号:エア供給元や空気清浄機構を示す。
シリンダの種類と記号
シリンダは圧縮空気の力でピストンを動かし、直線運動を生み出す 空圧機器です。主に 「単動シリンダ」 と 「複動シリンダ」 の2種類があります。
単動シリンダ(シングルアクションシリンダ)
✅ 片側にのみ空気を供給し、バネの力で元の位置に戻る シリンダ
✅ 記号の特徴
- 空気が供給される側とバネの戻る側が記載されている
- 片方のポート(空気の出入り口)のみ
📝 記号例

複動シリンダ(ダブルアクションシリンダ)
✅ 両側に空気を供給でき、押し引きの動作が可能
✅ 記号の特徴:
- 2つのポート(空気の出入り口)がある
- 双方向に動作する
📝 記号例

電磁弁の種類と記号
電磁弁は、電気信号でエアの流れをON/OFFするバルブ です。ポート(空気の出入り口)の数と切り替えの仕組みによって分類されます。
2ポート弁
✅ ON/OFFの単純な開閉制御をする弁
✅ 空気の供給を 流す or 止める の2状態
✅ ノーマルクローズ:非通電時はOFF、通電時はON
✅ ノーマルオープン:非通電時はON、通電時はOFF
📝 記号例

3ポート弁
✅ 主に単動シリンダの制御に使用
✅ 3つのポート(空気供給・排気・シリンダ接続)
📝 記号例

5ポート弁・2位置
✅ 複動シリンダの制御に使用される弁
✅ 2つの出力ポートを切り替えて、シリンダの伸縮を制御
✅ 2位置(ON/OFFの2つの状態)を持ち、電磁コイルの動作で切り替え
✅ スプリングリターン型:通電時に動作し、非通電時に元の位置に戻る
✅ ダブルソレノイド型:2つの電磁コイルを使用し、通電するコイルによって弁の位置を切り替え、非通電時にその位置を保持
📝 記号例


5ポート弁・3位置
✅ 複動シリンダの制御に使用される弁
✅ 3つの切り替え位置を持ち、用途に応じて異なる中立(中央)位置を選択可能
✅ 代表的な中立位置の種類
- クローズドセンタ:中立位置で全ポートが閉じ、シリンダが保持される
- エキゾーストセンタ:中立位置でシリンダの両ポートが排気され、負荷なしで動く
- プレッシャセンタ:中立位置でシリンダの両ポートに供給圧がかかり、負荷をかけた状態で保持される
✅ シリンダの制御方法に応じて適切な中立位置を選定することが重要!



バルブの種類と記号
バルブは、空気の流れを調整・制御する役割を持ちます。
チェックバルブ(逆止弁)
✅ 空気の流れを一方向のみにする
✅ 逆流を防ぐ役割
📝 記号例

流量調整バルブ(メーターイン・メーターアウト)
✅ 空気の流れる量を調整
✅ メーターイン:空気の流入量を調整
✅ メーターアウト:排気側の流量を調整
📝 記号例

記号の意味を理解すれば読める!
機械設計において、エア(空圧)回路図を読めるようになることは重要です。一見すると複雑に見える回路図ですが、記号の意味を理解すれば、どのような動作をするのかを把握できます。 本項では、エア回路図を読むための基本をわかりやすく解説します。
エア回路図を読むポイント
✅ 記号の意味を覚える
➡ まずはシリンダ、電磁弁、バルブの基本的な記号を理解する
✅ エアの流れを追う
➡ 圧縮空気の供給元からシリンダまで、どのように空気が流れるかを確認する
✅ 弁の動作を考える
➡ 電磁弁のON/OFFで空気の流れがどう変化するのかをイメージする
エア回路図は、記号の意味を理解することで読めるようになります。 最初は難しく感じるかもしれませんが、基本的なシリンダや電磁弁の記号を覚え、空気の流れをイメージすれば、スムーズに理解できるようになります。

エア回路を正しく読み取ることで、機械の設計やトラブル対応のスキルが向上 します。
まとめ
エア回路図を理解するためには、各機器の記号の意味を知ることが重要 です。
💡 シリンダのポイント
✅単動シリンダ → 片側のみ空気供給、バネで戻る
✅複動シリンダ → 両側に空気供給、押し引き可能
💡 電磁弁のポイント
✅2ポート弁 → 空気のON/OFF制御
✅3ポート弁 → 単動シリンダ用(供給と排気)
✅5ポート弁 → 複動シリンダ用(伸縮制御)
💡 バルブのポイント
✅チェックバルブ → 逆流防止
✅流量調整バルブ → 空気の流れをコントロール
これらの記号を理解すると、エア回路図の読み方がスムーズに なります。機械設計では、用途に応じて最適な空圧機器を選定しましょう!
コメント