レーザー距離センサーの特性と選定ポイント【レーザークラス】

機械要素

〜高精度・非接触の距離計測で信頼性の高い設備設計を〜

レーザー距離センサーは、非接触かつ高精度で距離を測定できるセンサーとして、製造現場や自動化設備などさまざまなシーンで活用されています。
本記事では、レーザー距離センサーの基本原理、特性、選定のポイントまでを初心者にもわかりやすく解説します。


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レーザー距離センサーとは?

レーザー距離センサーは、レーザー光を使って対象物との距離を測定するセンサーです。
反射光を利用して距離を計算するため、対象物に触れることなく正確な位置・距離情報を得ることができます。


測定方式の種類

レーザー距離センサーには主に以下の3つの測定方式があります。

方式特徴用途例
三角測距方式レーザーの反射位置を受光素子で読み取る。近距離向き。工場内設備のワーク位置測定など
TOF方式レーザーが戻ってくるまでの時間を計測。長距離対応。倉庫、AGV、ロボットの距離検出など
干渉方式レーザーの波長変化から距離を高精度に算出。ミクロン単位の変位計測

※選定時には測定範囲と精度要求に応じて方式を選ぶことが重要です。


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レーザー距離センサーの主な特性とメリット

レーザー距離センサーには以下のような特性があります。

非接触で距離を正確に測定

物理的に接触せずに数μm〜数十mの距離を測れるため、摩耗や劣化の心配がありません。

高精度・高分解能

μm単位の変位を検出可能なモデルもあり、精密な位置決め変位監視に適しています。

高速応答

1ms以下の応答速度を持つ製品もあり、高速移動体の検知やフィードバック制御に最適。

応答速度についての関連記事はこちら

対象物の材質や色の影響を受けにくい(モデルによる)

レーザー光は特定波長で安定しているため、対象物が金属でもプラスチックでも検出可能
(ただし反射率の違いには注意が必要)


レーザー距離センサーの選定ポイント

測定距離

必要な測定範囲(例:0.1mm〜10mなど)に応じてモデルを選びましょう。
近距離(〜1m)なら三角測距方式、長距離(数m以上)ならTOF方式が一般的です。

測定精度・分解能

ミクロン単位の制御が必要な場合は、分解能・直線性の数値をよく確認してください。
🔍:分解能0.01mm、直線性±0.1%F.Sなど。

対象物の材質と表面状態

  • 光沢のある金属:レーザーが反射しやすく誤差が出る場合あり
  • 黒色・吸光性の素材:レーザーの反射が弱くなるため測定しにくいことも

👉 対象物の色や表面状態に強いモデルを選ぶ、またはテストを実施するのがベスト。

設置スペースと形状

センサー本体のサイズや取付け方向に注意。
小型モデルもあるので狭い場所にも対応可能です。

保護等級・耐環境性

屋外や粉塵の多い現場で使う場合はIP65以上の防塵・防水性能があるかチェックしましょう。


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レーザー距離センサーの活用例

AGV(自動搬送車)の障害物検知

前方に設置して人や壁との距離をリアルタイムで測定。安全運転を支援。

シリンダーの伸縮量測定

ストロークの端位置を非接触で検出し、位置決め制度をアップ。

製品高さ・厚み検査

搬送中のワークの高さ・厚みを測定し、検査工程に活用。


レーザー距離センサーの注意点と導入のコツ

  • 価格が比較的高めなため、必要な精度・距離をしっかり見極めてから選定しましょう。
  • 測定対象の状態(揺れ、傾き、反射具合)により誤差が出ることもあるため、事前検証が重要です。
  • 設備設計段階から「センサーの設置位置」を明確にしておくと、無理のない配線・保守ができます。

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レーザーセンサーの「レーザー光のクラス」とは?

〜安全に使うために知っておきたい基礎知識〜

レーザー距離センサーは、非接触で高精度な距離測定ができる便利なセンサーですが、「レーザー光を使う」ことから安全面での注意が必要です。
本項では、レーザーセンサーを使う上で知っておきたい「レーザー光のクラス(等級)」について、初心者でも理解しやすく解説します。


そもそも「レーザー光のクラス」ってなに?

レーザー光には、人間の目や皮膚に有害な影響を及ぼす可能性があります。
そのため、国際規格(IEC 60825-1)に基づいて「安全性レベルごとに分類(クラス分け)」がされています。

このレーザークラスは、装置から出る光の「出力(W)」や「波長(nm)」、「照射時間」などを基に決められており、数字が小さいほど安全、数字が大きくなるほど注意が必要です。


レーザークラス一覧と特徴

クラス安全性特徴・説明
Class 1◎ 非常に安全通常使用で目や皮膚に害はないレベル。装置内部でレーザーが使われているが、外部にはほぼ出ない。
Class 1M◎ 条件付きで安全通常の状態では安全だが、光学機器(ルーペ、望遠鏡)越しに見ると危険な場合がある。
Class 2◯ 比較的安全可視光レーザー(400〜700nm)。
一瞬見る程度なら安全。まばたき反射で目を保護可能。
Class 2M△ 条件付き安全Class 2 と同様
しかし、拡がりが狭いため、光学機器での観察は危険
Class 3R△ 注意が必要出力が強く、直接見続けると危険
ただし、事故リスクは低い。
Class 3B✕ 危険直接見たり、強い反射光でも目に重大な損傷を与える恐れ
保護メガネが必須。
Class 4✕✕ 非常に危険皮膚にも害あり。火災の危険性もある
厳重な安全対策が必要。

レーザーセンサーでよく使われるクラス

レーザー距離センサーで使われるレーザーは、ほとんどが次の2つです。

  • Class 1
    • 一般的な測定用レーザーセンサーに多く使用
    • 安全対策不要でそのまま使える
    • 初心者が扱う場合も安心
  • Class 2
    • 一部の長距離測定器に採用
    • 一瞬見る程度なら問題ないが、意図的にのぞき込むのはNG
    • 設置場所に注意(人の目線に当たらないように)

一方、Class 3以上は産業用の特殊なケースを除いて、一般的な機械設計ではあまり使われません。


安全に使うためのポイント

🚫 レーザー光を直接見ない
 👉 クラス1でも故障時などに光が漏れる可能性があります。光源をのぞき込まないようにしましょう。

🚫 設置位置に注意する
 👉 特にクラス2の場合、目線の高さにレーザーが出ないように設計。

🚫 取扱説明書のクラス表示を確認
 👉 必ずセンサー本体やカタログでレーザーのクラスを確認。

🚫 必要に応じて保護メガネを使用(主にClass 3以上)
 👉 特殊用途ではレーザー防護眼鏡の着用が義務になることもあります。


レーザークラスのまとめ

項目内容
レーザークラスとはレーザーの安全レベルを示す分類。数字が小さいほど安全。
よく使われるクラスClass 1(非常に安全)、Class 2(一瞬なら安全)
選定時の注意点取扱説明書や仕様書で必ずクラスを確認すること。
設計時の配慮レーザーの照射方向、設置高さ、安全対策を考慮する。

レーザーセンサーは高性能な一方、「見えない危険」もある光源を使っているということを理解しておくことが大切です。

はじめ
はじめ

機械設計においては、性能だけでなく「安全クラス」も確認することが、信頼性と安全性の高い設備設計への第一歩です!

まとめ

項目内容
特徴高精度・非接触・高速応答
測定方式三角測距、TOF、干渉方式
選定ポイント測定距離・精度・材質対応・サイズ・環境耐性
用途例AGVの障害物検知、シリンダー位置測定、ワーク検査

レーザー距離センサーは、正確な位置制御・品質管理を支えるキーセンサーです。
導入時には、測定方式や用途、精度要件をしっかりと整理し、必要な性能を過不足なく満たす製品を選ぶことが成功のポイントです!



はじめ
はじめ

ボルトやナット、軸受け、ギアといった基本的な要素部品の機能と選び方を詳しく紹介します

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