機械設計の現場では、2DCAD(2次元CAD*だけでなく、3DCAD(3次元CAD)を使うのが当たり前になってきました。
「図面は2Dで描けるし、3Dにする意味ってあるの?」
「3DCADって難しそう…」
そんな疑問をお持ちの方も多いと思います。
でも実は、3DCADには2DCADでは得られない大きなメリットがあるのです。
この記事では、3DCADを使う理由やメリットについて、初心者にもわかりやすく解説します。
そもそも2DCADと3DCADの違いって?
項目 | 2DCAD | 3DCAD |
---|---|---|
図面 | 平面上に線で描く | 実物の形を立体で描く |
表現 | 上面・側面・正面を別々に描く | 一つのモデルで全方向から見られる |
主なソフト例 | AutoCAD、IJCADなど | SOLIDWORKS、IRONCADなど |

2DCADは、製図の延長のようなイメージ。
一方、3DCADはバーチャル空間に実物の形をつくる感覚です。
なぜ3DCADが必要なの?

【立体で設計するから“間違い”が減る】
2DCADでは、図面を見ながら頭の中で立体を想像しなければなりません。
設計者がベテランなら問題ないかもしれませんが、イメージのズレや見落としによるミスが起こりやすくなります。
3DCADなら見たままが形。
どこが干渉しているのか、どこに穴が空いているのかが一目瞭然。
“考えなくても見ればわかる”というのは、設計において非常に大きなアドバンテージです。
【組立性や干渉チェックができる】
3DCADは、パーツを組み合わせて「アセンブリ(組立モデル)」を作ることができます。
- ネジが届くか?
- 工具が入るか?
- 部品同士がぶつからないか?
こうしたチェックを事前にバーチャル空間でシミュレーションできるため、現場での組立トラブルが激減します。
【図面も自動で作れるから効率的】
3DCADでモデルを作れば、2D図面は自動で投影・作図できます。
- 正面図・側面図・断面図などが自動生成
- モデルを修正すれば図面も連動して更新
これにより、図面ミス・修正漏れ・描き直しの手間が激減します。
【流体解析・強度解析にも使える】
3DCADのモデルは、そのままCAE(構造解析)やCFD(流体解析)の元データとして使うことができます。
「この部品は折れないか?」
「流れが詰まらないか?」
といった検討を事前に数値で確認できるので、試作の回数が減り、開発スピードが上がります。
【誰でも“設計の意図”がわかる】
2D図面は、設計者以外が見るとわかりにくいこともあります。
でも3Dモデルなら、営業や購買、製造担当者まで、誰が見ても形が伝わるので、打合せや共有がスムーズです。
「ここをこうしたい」
「このスペースには入らない」
といったコミュニケーションが3Dなら一目瞭然で伝わるのです。
3DCADにも注意点はある

もちろん、3DCADにもいくつか注意点があります。
注意点 | 内容 |
---|---|
学習コスト | 操作に慣れるまでは時間がかかる |
データ容量 | モデルが重くなるとPCスペックを求められる |
ソフト代 | 2DCADよりも高額なケースが多い |
ただ、これらを上回るほどの設計効率やミス低減効果があるため、多くの現場で3DCADが標準ツールになっているのです。
3DCADは“見える設計”で失敗を防ぐ!
― 設計初心者こそ知っておきたい5つのメリット ―
機械設計の現場では、今や3DCADはなくてはならない存在になっています。
「3DCADって本当に必要?」「2DCADでも十分じゃないの?」
そんな疑問を持つ方も多いかもしれません。
でも実は、3DCADには“見える”からこそ失敗を防げる力があります。
本項では、3DCADのメリット5選を具体的に解説していきます!
1. 見たまま設計できるから、ミスが減る!
2D図面では、設計者が頭の中で立体を想像しながら描く必要があります。
これは慣れていないと難しく、思わぬミスや見落としの原因になりがちです。
一方3DCADは、画面上に実物そっくりの立体モデルを表示できるため、「ここに穴がある」「この形は干渉している」などが目で見てすぐわかります。

まさに、“考えなくても見ればわかる”。
設計ミスの早期発見につながります!
2. 組立チェックができるから、現場トラブルが防げる!
3DCADでは複数の部品を組み合わせて、アセンブリ(組立)モデルを作ることができます。
これにより、以下のようなチェックが簡単にできます。
- 部品同士がぶつかっていないか(干渉チェック)
- 工具を差し込むスペースがあるか
- 組み立てる順番に無理がないか
こうしたチェックを事前にできることで、
「図面通りに作ったのに、組み立たない…!」という現場でのトラブルを防げます。
3. 図面作成が速い!自動生成で描きミスが激減!
3DCADでは、作成した立体モデルから2D図面を自動で生成できます。
- 正面図・側面図・断面図などが一発で完成
- モデルを修正すれば、図面も自動で連動修正
これにより、「図面だけ古いまま」などの人的ミスが大幅に減るのです。
✅ 手戻りを防ぎ、効率アップ!
4. 他部門と共有しやすいから、コミュニケーションも円滑に!
2D図面は、製造担当者や営業・購買担当者など、設計以外の人にとってはわかりづらいこともあります。
しかし3DCADであれば、誰が見ても「形」が伝わる!
- 営業「お客様にこの形で説明します」
- 製造「このスペースなら工具入りますね」
- 購買「似た形状の既製品を探しておきます」
社内のコミュニケーションもスムーズになり、無駄なやりとりやミスが減ります。
5. 解析や試作とつながって、開発スピードがアップ!
3DCADで作成したモデルは、CAE(構造解析)や3Dプリンタなどと直接連携できます。
- 「この部品、力がかかっても折れない?」→ CAEで応力解析
- 「試作品を出してみたい」→ 3Dプリンタにデータ出力
設計→解析→試作の流れが一気通貫でできるため、開発スピードが大きく向上します。
“見える設計”で失敗を防ごう!
3DCADを使うことで得られるメリットをもう一度まとめます:
ポイント | メリット |
---|---|
見たまま設計 | 想像ミスを減らせる |
組立チェックが可能 | 現場トラブルを未然に防げる |
図面作成が速い | 作図ミス・修正漏れを減らせる |
他部門と共有しやすい | 社内コミュニケーションが円滑 |
解析や試作とつながる | 開発スピードが上がる |
初心者にこそ3DCADがおすすめ!
「まだ慣れてないから2DCADだけで…」と考えがちですが、
3DCADはむしろ初心者の強い味方です。
見たままで理解できる設計だからこそ、
迷いも少なく、トラブルも少なくなります。

あなたも今日から、“見える設計”でミスのない仕事を目指しませんか?
まとめ:2Dと3Dは“使い分け”も大切!
3DCADが便利とはいえ、すべてが3Dで完結するわけではありません。
簡単なスケッチやレイアウトは2DCADの方が早いこともあります。
設計者として大切なのは、「目的に応じて2Dと3Dを使い分ける」スキルです。
✔ 構想段階や外形寸法検討:2DCAD
✔ 詳細設計・検証・共有:3DCAD
そんなふうに使い分けながら、設計の質とスピードを両立していきましょう。
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