サーボモーター制御の基礎~サーボアンプとの連携がカギになる理由~

動力選定

~サーボモーターは“単体では動かない”って本当?~

サーボモーターを使ってみたい!と思っても、実はモーター単体では動かないことをご存知でしょうか?

「モーターに電源つなげば回るんじゃないの?」
…と思っていた方は要注意です。

この記事では、サーボモーターとサーボアンプ(ドライバ)の関係について、初心者にもわかりやすく解説します。


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サーボモーターは“指令”がないと動かない

DCモーターやACモーターであれば、電源をつなぐだけで回転します。
しかしサーボモーターは違います。

なぜなら、サーボモーターは「制御信号によって動きを決める」からです。

つまり、モーターに「ここまで回してね」「この速度でね」といった指令を出す司令塔(=サーボアンプ)が必要なのです。


サーボアンプとは?

サーボアンプ(またはサーボドライバ)は、次のような役割を果たします。

サーボアンプの主な役割

  • 上位コントローラ(PLCなど)からの命令を受ける
  • その命令をモーターに伝えて正確に動かす
  • エンコーダーからの情報を使ってズレを補正する
  • 過負荷や異常を監視して保護する

つまり、サーボモーターとセットで初めて“サーボシステム”として機能するのです。


設計時に確認すべきポイント

サーボモーターとアンプを選定する際は、次のような整合性を確認することが重要です


電源電圧の一致

モーターがAC200V仕様なのに、アンプがAC100Vでは使えません。
必ずモーターとアンプが同じ電源仕様であることを確認しましょう。


指令方式の確認

アンプによって対応している制御信号が異なります。

指令方式特長
パルス指令PLCや位置制御ユニットから送るパルス数で制御
アナログ電圧(±10V)電圧の大きさで速度やトルクを制御
通信(EtherCAT、CC-LINK など)高速・高精度なシリアル通信

使用するPLCや制御装置が対応している指令方式と、アンプの入力方式が合っているかを確認しましょう。


モーターとの適合

同じメーカーの製品であっても、型式によってアンプとの組み合わせが限定されている場合があります。

  • エンコーダーの分解能
  • トルク特性
  • 保護機能の対応範囲

などの仕様が合っていないと、誤動作や故障の原因になります。


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サーボモーターの使用にあたって電気設計との連携が不可欠

サーボモーターは高精度な位置制御を可能にする優れたアクチュエーターですが、メカ設計だけで完結するものではありません
実際には、「電気設計(制御盤設計や回路設計)」との密な連携が必要不可欠です。

その理由をわかりやすく解説します。


理由①:サーボアンプとのマッチングが必要

サーボモーターを動かすためには、専用のサーボアンプ(ドライバ)が必要です。
このドライバが「制御信号」を受けて、モーターを適切に動かす役割を担います。

  • 電圧や電流の仕様
  • エンコーダーの種類と信号方式
  • 指令入力の形式(パルス/アナログ/通信 など)

など、モーターとドライバの仕様が合わなければ正しく動作しません

はじめ
はじめ

これは機械設計者だけでは判断できないことが多く、
電気設計者の知識と確認が不可欠です。


理由②:制御方式や配線の計画が必要

サーボモーターを使う場合、制御方式には以下のような選択肢があります。

  • 位置制御(狙った位置まで動かす)
  • 速度制御(一定速度で回転)
  • トルク制御(一定の力を出す)

これらのどの制御方式を使うかは、電気設計と一緒に仕様を詰める必要があります

また、以下のような電気的な配慮も重要です。

✅ 電源容量と電源電圧の確認
✅ 信号ケーブルと動力ケーブルの引き回し(ノイズ対策)
✅ 安全回路との連動(非常停止、アラーム出力など)


理由③:トラブル対応や試運転でも電気との協力が必要

サーボモーターを実際に動かしてみると、

🚫 思った通りの位置に止まらない
🚫 ノイズで誤動作する
🚫 設定ミスで過電流アラームが出る

といった電気的なトラブルが起こることも少なくありません。

こういったとき、制御機器やドライバの設定を確認・修正できるのは電気設計者です。


メカと電気の共同設計が成功のカギ

サーボモーターを設計に組み込む際には、次のような考え方が重要です。

項目メカ設計電気設計
モーターの取り付け・軸設計
動作パターンの設計
モーターとドライバの選定
配線や制御信号
制御方式や初期設定
ノイズ対策や保護回路

どちらか一方では完結しない、まさに“協力プレイ”が必要な機器です。


はじめ
はじめ

設計段階から電気設計者と仕様をすり合わせ、試運転やメンテナンス時にも連携できる体制をつくることが、サーボモーター活用の成功につながります。

まとめ:サーボモーターは「セットで考える」

よくある誤解正しい理解
モーター単体で使えるアンプとのセットが必須
電源をつなげば回る指令信号が必要
どのアンプでも動く仕様の整合が必要

サーボモーターを選ぶときは、モーターだけでなくアンプとのペアで考えることが大前提です。
「どんな制御をしたいのか?」という観点から、電気設計者と連携して仕様を決めるのが成功のカギになります。


はじめ
はじめ

モーターやアクチュエーターなど、機械の駆動源に関する基礎知識と選定基準をまとめています。

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