機械は“電気”がなければ動かないのが現代の常識。
でも、いざ設計で関わろうとすると…
「AC?DC?単相?三相? 何それ…?」
という初心者の方も多いはず。
この記事では、機械設計に必要な電気の基本をわかりやすく解説します!
ACとDCの違いってなに?
~機械設計に役立つ電気の基本~

現代の機械や装置は、電気の力で動いています。
でも、設計を始めたばかりの方にとっては…
「AC?DC?どっちがどっちだっけ?」
と混乱しがちですよね。
本項では、交流(AC)と直流(DC)の違いを、具体例とともにわかりやすく解説します!
DC(直流)とは?
DC:(直流)
電圧が常に一定で、流れる方向が変わりません。
バッテリーや乾電池のように、“まっすぐ流れる電気”です。
DCが使われる代表例
- 24V DCのセンサー
- 安全電圧で使いやすく、誤動作が少ない
- DCファンモーター
- 温度制御や小型機器の冷却に最適
- PLC(シーケンサ)の入出力電源
- 制御信号に使われるのはほとんどがDC

ポイント!
DCは安定性が高く安全なため、小型機器や信号用に向いています。
AC(交流)とは?
AC:(交流)
電圧と流れる向きが周期的に変わる電気です。
家庭用のコンセントや工場の動力源はすべてACです。
たとえば日本では、100V AC(家庭用)や200V AC(三相動力)が主流です。
ACが使われる代表例
- コンセント(100V AC)
- 家庭や事務機器など
- モーターやインバーター(200V AC)
- 工場の機械の動力源
- ヒーター・照明機器
- 交流のまま動かす装置に

ポイント!
ACは長距離送電しやすく、パワーが出せるので、モーターや加熱機器などに向いています。
DCとACの違いをまとめると?
種類 | 正式名称 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|---|
DC | 直流 | 電圧が一定・安定 | センサー、PLC、電磁弁など |
AC | 交流 | 電圧が周期的に変化 | モーター、ヒーター、照明など |
実際の機械ではどう使い分ける?
現場では、DCとACを上手に使い分けるのが一般的です。
部位 | 使用電源 | 理由 |
---|---|---|
制御系(PLC、センサー) | 24V DC | 安全性が高く、ノイズに強い |
動力系(モーター、ポンプ) | 200V AC | 大電力が必要なため |
照明・ヒーター | ACまたはDC | 機種や用途によって選定 |
DCとACの特徴を理解して設計に活かそう
- DCは「小さくて安全・制御向き」
- ACは「パワフル・動力向き」

どちらも正しく理解して使い分けることが、良い設計の第一歩です。
単相と三相の違いとは?
~機械設計に役立つ“電気の流し方”の基礎~

モーターやヒーター、コンプレッサーなどを選ぶときに必ず出てくる言葉…
それが 「単相(たんそう)」 と 「三相(さんそう)」 です。
「なんか聞いたことはあるけど、よくわからない…」
そんな機械設計初心者の方でも大丈夫!
本項では、単相と三相の違いと使い分けを、わかりやすく解説します。
単相とは?
- 読み方:たんそう(単独の相)
- 電線の本数:2本または3本(L・N・アース)
特徴
- 家庭用コンセントと同じ仕組み
- 電気の“山(波)”が1つしかない
- 扱いやすい
- 制御機器や小型機器に向いている
主な用途
- パソコン、電動ドライバ
- 小型ヒーター、コンセント付き機器
(100V、200V) - 制御盤内のPLCやセンサー電源
単相のイメージ


ポイント!
家庭やオフィスの「コンセント」が単相の代表例!
三相とは?
- 読み方:さんそう(三つの相)
- 電線の本数:3本(R・S・T)
特徴
- 3つの山(波)が時間差で流れている
- 波が3つあるため力が途切れない
- 電力効率がよく、“回す力”が強い
主な用途
- 大型モーター
- コンプレッサー
- ブロワー、ポンプ
- 加熱炉、工作機械 など
三相のイメージ


ポイント!
「強い動力が必要=三相」と覚えておこう!
単相と三相の違いを表で整理!
種類 | 電線 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|---|
単相 | 2本または3本(L・N・アース) | 家庭用に近い電気の流れ。 扱いやすい | 小型機器、制御系 |
三相 | 3本(R・S・T) | “回す”力が強く、パワフル。 効率も良い | モーター、動力機器 |
設計時の注意点
- 動力装置=三相が基本
- 三相200V対応のモーター・インバータなどが使われます。
- 制御回路=単相が多い
- センサーやPLC電源は、単相100Vや24V DCなどを使います。
- 混在することが多い
- 装置の中には「動力系(三相)」と「制御系(単相)」が混在しているのが一般的。
どちらを使うかは“用途次第”
機器の用途 | 選ぶべき電源 |
---|---|
小型の制御回路やセンサー | 単相(100Vまたは200V) |
大型モーターやポンプ | 三相(200Vなど) |

「動かすには三相、制御には単相」
この使い分けが、設計の基本です!
よく使う電圧の例と意味
機械設計でよく見かける電圧表記とその使い分けも、以下にまとめます。
電圧 | 種類 | 用途例 |
---|---|---|
24V DC | 直流 | センサー、PLC、電磁弁のコイル、信号ランプ |
100V AC | 単相交流 | 一般家庭用電源、小型機器 |
200V AC(単相) | 単相交流 | 一部の機器(ヒーター、ポンプ) |
200V AC(三相) | 三相交流 | モーター、インバータ、動力機器 |
補足:なぜ24V DCが多いの?
→ 感電リスクが低く、安全だからです!
多くのセンサーや制御回路が24V DC仕様なのはこのためです。
設計で気をつけたいポイント
初心者が機械設計で電気に関わる際の注意点も紹介します。
電圧の混在に注意!
装置内で「200V AC」と「24V DC」が混在する場合、誤配線による故障や感電事故の原因になります。
👉 端子台の色分け・ラベル管理が重要!
AC機器は始動電流に注意
ACモーターやヒーターは、起動時に定格の数倍の電流が流れることがあります。
👉 ブレーカーやケーブル容量の確認を忘れずに!
ケーブルの種類にも注意
ACとDCでは、使うケーブルの絶縁耐圧やノイズ対策が異なる場合も。
👉 電気設計担当と連携しながら、正しいケーブルを選びましょう。
まとめ:電気の“基本”は安全と信頼設計の第一歩
覚えておきたいポイント | 内容 |
---|---|
DCとACの違い | DC:直流(安定した信号)/AC:交流(動力用) |
単相・三相の違い | 単相:家庭や小機器向け/三相:動力機器向け |
よく使う電圧 | 24VDC(安全)、200VAC(三相でパワフル) |
設計では、「どの電圧がどこに使われるか?」「安全性は確保されているか?」を意識しておくことが大切です。
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