―― 図面データ交換に欠かせない拡張子をやさしく解説 ――
3DCADを使っていると、
「このファイル、.STEP
って書いてあるけど何だろう?」
と疑問に思ったことはありませんか?
STEPファイルは、CAD間で3Dデータをやり取りするための標準フォーマットです。
ここでは、初心者でも理解できるように、STEPの概要や特徴、扱うときの注意点を解説します。
STEPファイルとは?
- 拡張子は「
.STEP
」または「.STP
」 - 国際標準規格「ISO 10303(STEP)」に基づいた3Dデータ形式
- 3DCADソフトが違っても、形状データをやり取りできるのが最大の特徴
💡 ポイント
STEPは “Standard for the Exchange of Product model data” の略。
日本語では「製品データ交換の標準」と訳されます。
🔍 読み方
「ステップファイル」と読むのが一般的です。
英語読みの「エス・ティー・イー・ピー」ではなく、
「ステップ」と発音すればOKです。
どんなときに使う?
- 他社や取引先と3Dモデルを共有したいとき
- 設計した部品をCAM(加工用データ)や解析ソフトに渡すとき
- 取扱説明書やマニュアル用に、形状のみを渡したいとき
ネイティブデータ(例:SolidWorksの.sldprt
やInventorの.ipt
)は、同じソフトでしか開けないことが多いですが、STEPに変換すれば、ソフトを問わず3D形状を開けるようになります。
STEPファイルを使うメリット
- ソフト間の互換性が高い
- 3D形状(ソリッドモデル)を精度よく保持できる
- 図面データを軽量化できる場合がある
💡 豆知識
IGES(.igs/.iges)も昔からある汎用フォーマットですが、
STEPのほうがソリッド形状を正確に保持できるため、現在はSTEPが主流です。
STEPファイルを使うデメリット・注意点
- 履歴(フィーチャー情報)は保持されない
- モデルの「押し出し」や「フィレット」などの履歴は消え、単なるソリッドボディとして読み込まれます。
- モデルが複雑な場合、ファイルサイズが大きくなることもある
- 読み込み時に「位相エラー(面の欠損など)」が出ることがある

編集や再設計を前提とする場合は、元のCADデータを一緒にやり取りするのがおすすめです。
STEPファイルの扱い方
- 書き出し
- 各CADソフトの「エクスポート」や「別名保存」メニューから「STEP形式(*.step / *.stp)」を選択
- 読み込み
- 「インポート」や「開く」メニューでSTEPファイルを選ぶだけ
CADによっては、インポート時に「精度設定」や「ヒーリング機能(面修復)」を使うと、エラーを減らせます。
【中間ファイル】STEP・IGES・STLの違いをやさしく解説
―― 3DCADでよく使う中間ファイルを理解しよう ――
3D設計を始めると、
「.STEP」「.IGES」「.STL」など、さまざまな拡張子のファイルに出会います。
でも「どれを使えばいいの?」「何が違うの?」と迷うことはありませんか?
この記事では、CAD初心者でもわかるように STEP・IGES・STLの役割と特徴 を整理しました。
使い分けを知っておくと、データのやり取りや3Dプリントがスムーズになります。
なぜ「中間ファイル」と呼ばれるのか?
✅ CAD同士の“橋渡し”をするから
- 各CADソフト(SolidWorks、CATIA、Fusion360,IRONCADなど)は、独自のファイル形式(拡張子)を持っています。
- しかし、異なるCAD間ではそのままでは開けないことが多い。
- そこで、共通フォーマットに一度変換してやり取りする必要があります。
- この「変換された共通フォーマット」が中間ファイルです。
つまり、
「元のCADデータ」 → 中間ファイル → 「別のCADやCAMで読み込み」
という流れの“中間”に位置するから「中間ファイル」と呼ばれています。
よく使用する中間ファイルについて
STEPファイル
- 拡張子:
.step
または.stp
- 正式名称:ISO 10303(Standard for the Exchange of Product model data)
- 3D CADデータ交換の国際標準フォーマット
💡 特徴
- モデルを「ソリッド」や「サーフェス」として正確に保持
- 履歴(フィーチャー)や色、アセンブリ構造まで含められる
- 多くの3DCADソフトで標準的にサポート

設計者同士で正確な形状をやり取りしたいときは STEPが第一候補。
IGESファイル
- 拡張子:
.iges
または.igs
- 正式名称:Initial Graphics Exchange Specification
- 1970年代に策定された古い汎用フォーマット
💡 特徴
- ワイヤーフレーム、サーフェス、ソリッドなどを記録できる
- CAD間の互換性を目的として長く使われてきた
- ただし履歴や属性情報は乏しく、曲面データが崩れることもある

古いシステムや特定のCAMで必要な場合のみ利用が主流。
STLファイル
- 拡張子:
.stl
- 正式名称:Stereolithography(3Dプリンタの造形方式に由来)
💡 特徴
- モデルを「三角形(ポリゴン)」の集合として表現
- 曲面は細かい三角形で近似するため、滑らかさは分割数に依存
- 履歴情報や寸法精度はなく、形状の見た目だけを保持

3DプリンタやCAMソフトにデータを渡すときに必須。
3つのファイル形式を比較
項目 | STEP | IGES | STL |
---|---|---|---|
主な用途 | CAD間の3Dデータ交換 | 古いCAD/CAMとの互換 | 3Dプリント・加工 |
保存できる情報 | ソリッド形状、色、アセンブリ構造 | ワイヤーフレーム/サーフェス | 形状のメッシュ |
精度 | 高い | 中程度(場合により低い) | ポリゴン分割に依存 |
メリット | 正確で汎用性が高い | 古い環境と相性◎ | 軽量・3Dプリントに最適 |
デメリット | データが重くなる場合あり | 曲面が崩れやすい | 履歴や寸法がない |
使い分けのコツ
- 設計データのやり取り → STEP
- 古いシステムとの互換 → IGES
- 3Dプリントや加工 → STL
それぞれの役割を理解すると、「どの拡張子を選べばよいか」が一目で分かります。
特に、正確な3Dデータ交換には STEP が基本。
STLは「最終形状だけを渡す」イメージで活用すると失敗しません。
💡 ポイント
- STEPは「設計の標準」
- IGESは「レガシー互換」
- STLは「3Dプリント用」
この3つの特徴を押さえておけば、CADデータのやり取りや出力作業がもっとスムーズになります。
まとめ
STEP(.STEP / .STP)ファイルは、
異なるCADソフト間で3D形状をやり取りするための共通言語です。
✔ 形状を正確に交換できる
✔ 履歴は残らないので「最終形状のデータ」として使う
✔ ネイティブデータも合わせて保存しておくと安心
CAD初心者が外部とデータを共有するとき、まず覚えておきたいのがSTEP形式。
「データをうまく開けない!」と悩んだら、まずはSTEPでやり取りできるか試してみましょう。
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