エア機器の騒音対策|原因・効果的な対策方法を分かりやすく解説

動力選定

工場や自動機の装置でよく使われる
エア機器(空気圧機器) は、
便利で扱いやすい反面、

「エアの排気音がうるさい」
「シリンダの動作音が大きい」

といった騒音トラブルが起こりやすい要素でもあります。

騒音は作業環境の悪化だけでなく、
装置の信頼性・疲労安全性・周囲設備への影響にも関わるため、
設計段階から対策しておくことが重要です。

この記事では、エア機器の騒音が発生する原因と、
実際の現場で効果がある対策を初心者向けにわかりやすく解説します。


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エア機器の騒音はなぜ発生する?

エア機器の騒音の主な原因は以下の3つです。

① 排気音(ブロー音)が大きい

エアシリンダや電磁弁の排気時に、
圧縮空気が大気に一気に放出されることで
「シュー!」という高音の排気音 が出ます。

エア駆動装置の騒音の大半は排気音が占める と言われています。


② シリンダの金属衝突音

ストロークエンドで
ピストンが端部に「バン!」と当たる ことで発生する衝撃音です。

特に大型シリンダ、高速動作シリンダで大きくなります。


③ バルブ切換時の衝撃音

電磁弁が切り替わる瞬間に内部のスプールが高速で動作し
「カチッ」「コッ」という衝撃音が発生します。


エア機器の騒音対策(よく使われる実践的な方法)

実際の工場・自動機で効果が高い “4つの騒音対策” を紹介します。


① サイレンサの取り付け

排気音対策として最も一般的で効果的です。

サイレンサの効果

  • 排気音を 10~30dB 低減
  • 排気の方向を整流し音を抑える
  • バルブやシリンダの排気口に簡単に取り付け可能

サイレンサの注意点

  • 目詰まりすると応答性が悪化する
  • 清掃または定期交換が必要
  • 流量に合ったサイズを選ばないと逆に騒音が増える

② スピードコントローラーで動作速度を調整

シリンダの速度が速いほど「バン!」という衝突音が大きくなります。

対策

  • 速度を少し遅くする
  • 加速・減速の変化を滑らかにする

これだけで 衝撃音が大幅に減少 します。


スピードコントローラーについての関連記事はこちら

③ エアクッション付きシリンダを使用

シリンダのストロークエンドで空気をクッションとして利用し
衝撃を吸収して音を抑える 構造です。

大型シリンダや高速シリンダでは必須の機能です。


④ バルブの配置・取り付け方法を工夫する

機体の薄板やフレームに直接固定すると、
板が共振して音が増幅 されることがあります。

対策例

  • 厚板(ベースプレート)に取り付ける
  • 防振ゴムをかませる
  • 振動の伝わりにくい位置に配置する

ちょっとした配置変更で体感騒音が大きく低減することもあります。

バルブについての関連記事はこちら

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騒音を軽視すると危険?作業環境・信頼性・安全性への影響をわかりやすく解説

エア機器や装置から発生する「騒音」は、
単なるうるささだけの問題ではありません。

騒音を放置すると、
作業者の疲労増加、装置寿命の低下、周囲設備への悪影響など、
機械設計全体に深刻な影響を与える要因 となります。

だからこそ、騒音対策は “現場での後づけ” ではなく、
設計段階から計画的に行うことが重要 です。

本項では、騒音がどのように機械に影響し、
なぜ設計時点で対策すべきなのかをわかりやすく解説します。


騒音は単なる「音」ではない

騒音は、見えない問題ですが、その影響は多岐にわたります。


① 作業環境の悪化(人体への影響)

強い騒音のある環境では、作業者は以下のような負担を受けます。

  • 集中力の低下
  • 疲れやすくなる
  • ストレス増加
  • 作業ミスの増加
  • 長期的には聴覚への影響

特にエア機器の排気音は高音域が多く、人によっては非常に不快に感じやすい特徴があります。

作業者への負担が増えると、
品質不良や事故の発生率も高くなり、結果的に生産性が下がる という悪循環を生みます。


② 装置の信頼性・寿命への影響

大きな騒音が発生しているということは、
その裏で “強い衝撃” や “急激な圧力変動” が
起きている場合がほとんどです。

これらは装置に以下の悪影響を与えます。

  • シリンダ内部への過度な衝撃
  • 配管の振動による緩み
  • バルブの早期摩耗
  • フレームの共振による疲労

つまり、騒音の多い装置=負荷の大きな装置 であり、
故障や不具合が発生しやすくなります。

騒音対策は、結果として
装置の寿命を延ばし、保全コストを下げる ことにもつながります。


③ 周囲設備・機器への悪影響

強い振動音や衝撃音は、周囲にも伝わります。

  • 配電盤の部品が緩む
  • センサーが誤動作する
  • 隣接設備に振動が伝わる
  • 製品搬送中のワークに影響する

こうした問題は、一見騒音とは関係なさそうに見えますが、
根本原因を追うと 騒音源の衝撃や振動
行き着くことも多いのが実情です。


なぜ “設計段階” の騒音対策が重要なのか?

理由① 後付け対策は手間もコストも大きい

稼働後に
「うるさいからサイレンサつけよう」
「バルブの位置変えよう」
となると、工事・調整・動作確認など追加作業が膨大になります。


理由② 設計段階でしかできない対策がある

  • エア流量の適正化
  • クッション機能の選択
  • バルブの配置
  • フレーム構造を共振しにくい形にする

これらは設計の段階でしか導入できない項目です。


理由③ 騒音の出にくい設計は “信頼性の高い設計”

騒音を抑えるには
衝撃・振動・流体の乱れを抑える必要がある
=これはそのまま装置信頼性の向上につながります。


騒音対策は作業環境と装置寿命を守るための必須設計

騒音は、ただの「うるさい音」ではなく、
装置の不具合・作業者のストレス・周囲設備の問題 につながる重大な設計要素です。


  • 騒音は作業環境を悪化させる
  • 騒音は衝撃・振動のサインであり、装置寿命を縮める
  • 周囲設備にも影響を与える
  • 設計段階で対策するほうが圧倒的に有利

エア機器を使用する装置では、
排気音・衝撃音・共振音を減らす工夫を
設計段階から取り入れること が重要です。

騒音の原因を“設計段階”で減らすことが理想

現場で対策するより、
設計段階で音が出にくい構成にするほうが
圧倒的に楽で効果が高い 方法です。

設計時にできる対策

  • 排気量が大きい装置はサイレンサ必須とする
  • 衝突音が出る機構にはクッション機能を採用
  • 高速動作を避ける制御を入れる
  • エア回路をできるだけ簡素化する

これらを意識するだけで、後工程の騒音トラブルが激減します。


まとめ|エア機器の騒音対策は「排気」「衝撃」「共振」を抑えることがポイント

エア機器の騒音は、主に
排気音・衝撃音・共振音 の3つから発生します。

🔍 騒音を抑える主要対策

▶ サイレンサ(マフラー)の取り付け
▶ スピードコントローラーで動作速度を調整
▶ クッション付きシリンダの採用
▶ バルブ・配管の取り付け方法を工夫

騒音対策は、作業環境の改善・装置の信頼性向上・
安全性向上に直結する重要な要素です。

装置の設計段階で配慮しておけば、
トラブルのほとんどは回避できます。


はじめ
はじめ

モーターやアクチュエーターなど、
機械の駆動源に関する基礎知識と
選定基準をまとめています。

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