〜安全確保から自動化まで、広範囲を見守る頼れる目〜
機械設計において、人や物の侵入検知や位置確認、安全確保などの
用途で活躍するのが「エリアセンサー(光軸アレイ型センサー)」です。
この記事では、エリアセンサーの基本的な特性から
選定時のチェックポイントまでを、
初心者の方にもわかりやすく解説します。
エリアセンサーとは?
エリアセンサーは、複数の光軸(赤外線ビーム)を
縦または横に並べて設置するセンサーです。
対象物がこの光の壁(エリア)を横切ることで
ビームが遮断され、検知信号が出力されます。
多くの場合、送信側と受信側の2台1セットで使用し、
対象の有無や通過を検知します。
安全用では「セーフティライトカーテン」と呼ばます。
エリアセンサーの主な特性
| 特性 | 内容 |
|---|---|
| 広範囲検知 | 数十cm〜数mの幅と高さをカバー可能。 |
| 人や物の検知が可能 | 手・腕・人・部品など、サイズに応じて反応。 |
| 高速応答 | 数msレベルの応答速度で動作を検知。 |
| 取り付け自由度が高い | 水平・垂直・斜めなど、取り付け方向を自由に設計可能。 |
| 安全確保に最適 | 保護エリアをつくることで危険エリアへの侵入を検知。 |
| ビームピッチ(光軸間隔)が選べる | 検知対象に応じて細かいものも検出可能 (例:10mm間隔) |
エリアセンサーの用途例
| 用途 | 内容 |
|---|---|
| 安全対策 | プレス機などの危険エリアへの人の侵入検知 (セーフティライトカーテン) |
| ゲート検知 | ゲート・扉の通過検知や挟み込み防止 |
| ワーク検出 | 搬送ラインでの部品・箱の通過や停止検出 |
| ロボット協働 | ロボットの作業空間に人が近づいたときの停止・減速制御 |
エリアセンサー選定のポイント
ビームピッチ(光軸間隔)
検出距離(有効距離)
応答時間
環境耐性(防塵・防水)
取付スペース・形状
装置に組み込むスペースが限られている場合は、
スリムタイプ(厚さ10mm以下)などが便利。
曲面や障害物を避けたい場合は、
ミラーを用いたL字配置も選択肢です。
出力仕様・インターフェース
接点出力、NPN/PNP、アナログ出力など、
使用するPLCや制御機器に合わせて出力形式を選定。
最近はIO-Link対応モデルもあり、
配線の簡素化や設定情報の管理が可能。
よくある選定ミスと対策
| よくあるミス | 対策 |
|---|---|
| センサーが対象を検出しない | ビームピッチが粗すぎる、 または対象が光を透過している |
| 誤検出が多い | 光学面の汚れや周囲の光の影響 (対策:カバー取り付け、感度調整) |
| 設置がうまくいかない | センサー間の距離が長すぎてズレが発生 (対策:位置調整治具の活用) |
エリアセンサーとセーフティライトカーテンの違いとは?
〜似ているけど用途は違う!正しい使い分けで安全&効率を確保〜
工場の自動化や安全対策でよく耳にする
「エリアセンサー」と「セーフティライトカーテン」。
どちらも「人やモノの通過を検出する」センサーですが、
機能・性能・使用目的が異なります。
本項では、両者の違いと適切な使い分け方を、
初心者の方にもわかりやすく解説します。
それぞれの役割とは?
| 項目 | エリアセンサー | セーフティライトカーテン |
|---|---|---|
| 主な用途 | ワーク検出や設備制御 | 作業者の安全確保 |
| 検出対象 | ワーク、人など | 作業者の身体(指、手、腕、体) |
| 安全規格対応 | 非対応(※制御用) | 対応(ISO 13849-1など) |
| 出力 | 一般のセンサ出力(NPN/PNPなど) | 安全出力(OSSD) |
| ピッチ | 10mm〜40mm程度 | 14mm/30mm/50mm(用途別) |
| 安全カテゴリ | 通常の制御用 | セーフティカテゴリ2〜4対応 |
両者の違いをもっと詳しく!
用途の違い
安全規格の違い
出力方式の違い
光軸間隔(ピッチ)
- エリアセンサー
- 10〜40mm程度が一般的で、用途に応じて選定。
- セーフティライトカーテン
- 検出する体の部位(指・手・体)ごとに
光軸ピッチが決まっており、用途に応じて選びます。
- 検出する体の部位(指・手・体)ごとに
| 用途 | ピッチ例 |
|---|---|
| 指検出 | 14mm |
| 手検出 | 30mm |
| 人体検出 | 50mm以上 |
具体的な使い分け例
| 使用シーン | 適切なセンサー | 理由 |
|---|---|---|
| 部品の有無検知 | エリアセンサー | 精度や応答性を重視。 安全規格は不要。 |
| 作業者の侵入防止 | セーフティライトカーテン | 国際安全規格準拠が必須。 人命保護に直結。 |
| ゲートの開閉検知 | エリアセンサー | ゲートを通る物体や人の検出に十分。 |
| プレス機の安全対策 | セーフティライトカーテン | 手や腕の検知で機械を停止させるため。 |
注意点:エリアセンサーで安全対策をしてはいけない!
エリアセンサーは安価で手軽に設置できますが、
人の保護目的では絶対に使ってはいけません。
事故が発生した際、安全装置として認められないため、
企業責任が問われる可能性があります。
エリアセンサーとセーフティライトカーテンの違いのまとめ
| 比較項目 | エリアセンサー | セーフティライトカーテン |
|---|---|---|
| 用途 | 制御用(物体検出) | 安全用(人の保護) |
| 規格対応 | 非対応 | 対応(ISO、IEC) |
| 出力 | 通常出力 | 安全出力(OSSD) |
| 価格 | 比較的安価 | やや高価(安全設計) |
| 使用例 | ワーク検出、ゲート開閉 | プレス機、ロボット安全対策 |
ひとことアドバイス
- 制御目的 → エリアセンサー
- 安全目的 → セーフティライトカーテン

安さや設置のしやすさだけで判断せず、
「何を守るためのセンサーなのか?」
を明確にして選定することが大切です!
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エリアセンサーとは | 複数の光軸で広範囲を検出するセンサー。安全・位置検出に活用。 |
| 主な用途 | 安全対策、搬送ラインのワーク検出、ゲート制御など。 |
| 選定ポイント | ビームピッチ、検出距離、応答速度、環境耐性、設置スペースなど。 |
| 注意点 | 設置ズレ、光学面の汚れ、対象物の材質による誤動作に注意。 |
エリアセンサーは、「人の安全」と「設備の効率化」を
同時に実現できる、非常に頼もしい存在です。
選定の際は、機械の動作や人の導線、
作業環境をしっかりイメージして、最適な仕様を選びましょう。




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