製品を設計するとき、多くの部品が組み合わさって1つの完成品になります。
その中で「どの部品がどこに使われているのか」を正確に把握し、間違いなく管理することがとても重要です。
そこで活躍するのが「部品番号」という仕組みです。
図面に番号を振ることで、部品の識別・管理・発注などがスムーズになり、設計から製造までのミスを防ぐことができます。
この記事では、初心者の方でも理解しやすいように、部品番号の役割やメリット、図面での使い方についてやさしく解説します。
部品番号とは?
部品番号とは、一つひとつの部品に割り当てられた識別コードのこと。
例えば「001」「A-12」「MTR-03」など、形式は会社やプロジェクトごとにさまざまです。
図面上では、部品に対してこの番号を付けて管理します。
なぜ部品番号が必要なの?
識別・管理・発注がスムーズになる「設計の共通言語」

製品をつくるとき、多くの部品が使われます。
その一つひとつを正確に区別し、管理するために使われるのが「部品番号」です。
名前や形だけではわかりにくい部品も、番号をつけることで一発で特定できるようになります。
ここでは、その必要性とメリットを初心者にもわかりやすく紹介します。
理由①:識別ミスを防ぐため
部品には似たような名前や形のものがたくさんあります。
たとえば「M6のボルト」と言っても、長さが違えばまったく別物です。
でも番号があれば…
表現 | わかりやすさ |
---|---|
ボルト(M6×20) | 紛らわしいことも |
部品番号:BLT-06-20 | 誰が見ても同じものを指す |
→ 名前が似ていても混乱せず、確実に区別できます。
理由②:部品表(BOM)と連携できる
部品番号があると、部品表(BOM:Bill of Materials)とセットで使えます。
部品番号 | 部品名 | 数量 | 材質 |
---|---|---|---|
001 | ベースプレート | 1 | SS400 |
002 | M6ボルト | 4 | SUS304 |
→ 「どの部品を」「何個」使うかが明確になり、組立や在庫確認がスムーズに!
理由③:管理・発注がしやすくなる
部品番号は、設計者だけでなく、購買・製造・倉庫など多くの部門で共通して使われる“言語”です。
- 必要な部品を確実に注文できる
- 在庫管理や納品確認がしやすい
- トラブル時にも「番号」で特定・対処できる
→ 社内の「部品の見える化」に役立ちます。
理由④:改訂・バージョン管理にも便利
同じ部品でも、後で設計変更されることがあります。
そんなときも、部品番号に「改訂記号(例:Rev. A→B)」を付けることで混乱を防げます。
たとえば…
- 部品番号:COV-001 → 初期モデル
- 部品番号:COV-001 Rev.1 → 改良版
→ 古い部品と新しい部品が混ざらず、履歴も追いやすくなります。
部品番号は「設計と現場をつなぐ共通言語」
部品番号は、単なる「ラベル」ではなく、設計と現場をつなぐ大切な道具です。
✅ 識別ミスの防止
✅ 組立・発注の効率化
✅ 在庫や不良対応のしやすさ
✅ 設計変更への対応力

図面に番号を振ることが、トラブルのない製品づくりへの第一歩です!
これから設計や製造に関わる方は、ぜひ「部品番号の役割」を意識してみましょう。
組立図における部品番号の表示方法とは?

〜バルーンと引き出し線の違いと使い分けをやさしく解説〜
機械設計の現場では、「組立図(組図)」を使って、どの部品をどこに取り付けるかを明確に示します。
このときに欠かせないのが、部品番号の表示です。
部品番号を図面に記載する方法には、主に次の2つがあります:
- バルーン(Balloon)
- 引き出し線(Leader Line)
本項では、それぞれの方法の特徴や使い分けについて、初心者の方にもわかりやすく説明します。
バルーン表示とは?
バルーンとは、部品番号を丸で囲って表示し、線で部品と結びつける方法です。
特徴とメリット
- 一目で「どの部品か」が分かる
- 図面がすっきり見える
- 部品番号を強調できる
- CADによっては形や色のカスタマイズも可能
向いているケース
- 部品点数が少ない図面
- 部品番号をはっきり目立たせたいとき
- 組立作業者や発注担当者にもわかりやすくしたいとき
引き出し線表示とは?
引き出し線は、部品番号を文字で記載し、線(矢印)で部品を指す方法です。
特徴とメリット
- コンパクトに表示できる
- 部品が密集している場合にも対応しやすい
- 線の角度やスタイルを自由に調整できる(CADによる)
向いているケース
- 部品数が多く、図面が混み合っているとき
- コンパクトに情報をまとめたいとき
- 詳細な情報(材質・寸法など)も書きたいとき
バルーンと引き出し線の使い分け
項目 | バルーン表示 | 引き出し線表示 |
---|---|---|
図面の見やすさ | ◎(すっきり) | △(ややごちゃつく) |
表現の簡潔さ | ◎(番号だけ) | ○(文字情報追加も可) |
複雑な構造への対応 | △ | ◎(密集部にも対応) |
CADカスタマイズ | ○(色・形) | ○(線の角度・位置) |
現場での使いやすさ | ◎(視認性が高い) | ○(慣れが必要) |
どちらを選ぶべき?判断ポイント
選び方のポイントは次の通りです。
- 図面がすっきりしている ⇒ バルーン
- 部品が密集 ⇒ 引き出し線
- 部品番号を目立たせたい ⇒ バルーン
- 省スペースで記載したい ⇒ 引き出し線
- 企業の設計ルール ⇒ 要確認
- 使用するCADソフトの機能 ⇒ 制限や自動設定も考慮
企業によっては「図面には必ずバルーンを使う」などのルールを設けているところもあります。
職場の設計規約も確認しておきましょう。

見やすく、間違いが起きにくい図面づくりの第一歩として、
表示方法にもこだわってみましょう!
目的や相手に合わせて使い分けよう!
状況 | おすすめ表示方法 |
---|---|
組立作業者向け | バルーン番号表示 |
技術者同士の設計レビュー | 引き出し線で詳細記載 |
部品点数が多いアセンブリ図 | 引き出し線で省スペース化 |
少数の簡単な組図 | バルーンですっきり |

部品番号の伝え方一つで、図面のわかりやすさやミスの防止につながります。
「誰がこの図面を見るのか?」を意識して、目的に合った表現方法を選びましょう!
図面作成時のポイント:部品番号の正しい付け方とは?
機械設計や製品開発の現場では、図面に部品番号を付けることはとても大切な作業です。
でも、初心者のうちは「どこに、どう番号を振ればいいの?」と迷うことも多いはず。
この記事では、図面作成時に気をつけたい3つの基本ポイントを、わかりやすく解説します。
番号は図面内で一意に振る
部品番号は、図面内で重複しないようにすることが基本です。
- 同じ番号が複数の部品に付いていると混乱の原因に
- 「どっちの部品のこと?」と現場で迷ってしまう
- 001、002、003…と通し番号で振る
- 同じ部品が複数個ある場合は「同じ番号」で「数量欄」で管理する(例:部品番号002 × 4個)
配置は見やすく、分かりやすく
部品番号はただ付ければよいというものではなく、図面を見る人が「すぐに理解できる」配置にすることが大切です。
- 線が交差しすぎていたり、部品を指していないと意味がない
- 番号が部品と離れすぎていても見にくい
- バルーンや引き出し線は部品を正確に指すように配置する
- 図面の空いたスペースに番号をまとめると見やすい
- 表示が混雑する場合は図面を分割したり、拡大図を使う工夫もアリ
部品表(BOM)は番号順に整理して添付
部品番号と図面だけでは、「何を何個使うのか」は分かりにくいものです。
そのため、部品表(BOM:Bill of Materials)を添付するのが必須です。
- 図面内の番号と対応した部品名・数量・材質などを一覧にする
- 部品番号順に並べることで、探しやすく、ミスが起きにくい
- ExcelやCADソフトで自動生成できる場合もある
🔽 例:部品表の一部
部品番号 | 部品名 | 数量 | 材質 |
---|---|---|---|
001 | ベースプレート | 1 | SS400 |
002 | M6ボルト | 4 | SUS304 |
003 | ブラケット | 2 | SS400 |
🧭 まとめ
部品番号は、図面の「正確さ」「わかりやすさ」「管理しやすさ」を大きく左右します。
🔧 図面作成時は、以下の3つを必ず守りましょう。
- 番号は一意に振る(重複禁止)
- 見やすく配置し、部品を正確に指す
- 部品表(BOM)を添付して、番号順に整理する
この基本を押さえるだけで、図面の品質と現場での作業効率が大きくアップしますよ!
図面は「誰が見ても同じ理解」ができることが重要
バルーン番号は、図面を誰でも読める設計図にするための工夫です。
設計者だけでなく、製造現場・検査・購買の人にもわかりやすく伝わるようにすることで、ミスを減らし、作業をスムーズに進められます。
図面づくりの際は、ぜひ「見やすいバルーン番号」を意識してみましょう!
まとめ
効果 | 具体的なメリット |
---|---|
識別性の向上 | 部品を正確に区別できる |
管理効率の向上 | 部品表、在庫、発注に使える |
組立・変更に強い | トラブル防止・設計変更の追跡が可能になる |
部品番号は、ただの記号ではなく、設計と製造の現場をつなぐ共通言語です。
正しく番号を付けることで、部品の識別ミスや発注トラブルを防ぎ、作業の効率や品質の向上にもつながります。
これから図面を描いたり設計に関わる方にとって、「なぜ番号が必要なのか?」を理解しておくことはとても大切です。
「見やすく・分かりやすく・管理しやすく」——その第一歩が、部品番号なのです。
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