3DCADは高機能である反面、PCへの負荷が大きいツールです。
「図面が開かない」「回転がカクつく」「保存が重い」などのストレスを防ぐためには、用途に合ったPC選定が欠かせません。
この記事では、3DCADを快適に使うためのPC選定ポイントを初心者向けにやさしく解説します。
1. CPU(演算処理の頭脳)
~設計作業を快適にする“PCの頭脳”を正しく選ぼう~
3DCADを使うとき、「動きがカクカクする」「保存に時間がかかる」と感じたことはありませんか?
それ、もしかするとCPUの性能が不足しているのかもしれません。
ここでは、CADにおけるCPUの役割と選び方を、初心者にもわかりやすく解説します。
CPUはPCの“頭脳”!CADでは超重要
CPU(中央演算処理装置)は、PCのあらゆる計算処理を担う心臓部です。
3DCADでは、
- モデルの表示・回転
- アセンブリの干渉チェック
- 物理シミュレーション(解析)
- 図面への展開や保存
など、リアルタイムに多くの計算処理を行うため、CPUの性能がそのまま快適さに直結します。
推奨スペック:Core i7 / Ryzen 7 以上
初心者にも安心しておすすめできるのが以下のグレードです。
メーカー | おすすめCPU |
---|---|
Intel | Core i7(第12世代以降) |
AMD | Ryzen 7(5000番台以降) |
これらは、複雑な3Dモデルや部品点数の多いアセンブリにも対応できる性能を持っています。
そもそも「CPUの世代」って何?
CPUの名前にある「第◯世代」「◯◯00番台」という数字は、CPUの設計の新しさや性能の進化度を表しています。
たとえば:
製品名 | 意味 |
---|---|
Core i7-13700K | Intel 第13世代 Core i7 |
Ryzen 7 7700X | AMD Ryzen 第5世代(7000番台) |
世代が新しくなるほど…
- 処理速度が速くなる(性能UP)
- 消費電力が下がる(熱が出にくい)
- 新しい機能に対応(DDR5メモリなど)
Intel Core i7 の世代(2025年時点での目安)
製品名例 | 世代 | 発売時期 | 特徴 |
---|---|---|---|
Core i7-10700 | 第10世代 | 2020年 | CAD用途では性能やや控えめ |
Core i7-11700 | 第11世代 | 2021年 | 性能は上がったが、やや旧式 |
Core i7-12700 | 第12世代 | 2022年 | 高速化+効率化、十分な性能あり |
Core i7-13700 | 第13世代 | 2023年 | アセンブリや解析用途にも◎ |
Core i7-14700 | 第14世代 | 2024年 | 現在の主力。迷ったらこれでOK! |
📌 おすすめは第12世代以上(できれば13〜14世代)
→ Windows 11対応やDDR5メモリにもスムーズに対応
AMD Ryzen 7 の世代(5000番台以上が狙い目)
製品名例 | 世代 | 発売時期 | 特徴 |
---|---|---|---|
Ryzen 7 3700X | 第3世代 | 2019年 | やや旧式(性能は悪くないが割引向き) |
Ryzen 7 5700X | 第4世代 | 2022年 | 非常に人気。コスパが高い |
Ryzen 7 7700X | 第5世代 | 2022年 | DDR5・PCIe Gen5対応 |
Ryzen 7 9700X | 第6世代 | 2024年 | 最新のCPU |
📌 Ryzenは「5000番台」以降が主力
→ 特に5700X、7700X、9700XあたりはCADにもおすすめです。
アドバイス
よくわからなければ「Core i7-13700」や「Ryzen 7 7700X」といった
型番をメモして検索すると確実です。

中古やセール品を買う時は「世代番号」を要チェック!
なぜCore i5 / Ryzen 5では厳しいの?
もちろん、Core i5やRyzen 5でも簡単なモデリング作業は可能です。
しかし、以下のような作業ではパワー不足を感じる場面が増えてきます。
- アセンブリ部品数が100点を超える
- 動作シミュレーションや解析を行う
- 複数のソフトを同時起動(CAD+Excel+ブラウザなど)
特に業務用で使う場合は、途中で買い替えるより最初から上位CPUを選ぶ方が効率的です。
CAD用CPU選定のポイント
項目 | 推奨 |
---|---|
グレード | Core i7 / Ryzen 7以上 |
世代 | 第12世代以降(できれば第13世代) |
用途別選定 | 解析・アセンブリ重視なら上位CPU |
ワンポイントアドバイス
PCの処理速度=作業スピード!
CADの快適さは、CPU選びから始まります。

「重くて作業が進まない…」とならないように、
最初からしっかりしたCPU搭載モデルを選ぶのがおすすめです。
2.メモリ(同時作業の余裕)
推奨:16GB以上(プロ用途は32GB推奨)
- CADでは複数ウィンドウや大きな図面データを同時に扱うため、メモリが不足すると一気に動作が遅くなります。
- SolidWorks、Fusion 360、 IRONCADなど、多くのCADは最低8GB、推奨16GB~32GB。

設計・解析・Excel・ブラウザも同時に使うなら、32GBが安心!
3. GPU(グラフィック性能)
推奨:NVIDIA Quadro / RTX Aシリーズ
- CADソフトは、3D描画性能(GPU)を活用します。
- 特にレンダリングやアセンブリのリアルタイム回転では、GPU性能が重要。
【業務用途】ならプロ向けGPU(例:NVIDIA RTX A2000など)
【趣味・学生・軽作業】ならGeForce RTX 3060〜4060あたりでも快適

内蔵グラフィック(Intel UHDなど)では力不足になるので要注意!
GPUのメモリ容量=VRAMも非常に重要
3DCADを快適に操作するためには、GPU(グラフィックボード)のメモリ容量=VRAMが非常に重要です。
特に複雑な3Dモデルやアセンブリを扱う場合、描画処理の負荷が高くなるため、
GPUの性能が作業効率に直結します。
推奨されるGPUメモリ容量(VRAM)
作業規模 | 推奨VRAM容量 | 用途例 |
---|---|---|
小規模(部品数100未満) | 4GB〜8GB | 基本的な3Dモデリング、簡易アセンブリ |
中規模(部品数100〜1000) | 8GB〜12GB | 一般的な機械設計、複数部品のアセンブリ |
大規模(部品数1000以上) | 12GB〜24GB以上 | 大型装置設計、BIM、複雑なレンダリング |
例えば、Fusion 360やSOLIDWORKSでは、8GB以上のVRAMを推奨しています。
GPU選定のポイント
- CAD向けGPUを選ぶ
- ゲーミング向けのGPU(GeForceなど)でも動作しますが、CADソフトとの互換性や安定性を考えると、NVIDIA RTX AシリーズやAMD Radeon Proシリーズなどの業務用GPUが理想的です。
- GPUドライバの認定状況を確認
- SOLIDWORKSなどは認定GPUとドライバの使用を推奨しており、安定性や不具合回避に直結します。
🔍 代表的なGPUとVRAM容量の例
GPUモデル | VRAM容量 | 備考 |
---|---|---|
NVIDIA RTX A2000 | 6GB or 12GB | CAD向け、コスパ良好 |
NVIDIA RTX A4000 | 16GB | 高精度設計・レンダリング向け |
NVIDIA RTX A6000 | 48GB | 超大規模設計・BIM・VR対応 |
GeForce RTX 4060 | 8GB | ゲーミング向けだがCADでも使用可 |
4. ストレージ(保存と読み込み速度)
推奨:SSD(NVMeタイプ)512GB以上
- 3DCADの図面やライブラリは数百MB~数GBの容量になることも。
- HDDでは読み込みに時間がかかるため、起動やファイル保存がもたつきます。
📌 NVMe SSD搭載なら「秒速で起動」が体感できます!
5. ディスプレイと周辺機器
- 【画面サイズ】27インチ以上
- 【解像度】フルHD(1920×1080)以上
- 【マウス】3DCAD操作はトラックボールマウスや3Dマウスが便利
- 【キーボード】ショートカット対応しやすいものがベスト
📌 CADは“空間認識”が重要なので、広くて高精細な画面ほど作業が快適です!
まとめ:3DCAD用PCの理想スペック(目安)
パーツ | 推奨構成 |
---|---|
CPU | Core i7 / Ryzen 7以上 |
メモリ | 16GB以上(できれば32GB) |
GPU | NVIDIA RTXシリーズ |
ストレージ | NVMe SSD 512GB以上 |
ディスプレイ | 27インチ、フルHD以上 |
✔ ノートPCで作業するなら、放熱性・拡張性に注意(外部GPU搭載や冷却対策)
✔ 自作やBTO(カスタムPC)もコスト効率が高いのでおすすめ
✔ CADソフトによって推奨スペックが異なるため、公式サイトで事前チェックを!
【2025年】amazonで購入できるPC目安
業務用にオススメPC
- プロセッサー:Intel Core i7 13700 16-Core 2.1 GHz/5.2GHz
- メモリ:32GB DDR5 RAM
- グラフィックスコントローラー:NVIDIA RTX A2000 GDDR6 12GB
- ハードドライブ容量:512GB SSD
趣味やゲーム、動画編集用【個人向け】
【CPU】AMD Ryzen 7 5700X プロセッサー
【メモリ】32GB(16GB×2)
【グラフィックス】NVIDIA GeForce RTX 4060 VRAM 8GB
【ストレージ】M.2 SSD:1TB(Gen4 NVMe)
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