
動力選定で欠かせない “回生” の基礎と設計ポイント
高速で動くロボットアームがピタリと停止した瞬間、あるいは数百キログラムのワークを吊り下げたクレーンがゆっくり降下を始めた瞬間――その裏側では、モーターが“発電機”へと姿を変え、膨大な運動エネルギーが電気に姿を変えて帰ってきます。この現象が回生(かいせい/regeneration)です。回生エネルギーをどう扱うかは、現代の機械設計において避けて通れないテーマになっています。対応を誤れば、インバータの過電圧トリップでラインが停止したり、ブレーキ抵抗が真っ赤に焼けたり――最悪の場合、装置の寿命そのものを縮める原因にもなります。反対に、正しくマネジメントすれば、省エネ・CO₂削減の切り札として年間電力を二桁パーセント削減できることも珍しくありません。