穴にはC面取り、軸にはR加工!干渉を防ぐ基本の設計ルール

製図の基礎知識

機械設計では、「穴」と「軸」が組み合わさる構造はとてもよく使われます。
そのときに注意したいのが角どうしの干渉。うまく処理しておかないと、組立時にうまく入らない、バリが出る、角が欠けるといったトラブルが起こることがあります。

こうしたトラブルを防ぐために使われるのが、

✔ 穴には C面取り(面取り)
✔ 軸には R加工(丸め処理)

という基本的なルールです。


なぜC面取りとR加工が必要なの?

例えば、「段付きシャフト(ピン)」を「穴」に差し込む場合、
ピンの段差の部分と、穴の入り口の角が直角同士だとぶつかってしまう可能性があります。

このとき、

  • 穴側に C面取り(例:C1)
  • ピン側に R加工(例:R0.5)

をしておけば、角どうしが当たらずスムーズに組み付けることができます


工夫ポイント:C面取りはR加工よりも大きくする!

重要なのは、穴のC面取り > 軸のR加工 になるように設計することです。

たとえば…

  • 軸の段付き部に R0.5 をつけるなら、
  • 穴には C1以上 をつけておくのが安心です。

こうすることで、干渉を確実に回避でき、組立性も向上します。



なぜ穴はC面取り、軸はR加工が良いの?

機械設計では、「軸が穴に入る」というシンプルな構造が多く登場します。
でも実は、角の処理(面取りやR加工)をどうするかで、組み立てのしやすさや部品の強度が大きく変わるんです。

この記事では、なぜ「穴はC面取り」「軸はR加工」がベストなのかを、やさしく解説します。


結論から言うと…

  • 穴はC面取り(45°の斜めカット)
  • 軸はR加工(丸みを持たせる)

この組み合わせが、加工しやすく、組み立てやすく、壊れにくいんです。


そもそも「C面取り」「R加工」ってなに?

  • C面取り
    • 角を斜めに削る加工。たとえば「C1.0」なら、45°で1mmの面取り。
  • R加工
    • 角に丸みをつける加工。たとえば「R0.5」なら、半径0.5mmの丸み。

なぜ穴にC面取りをするの?

  1. 軸がスムーズに入る
    • 面取りがないと、軸を差し込むときに「カド」が引っかかって入りにくい。
    • 特にR付きの軸には「斜めの入り口」がベストマッチ!
  2. 加工が簡単で正確
    • C面取りはドリルや工具で簡単に加工できるため、コストも安く、精度も高い

なぜ軸にはR加工をするの?

  1. 強度がアップする
    • 段差の角に力が集中(応力集中)すると、割れやすくなる。
    • R加工をして丸みをつければ、力が分散されて壊れにくい
  2. 加工工具(バイトやエンドミル)で自然につく
    • 工具にはもともと「隅R(R0.4~0.8mm程度)」があるので、無理にピン角にするより効率的

強度が必要な軸は「Rを大きく」、穴には「C面を大きく」して逃がす!

軸と穴が組み合わさる構造は、機械設計の基本中の基本。
その中でも特に注意が必要なのが「軸の強度が重要な場合」です。

たとえばモーターの回転を伝えるシャフトや、衝撃が加わるピンなどでは、角の処理ひとつで寿命や安全性が大きく変わります。


軸の角に「大きめのR」をつけて応力集中を防ぐ

部品に力が加わると、角や段差に力が集中してしまい、そこから割れ・折れ・クラックが起こることがあります。
これを応力集中と呼びます。

軸の段差部に**小さなR(R0.2など)**しかないと、そこに大きな力が集中しやすく、破損の原因になります。

そんなときは「Rを大きく」するのが効果的!

たとえば…

  • 通常:R0.2 → 応力集中が強い
  • 強度重視:R1.0〜R2.0 → 応力が分散され、破損しにくい

Rを大きくすることで力をやさしく受け流すような形にできるんです。


応力集中についての関連記事はこちら

穴側には「大きめのC面取り」でしっかり逃がす!

Rを大きくすればするほど、相手の穴との干渉の可能性も高くなります。

そこで重要なのが、穴側にも大きめのC面取りをつけて“逃がし”を設けることです。

たとえば…

  • 軸にR1.5をつけたら、穴にはC2.0など少し大きめの面取りが必要

C面の角度(通常は45°)を使って軸のRをしっかり受け止められるようにすることで、スムーズな組み立てが可能になります。


実際の設計現場でもよくあるケース

🚫 シャフトの根元で折れた!
 → 小さなRしかついていなかった…

🚫 軸を穴に差し込めない!
 → Rを大きくしたのにC面が小さいままだった…

こんなトラブルを設計段階で予防するためにも、「RとC面のバランス」を意識するのがとても大切です。


強度が求められる軸は「Rを大きくして応力集中を避ける」ことが基本。
その際は忘れずに、穴側のC面も大きくして干渉を防ぐ設計を心がけましょう。

はじめ
はじめ

シンプルだけど、現場で非常によく効くテクニックです。ぜひ覚えておいてください!

まとめ

部位推奨処理理由
C面取り組立時の入り口をなめらかにする
R加工加工性が高く、強度的にも安心
工夫C > R干渉回避の基本ルール

初心者の方ほど見落としがちなこの「CとRの使い分け」。
設計段階でしっかり押さえておけば、組立トラブルを防げるだけでなく、加工もしやすくなります。

シンプルですがとても重要なポイントなので、ぜひ覚えておきましょう!



はじめ
はじめ

図面とCADはアイデアを具体的な形にし、設計意図を正確に伝えるための重要な手段です。

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