【ワイヤーカット】放電加工の基本原理と設計時のポイント【ワイヤー径】

図面・CAD

放電加工(EDM)は、電気の火花放電を利用して金属を削る加工方法です。

切削工具を使わず、
電極とワークの間に高電圧をかけることで材料を少しずつ除去します。

この方法は、硬い材料や複雑な形状の加工に適しており、
一般的な切削加工では困難な精密加工も可能です。

そのため、金型製作や航空宇宙部品の製造など、
幅広い分野で活用されています。


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放電加工の基本原理

放電加工は、工具電極と加工物の間で火花放電を発生させ、
その熱エネルギーで材料を溶かして除去する加工方法です。

  • 絶縁された液体(加工液)を使用し、電極とワークの間で放電を発生
  • 接触しない加工なので、工具摩耗が少ない
  • 高精度な形状を加工可能

放電加工の種類

ワイヤーカット放電加工

細いワイヤー(電極)を使い、板材などを高精度で切断

🔍 例)

金型の輪郭加工、細かい部品の製作

型彫り放電加工

電極をワークに押し付ける形で、三次元形状を加工

🔍 例)

金型のくぼみや複雑形状の加工


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放電加工のメリットとデメリット

  • メリット
    • 硬い材料(超硬合金、焼入れ鋼など)も加工可能
    • 工具がワークに接触しないので、歪みが少ない
    • 複雑な形状を高精度に加工できる
  • デメリット
    • 切削加工より加工速度が遅い
    • 電極が摩耗するため、交換が必要
    • 絶縁性のある材料(樹脂など)は加工できない

どんな場面で使われる?

  • 金型の製作
    (プラスチック成形、ダイカストなど)
  • 超硬材の加工
    (タングステン、セラミックコーティング部品)
  • 微細加工
    (電子部品、精密部品)

放電加工は、通常の切削では難しい高硬度材料や複雑形状の加工に最適です。
加工方法を理解し、適材適所で活用することが大切です!

ワイヤーカット放電加工における加工形状の制限とは?

ワイヤーカット放電加工は、細いワイヤー電極を使って
金属を高精度に切断できる加工方法です。

しかし、「ワイヤーを使う」という特性上、
加工できる形状にはいくつかの制限があります。


ワイヤーカット放電加工の形状制限

貫通形状しか加工できない

ワイヤーは「切り抜く」加工なので、
貫通しない形状(袋穴や内部のくぼみ)は加工できません。

🔍 例)

〇 可能 → 板の輪郭カット
× 不可 → 板の中央にポケット形状を作る

最小コーナーR(角の丸み)の制限

ワイヤー自体の直径があるため、直角の内角は作れません。

 🔍 例)

ワイヤー径が0.2mmの場合、最小コーナーRは0.1mm以上必要

テーパー角度に制限がある

ワイヤーは上下で角度をつけることができますが、
大きな角度には限界があります。

 🔍 一般的には30°~45°程度が上限(機械による)

加工スタート位置が必要

ワイヤーを通すための穴を事前に開ける必要があります。

 🔍 板の端から切り込める形状なら問題なし


どのように対策する?

袋穴や内側の形状を作りたい場合

型彫り放電加工(放電加工機)を併用する

直角のコーナーが必要な場合

追加の加工(リューター仕上げや細穴放電)を行う

大きなテーパー角度をつけたい場合

機械の仕様を事前に確認し、設計段階で制限を考慮する


はじめ
はじめ

ワイヤーカット放電加工は高精度な加工が可能ですが、
形状の制約を理解して設計することが重要です!

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ワイヤーカット放電加工における一般的なワイヤー径とは?

ワイヤーカット放電加工(ワイヤーEDM)では、
細い金属ワイヤーを使って材料を切断します。

加工の精度や仕上がりに影響する「ワイヤー径」は、用途に応じて選ばれます。


一般的なワイヤー径の種類と特徴

ワイヤー径用途・特徴
Φ0.3mm高速加工向け、粗加工に適する
Φ0.25mmバランスが良く、標準的なサイズ
Φ0.2mm一般的な精密加工向け
Φ0.15mm高精度加工、細かい形状向け
Φ0.1mm以下超精密加工、微細加工向け

ワイヤー径を選ぶポイント

加工速度と精度のバランス

  • 太いワイヤー(例:Φ0.3mm)は加工速度が速いが、精度はやや低め
  • 細いワイヤー(例:Φ0.1mm)は高精度だが、加工速度は遅い

最小コーナーRの影響

  • ワイヤーの径が大きいほど、角の丸み(コーナーR)も大きくなる
  • シャープな角を求める場合は細いワイヤーを選ぶ

切断面の仕上がり

細いワイヤーは仕上げ面が滑らかになるため、
仕上げ加工が不要な場合もある


どのワイヤー径を選べばいい?

  • 一般的な加工なら Φ0.2mm~Φ0.25mm
    → バランスが良く、多くの場面で使われる
  • 高精度加工なら Φ0.15mm以下
    → 微細な形状や高精度が必要な場合
  • 高速で加工したいなら Φ0.3mm以上
    → 大きな部品や時間短縮が重要な場合

ワイヤー径の選択は、加工のスピード・精度・コストに影響する重要なポイントです!

はじめ
はじめ

目的に合わせて適切なサイズを選びましょう。

まとめ

放電加工は、高硬度材料の加工や微細・複雑形状の製作が可能な優れた技術です。
工具の摩耗がなく、精密な仕上がりが得られる点も大きな特徴です。

ただし、加工速度が遅く、電極や加工液の管理が
必要といったデメリットもあります。

そのため、他の加工方法と組み合わせながら、
最適な加工手法を選択することが重要です。

適切な用途で放電加工を活用し、
精密な部品製作や品質向上に役立てましょう!


図面とCADはアイデアを具体的な形にし、
設計意図を正確に伝えるための重要な手段です。

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