電卓で大きな数や小さな数を計算したときに、
「2.5e+12」や「6.2e-7」などの表示を見たことはありませんか?
これは 「指数表記」 と呼ばれるもので、非常に大きな数や非常に小さな数を、見やすく・扱いやすく表示するための方法です。
「e」の意味
「e」は exponent(指数) の略です。
つまり「eの後ろに書いてある数字」が「10の何乗」を表しています。
- 2.5e+11 → 2.5 × 1012 = 250,000,000,000
- 6.2e-7 → 6.2 × 10⁻7 = 0.00000062
「e+」と「e-」の違い
- e+ → 10の正の指数(大きな数)
- e- → 10の負の指数(小さな数)
例:
- 1.23e+6 = 1.23 × 10⁶ = 1,230,000
- 4.56e-7 = 4.56 × 10⁻⁷ = 0.000000456
実際の使いどころ
(1)大きな数を扱うとき
例えば、地球の質量は 5.972e+24 kg と表記されます。
「5.972 × 10²⁴ kg」と同じ意味で、とても大きな数を短く書けます。
(2)小さな数を扱うとき
電子の電荷は 1.602e-19 C と表記されます。
これも「0.0000000000000000001602 C」と書くよりずっと見やすいですね。
電卓での見方まとめ
表記 | 意味 | 通常の数値に直すと… |
---|---|---|
2.0e+03 | 2.0 × 103 | 2000 |
5.6e+06 | 5.6 × 106 | 5,600,000 |
7.8e-08 | 7.8 × 10⁻8 | 0.000000078 |
1.2e-05 | 1.2 × 10⁻5 | 0.000012 |
初心者へのアドバイス
- 「e+」はゼロを後ろに足すイメージ(大きな数)
- 「e-」は小数点を左に動かすイメージ(小さな数)
これを覚えるだけで、電卓の表示にすぐ慣れます。
機械設計でよく出る場面
(1) 材料の物性値
- 鉄鋼のヤング率:2.1e+11 [Pa]
= 2.1 × 10¹¹ Pa = 210 GPa - ゴムのヤング率:5.0e+06 [Pa]
= 5.0 × 10⁶ Pa = 5 MPa
👉 材料比較のときに、オーダー(桁違い)を意識できるのが大切です。
(2) 応力・ひずみ計算
有限要素法(FEM)解析では、
応力やひずみが e+ や e- で表記されることが多いです。
例)
- 計算結果:ひずみ ε = 3.2e-03
= 0.0032 = 0.32%
👉 解析結果の「e-03」を「ミリ(1/1000)」と素早く変換できると便利です。
(3) トルクや慣性モーメントの計算
- 計算式の結果:J = 8.5e-05 [kg·m²]
= 0.000085
→ 回転体が非常に軽いことを意味する
👉 機械設計では「0.000085」と表示されるより「8.5e-05」と表示された方がオーダーを把握しやすい。
設計時に注意すべきポイント
- 桁違いの勘違いは致命的
例:2.1e+11(ヤング率)を 2.1e+10 と読み間違えると、設計の剛性計算が10倍狂う。 - 単位とセットで理解する
e表記は「Pa」「N·m」「m²/s」など単位と一緒に読むことが大切。 - オーダー感を常に意識する
「10⁻³はミリ」「10⁻⁶はマイクロ」と変換できるとスムーズ。
e+ / e- 表記を簡単に変換するコツ
e+ の変換(大きい数)
👉 「ゼロを足す」イメージ
- 3.4e+05
= 3.4 × 10⁵
= 340,000(3.4の後にゼロを5個 → 小数点を右へ5つ動かす) - 7.2e+03
= 7.2 × 10³
= 7,200(小数点を右へ3つ動かす)
コツ
「e+〇〇」は 小数点を右に〇〇回動かす
e- の変換(小さい数)
👉 「小数点を左に動かす」イメージ
- 5.6e-04
= 5.6 × 10⁻⁴
= 0.00056(小数点を左へ4つ動かす) - 1.2e-06
= 1.2 × 10⁻⁶
= 0.0000012(小数点を左へ6つ動かす)
コツ
「e-〇〇」は 小数点を左に〇〇回動かす
すぐ変換できるショートカット表
表記 | 変換のしかた | 結果 |
---|---|---|
1.0e+03 | 小数点を右に3つ | 1000 |
4.5e+02 | 小数点を右に2つ | 450 |
7.8e-03 | 小数点を左に3つ | 0.0078 |
2.1e-05 | 小数点を左に5つ | 0.000021 |
暗算のコツ
- e+はゼロを増やす
例:1.0e+04 = 1にゼロを4個 → 10000 - e-は「0.00…」を作る
例:3.2e-06 → 「0.0000032」
まとめ
- 「e」は指数(10の何乗か)を表す
- e+ → 大きい数、e- → 小さい数
- 科学や工学では必須の表記なので、慣れるととても便利
「ゼロを足す」「0.00…にする」と考えると一瞬で変換できる
e+ → 小数点を右に動かす(大きい数)
e- → 小数点を左に動かす(小さい数)
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