機械の動力を効率よく伝えるために使われる「歯車(ギア)」には、さまざまな種類があります。
その中でも「平歯車(スパーギア)」は、最も基本的でよく使われるタイプの歯車です。
構造がシンプルで扱いやすく、軸が平行な場合の回転伝達に非常に適しています。
この記事では、平歯車の特徴と選び方のポイントを初心者の方にもわかりやすく解説します。
平歯車(スパーギア)とは?
平歯車は、最も基本的で一般的な歯車の一種です。
円筒状の歯車の周囲に、軸と平行な直線状の歯(歯面)がまっすぐ並んでいる構造をしています。
そのため、「直歯車」とも呼ばれます。
- 最も基本的な歯車です。
- 平行軸間で動力を伝えるために使用されます。
- 回転速度やトルクを変更するために広く使われる。
- 製造も容易。

平歯車の主な特徴

構造がシンプルで製造が容易
平歯車は構造が単純なので、製造コストが比較的低く、加工も簡単です。
初心者でも扱いやすいギアの基本形として広く使われています。
軸が平行な回転軸に動力を伝える
平歯車は、2つの軸が平行な場合に最適です。
例えば、モーターの回転を同じ方向の別の軸に伝えたいときに使います。
効率が高い
滑りがほとんどないため、動力伝達効率は90~98%と非常に良好です。
そのため、損失が少なくエネルギーロスを抑えられます。
騒音が比較的大きい
平歯車は歯が一直線で噛み合うため、噛み合いの衝撃が強く、
高速回転時には騒音が大きくなりやすいというデメリットがあります。
平歯車の選定ポイント
軸の位置が平行か確認
平歯車は、軸が平行であることが必須条件です。
軸が直交や角度付きの場合は、他の歯車(ウォームギア、ベベルギアなど)を検討しましょう。
伝達したい回転速度とトルクを把握
平歯車は高い効率で動力を伝えられますが、
負荷が大きすぎたり回転数が非常に高い場合は、別のタイプの歯車を選ぶことも検討します。
騒音対策が必要かどうか
高速で使う場合は、騒音が問題になることがあります。
その場合は、はすば歯車(ヘリカルギア)などの歯が斜めにカットされたタイプも選択肢になります。
歯数やモジュール(歯のサイズ)の設定
歯車の歯数やモジュールは、伝達速度やトルク、機械のサイズに大きく影響します。
適切に設計・選定することが重要です。
使用環境の確認
使用環境によっては、防塵、防錆などの対策が必要になることもあります。
材質や表面処理もあわせて検討しましょう。
平歯車(スパーギア)の使いどころ ~初心者にもわかりやすく解説~
平歯車は機械設計でよく使われる基本的な歯車の一つです。
そのシンプルな構造から多くの場面で活躍していますが、具体的にどんな使い方に向いているのかを知ることは、設計を考えるうえでとても大切です。
ここでは、平歯車が使われる代表的な場面や、その理由について初心者でも理解しやすいようにまとめました。
軸が平行な回転伝達に最適
平歯車は、2本の軸が平行に配置されている場合に使われます。例えば、自動車の一部の伝達機構や産業機械の駆動部などで、回転運動をシンプルに伝えるのにぴったりです。
- 軸が直角や交差している場合は使えません。
- 軸が同一直線上の場合は他の歯車(例えばカップリングやクラッチ)を使います。
低速〜中速の機械に向いている
平歯車は、構造がシンプルな分、回転速度が高くなると歯と歯がぶつかる衝撃音(騒音)が大きくなることがあります。
そのため、低速から中速の回転に適しています。
- 高速回転で静かな動作が求められる場合は、ヘリカルギアなど他の種類が使われることが多いです。
力の伝達効率が高い
平歯車は歯の噛み合いが直線的で、摩擦や滑りが少なく、効率よく力を伝えられます。
機械の動力損失を減らしたい場合に選ばれます。
製造やメンテナンスがしやすい
平歯車は他の歯車に比べて設計や製造がシンプルで、コストが比較的低いのも大きなメリットです。
部品交換や修理も容易なので、産業機械や工作機械などの多くの分野で使われています。
「軸が平行で低速~中速の回転伝達に適し、力を効率的に伝えたいとき」に最も使われます。
シンプルでコストパフォーマンスも良いため、機械設計の基本として知っておきたい歯車です。
ただし、高速や静音性が必要な場合は他の歯車を検討しましょう。

使いどころを正しく理解して、適切に選定することが重要です。
まとめ
平歯車は、軸が平行な回転運動の伝達に最適なシンプルで効率の良い歯車です。
製造が容易でコストも抑えやすいため、多くの機械設計で基本的に使われています。
ただし、高速回転時の騒音や用途に応じた適切な歯数・モジュールの選定が重要です。用途や条件に合わせて正しく選ぶことで、安定した動力伝達が実現できます。
機械設計の基本として、まずは平歯車の特徴をしっかり理解しましょう。
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