【JIS・ISO】材料選定における法的・規格的要件とは?【RoHS】

材料選定

機械設計で材料を選ぶ際、「強度」や「コスト」だけでなく、
法的・規格的な要件を満たしているかどうかもとても大切です。

これらの基準を無視してしまうと、製品が出荷できなかったり、
事故やトラブルの原因になることがあります。

以下では、代表的な基準や規格について紹介します。


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よく使われる基準・規格

JIS(日本産業規格)

日本国内で広く使われる材料や寸法、性能などの標準規格。

🔍 例)

S45C、SS400などの材料名称はJISで定義されています。

  • ポイント

国内での製造や取引には必須レベルの基本規格。

ISO(国際標準化機構)

世界中で共通の設計基準を定める国際規格。
多国籍取引やグローバル展開する製品において重要。

🔍 例)

ISO 2768(一般公差)などは海外製品設計に必須。

RoHS(ローズ指令)

「有害物質の使用制限」に関するEUの法規制。

電子・電気製品に含まれる鉛やカドミウム、
水銀などの特定有害物質の使用を制限

  • ポイント

RoHS非対応の材料を使うと、ヨーロッパで製品が販売できなくなる場合も!


機械設計におけるJIS規格とISO規格の違いをわかりやすく解説

機械設計の現場では「この部品はJIS規格のボルトだよ」
「ISO規格に合わせて設計しておいて」など、
規格の名前がよく出てきます。

しかし、初心者にとっては「JISとISOの違いって何?」と疑問に思うことも多いでしょう。

本記事では、JIS規格とISO規格の基本的な違いと、
機械設計において知っておくべきポイントをわかりやすく解説します。


JIS規格とは?

JIS(Japanese Industrial Standards) は、日本産業規格のことです。
日本国内で工業製品や部品の標準化を目的に制定されており、
機械要素や材料などの寸法・性能・試験方法が細かく定められています。

  • 適用範囲
    • 日本国内の設計・製造で多く使われる
    • ねじ(M6ボルトなど)、材質記号(S45C、SS400)、歯車、ベアリング寸法など
  • メリット
    • 国内メーカーやサプライヤーとの互換性が高い、調達が容易
はじめ
はじめ

つまり、国内製品を設計する場合には
JIS規格を押さえておくことが非常に重要です。


ISO規格とは?

ISO(International Organization for Standardization) は、
国際標準化機構が定める国際規格です。

世界各国で共通の基準を持つことを目的としており、
輸出入や海外製品との互換性を確保するのに使われます。

  • 適用範囲
    • 世界各国で広く利用
    • ISOねじ、ISO公差(はめあい)、ISOベアリング番号など
  • メリット
    • グローバル対応、海外部品との互換性が取りやすい
はじめ
はじめ

海外企業とやり取りする機械設計では、
ISO規格を理解しておくことが必須となります。


JISとISOの違い(例:ねじ規格の場合)

違いをイメージしやすい例として「ねじ」を取り上げます。

  • JIS規格のねじ
    • 主に日本国内で使われる
    • 呼び径やピッチに国内特有の規格が含まれる
  • ISO規格のねじ
    • 世界標準(メートルねじ規格)
    • 日本も国際化に伴いISO規格を採用する流れが進んでいる

実際には、JIS規格も国際化に合わせてISO規格を取り入れており、
現在のJIS規格ねじの多くはISOに準拠しています。


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機械設計で押さえるべきポイント

  1. 設計対象によって使い分ける
    • 国内向け装置 → JIS規格がメイン
    • 輸出装置や海外メーカー部品を使う場合 → ISO規格に合わせる
  2. 互換性に注意する
    • JISとISOでは寸法やピッチが微妙に異なる場合がある
      • 例:ねじピッチが異なると組み付けできない
  3. 部品調達のしやすさを考慮する
    • JIS規格は国内で入手しやすい
    • ISO規格はグローバルに入手可能
  4. 図面に明記することが重要
    • 「JIS B 0205に準拠」や「ISO 965-1準拠」など
    • 規格を図面に指定することで誤解を防げる

  • JIS規格:日本国内での標準。国内製品との互換性や調達性に優れる
  • ISO規格:国際標準。輸出入や海外製品との互換性に優れる
  • 設計対象や調達先に応じて、どちらの規格を使うかを判断するのがポイント

初心者のうちは「国内向けはJIS」「海外向けはISO」と覚えるとわかりやすいでしょう。

はじめ
はじめ

機械設計では規格の選択がそのまま調達性や信頼性につながるため、
設計初期段階でしっかりと確認することが重要です。

RoHSで制限される代表的な物質(※RoHS2対応)

物質名上限値(重量比)主な用途・問題点
鉛(Pb)0.1%はんだや塗料に使用、神経毒性がある
カドミウム(Cd)0.01%メッキや顔料に使用、発がん性あり
水銀(Hg)0.1%スイッチや蛍光灯に使用、毒性が高い
六価クロム(Cr⁶⁺)0.1%防錆処理に使用、強い酸化性がある
PBB・PBDE0.1%難燃剤として使用、環境ホルモンの疑い

※現在はさらに4種類のフタル酸エステル類も追加されています(RoHS2対応)


なぜRoHSが重要なのか?

  • ヨーロッパで製品を販売するにはRoHS対応が必須!
  • 輸出時に証明書や材料証明の提出が求められることがある
  • 違反すると、販売停止や罰則のリスクがある

設計者が注意するポイント

材料・部品の選定時にチェック

  • ネジや端子、樹脂、塗装などにも有害物質が含まれていないか確認
  • 「RoHS対応品」と明記された部品や材料を選ぶのが基本

材料証明書(RoHS適合証明書)を保管

  • 部品メーカーから発行されるRoHS適合証明書を製品ごとに管理
  • 社内の品質保証部門と連携することも重要です

材料変更のときは再確認を!

  • 材料や仕入先を変えると、非RoHS材料になる可能性もあるため注意が必要

RoHSは「環境と製品の信頼」を守る大切なルール

RoHSは、製品に含まれる人体や環境に有害な物質の使用を制限するルールです。
とくに電子・電気製品を扱う設計者は、RoHSを理解して、
材料や部品の選定段階から意識することが大切です。

はじめ
はじめ

「知らなかった」では済まされない時代だからこそ、
早めに知っておきたい基礎知識です。

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なぜ守らないといけないの?

製品が出荷できない・輸出できない
法的責任を問われるリスクがある
社内外の信頼を失う
リコールや修理コストなど、大きな損失につながる


設計者としての対応ポイント

  • 材料表を作成するときは、JIS・ISO番号を記載
  • 環境規制(RoHSなど)対象製品の場合は、材料の成分証明書を確認
  • 海外展開する製品では、現地の法規制にも注意

まとめ:材料選定は「法的・規格」もセットで考える!

材料選定は、強度やコストだけでなく、
JIS、ISO、RoHSなどの法的・規格的な基準を満たすことが大前提です。

製品を安心して市場に出すためにも、
こうした要件をしっかり理解して、
正しい材料を選ぶことが設計者に求められています。


はじめ
はじめ

設計において欠かせない材料の特性や用途を解説しています。
適材適所の選定をサポートします。

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