世の中には数えきれないほどの機械部品があります。
例えば機械設計をしていると、
▶ ギア(歯車)
▶ ベアリング
▶ シャフト
▶ カップリング
など、さまざまな機械要素が登場しますよね。
ではここでひとつ質問です。
「世界で一番作られている機械部品は何でしょう?」
歯車?
ベアリング?
それともモーター?
実はこれらではありません。
答えは、もっとシンプルで、もっと身近で、
そしてすべての機械を支えている部品です。
この記事では
世界で最も作られている機械部品(機械要素)を紹介しながら、
□ なぜそんなに大量に作られているのか
□ 機械設計での重要性
□ 面白い豆知識
などを、機械設計者目線でわかりやすく解説します。
機械設計をしている人なら「確かに!」と思うはずです。
世界で最も作られている機械部品は?
結論から言います。
世界で最も作られている機械部品は
ボルトとナットです。
少し拍子抜けしたかもしれません。
しかしこれは間違いなく
圧倒的No.1です。
世界のボルト生産量は年間で
数千億本以上と言われています。
もはや人類の数より多いレベルです。
なぜボルトはそんなに作られているのか?
理由はとてもシンプルです。
あらゆる機械に使われているから
です。
例えば身の回りを見てください。
ボルトが使われているものは…
つまりほぼすべての工業製品です。
しかも1台あたりの使用数が多いのも特徴です。
機械に使われるボルトの数
例えば自動車。
1台に使われているボルトの数は
2000~3000本と言われています。
さらに航空機になると
数百万本のボルトが使われています。
つまり世界中の製品を合わせると
天文学的な数になるわけです。
ボルトは機械設計の「縁の下の力持ち」
機械設計をしていると感じると思いますが、
ボルトは主役ではないけど絶対に必要な部品です。
例えば
- フレーム固定
- モーター固定
- ベアリング固定
- カバー固定
- 構造部品接合
など、ありとあらゆる場所に登場します。
つまりボルトがなければ機械は成立しません。
ボルトが優秀すぎる理由
ではなぜ、これほどまでにボルトが使われているのでしょうか。
理由は大きく3つあります。
① 分解できる
ボルト最大のメリットは分解可能なことです。
例えば溶接だと一度つけると外せません。
しかしボルトなら
ができます。
機械にとってこれは非常に重要です。
② 強い
ボルトは締結力(軸力)によって部品を固定します。
適切に締めれば、かなり大きな荷重にも耐えます。
だから
などの構造物にも使われています。
③ 規格化されている
ボルトの世界は規格の塊です。
例えば
などのねじサイズ。
これは世界中でほぼ共通です。
つまりどこでも手に入るということです。
これも大量生産される理由の一つです。
実は「ねじ」は人類最大の発明?
機械設計をしていると、ボルトやナット、ねじは当たり前の存在ですよね。
図面にも普通に「M8」「M10」などと書いていますし、
あまり特別なものとは感じないかもしれません。
ですが実はこの「ねじ」、
人類史上でも最も重要な発明の一つと言われることがあります。
少し大げさに聞こえるかもしれませんが、
理由を考えてみると意外と納得できるんです。
ねじがなければ機械は組み立てられない
機械を作るとき、部品と部品をどうやって固定するかはとても重要です。
例えば方法としては
などがあります。
この中で、分解できる方法はどれでしょうか?
そう、ねじだけです。
ねじを使えば
つまり、機械を「整備可能な構造」にできるわけです。
もしねじがなかったらどうなるでしょう。
機械はすべて
などで固定するしかありません。
そうなると、一度組み立てたら分解できない機械ばかりになってしまいます。
故障したら修理できない。
部品交換もできない。
そんな機械ばかりでは、現代の産業は成立しません。
つまりねじは
機械文明を成立させている基本技術
とも言えるのです。
実は古代から存在していたねじ
ねじの歴史は意外と古く、古代ギリシャまでさかのぼります。
有名なのがアルキメデスのねじです。
これは水をくみ上げるための装置で、今でも
- 排水ポンプ
- 灌漑設備
などに使われています。
つまりねじという概念は、すでに2000年以上前から存在していたのです。
レオナルド・ダ・ヴィンチもねじを研究していた
そしてルネサンス時代になると、ねじはさらに重要な技術になります。
あの有名な発明家・芸術家である
レオナルド・ダ・ヴィンチも、ねじ機構を研究していました。
彼のスケッチには
- ねじジャッキ
- ボルト構造
- ねじ機構を使った装置
などが描かれています。
ダ・ヴィンチはすでに、ねじが
機械を動かす重要な要素
になることを理解していたのです。
産業革命でねじが大活躍
ねじが本格的に活躍するようになったのは、産業革命の時代です。
蒸気機関や工作機械が登場し、
機械の精度が求められるようになると
が必要になりました。
ここで重要だったのが
ねじ切り旋盤です。
これにより
同じ形状のねじを大量に作ること
ができるようになりました。
つまりここで初めてねじの規格化が進んだのです。
この技術がなければ、
現代の機械産業は成立しなかったと言われています。
現代の機械もねじなしでは作れない
そして現代。
ねじはあらゆる機械に使われています。
例えば
どれも、ねじなしでは組み立てることができません。
さらに、ねじは単なる固定だけではなく
など、さまざまな用途にも使われています。
例えば
- ボールねじ
- 送りねじ
- マイクロメータ
などは、ねじの原理を応用した装置です。
たった1本のねじが機械を支えている
普段の設計では、ねじはどうしても「脇役」に見えます。
図面でも
M8 × 20
M10 × 30
といった形で、さらっと書かれて終わることが多いですよね。
ですが実際には、ねじは
機械を成立させる最も基本的な技術のひとつです。
もしねじが存在しなかったら、
- 機械のメンテナンス
- 部品交換
- 精密機械の組み立て
などはほとんど不可能だったでしょう。
そう考えると、たった一本の小さなねじでも
人類の技術を支えている重要な発明
と言えるのかもしれません。
機械設計者が知っておきたいボルトの注意点
ボルトは便利ですが、注意点もあります。
締めすぎると壊れる
ボルトは締めすぎると破断します。
そのため設計では
- 締付トルク
- 強度区分
を考える必要があります。
緩むことがある
振動があるとボルトは緩みます。
そのため
- スプリングワッシャー
- ナイロンナット
- ねじロック剤
などが使われます。
まとめ
世界にはさまざまな機械部品がありますが、
最も多く作られている機械部品は「ボルトとナット」です。
その理由はとてもシンプルで、
▶ ほぼすべての機械に使われる
▶ 1台あたりの使用数が多い
▶ 分解・メンテナンスが可能
▶ 規格化されている
といった特徴があるからです。
自動車1台で数千本、航空機では数百万本使われることもあり、
世界全体では年間数千億本以上が生産されています。
普段は目立たない存在ですが、ボルトはまさに
機械を支える縁の下の力持ちです。
機械設計をしていると、どうしてもモーターやギアなどの
主役に目が行きがちですが、実はこうした
シンプルな機械要素こそが機械を成立させているのです。
次に図面を書くとき、ぜひ一度思い出してみてください。
世界で一番作られている機械部品は、
あなたの図面にも必ず登場する「ボルト」かもしれません。





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