製品づくりにおいて、「部品図」だけでは十分ではありません。
それぞれの部品がどう組み合わさって、最終的にどのような形になるのか――
それを明確に示すのが「組立図(くみたてず)」です。
この記事では、初心者にもわかりやすく「組立図の役割と必要性」について解説します。
組立図(組図)とは?
組立図は、製品全体の構成や部品の位置関係を示す図面です。
組み立てる際に「どの部品を、どの順番で、どこに取り付けるか」を把握するために使われます。
なぜ組立図が必要なの?
~製品づくりの現場で役立つ4つの理由~

製品を作るときに欠かせない「図面」。その中でも「組立図(くみたてず)」は、完成品の形や組み立て手順を正確に伝える重要な図面です。
本項では、「なぜ組立図が必要なのか?」を、4つの理由に分けてわかりやすく解説します。
理由①:組み立て手順がわかる
組立図には、部品の向きや取り付け位置が明確に描かれています。
作業者はこの図面を見るだけで、「どの部品を、どの順番で、どこに取り付けるか」がひと目でわかります。
🧩 例:「先に軸を取り付けてから、カバーをかぶせる」
→ 図面で順序がイメージできるので、作業ミスややり直しが減ります。
理由②:全体構造が把握しやすい
部品ごとの図面(部品図)だけでは、完成品がどんな形になるのか想像しづらいことがあります。
でも、組立図があれば全体像がわかり、「この製品はこういう構造なんだな」と理解しやすくなります。
🧱 設計者・製造担当者・検査員など、関係者全員が同じ完成形を共有できます。
理由③:ミスを未然に防げる
部品の取り付け方向や位置を間違えると、製品がうまく動かなくなったり、不良品になることも…。
組立図で事前に確認しておけば、そうしたミスを防ぎ、品質の安定につながります。
🚫 間違った向きで取り付け → 後からやり直し → 手間・コストが増える…
🔁 組立図をチェック → 正しく組める → 作業効率アップ!
理由④:他部門との情報共有に役立つ
組立図は、設計だけでなく、製造・品質・検査・保守など、あらゆる部門で共通言語として使われます。
これにより、伝達ミスや認識のズレが減り、製品づくりがスムーズに進みます。
📤 設計→製造→品質検査 すべての人が同じ図面でやりとりできるのが大きなメリット!
組立図は「完成までの道しるべ」
組立図は、ただの図ではありません。
それは「どのように組み立て、完成形にするのか」を正しく伝える道しるべです。
初心者の方も、組立図を読む練習をしておくことで、
製品全体の流れや構造を深く理解できるようになります。

まずは図面を見る習慣をつけて、確かなモノづくりの第一歩を踏み出しましょう!
組立図に含まれる主な情報とは?
~どこを見れば、なにがわかる?~

機械設計の現場では、組立図(くみたてず)は非常に重要な図面です。
この図面には、完成品を組み立てるために必要なさまざまな情報が詰まっています。
ここでは、組立図に「どんな情報が載っているのか?」を、初心者の方にもわかりやすく解説します。
完成品の外観や断面図
組立図では、完成後の製品がどんな形になるのかを正確に示します。
全体の見た目を正面・側面・上面などから描いた「外観図」や、
内部構造を見やすくするための「断面図」が含まれていることもあります。
🔍 これを見ることで、製品の形や構造、部品の収まり方がイメージしやすくなります。
各部品の配置と部品番号(バルーン)
組立図には、製品を構成するすべての部品の配置が描かれ、
それぞれの部品には「部品番号」が付けられます。
この番号は通常、バルーン(丸で囲んだ番号)で示され、
図面内でどの部品が何番かがすぐに分かるようになっています。
📌 例: ① 軸 ② ベアリング ③ カバー … というように図中で明示
組立順序や注意点(必要に応じて)
図面には、「先にこれを入れてから、次にこの部品を取り付ける」といった手順や、
「この部品は向きに注意」「ネジは指定トルクで締める」などの
組立時の注意事項が記載されている場合もあります。

こうした補足情報があることで、組立作業のミスやトラブルを未然に防げます。
対応する部品表(BOM)
組立図と一緒に使われるのが、部品表(BOM:Bill of Materials)です。
図面の中の部品番号とBOMを見比べることで、
- 各部品の名称
- 必要な数量
- 材質や備考
などを簡単に確認できます。
📄 BOMと組立図がセットになることで、製造・調達・在庫管理までスムーズに連携できるのです。
組立図は“設計と現場をつなぐ地図”
組立図には、製品を正しく組み立てるための情報が詰まっています。
✅ 製品の完成イメージ
✅ 部品の配置と番号
✅ 組立時の注意点
✅ 対応する部品表(BOM)

これらを理解することで、設計者・作業者・調達担当など、
多くの人が共通認識で作業できるようになります。
まずは「バルーン番号とBOMの関係」から見慣れていくと理解しやすくなりますよ。
まとめ:組立図は「全体を見渡せる地図」
部品図が「部品の詳細設計書」だとすれば、
組立図は「完成までの道筋を示す地図」です。
作る人・見る人・使う人、すべてにとってわかりやすく、
製品づくりをスムーズに進めるための必須ツールです。
まずは組立図をしっかり読み取ることからスタートすると、製品全体の理解がぐっと深まります。
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