機械設計において、ラダー図はPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)を使った電気制御を理解する上で欠かせないものです。
今回は、初心者でもわかりやすいように、ラダー図の基本構成を解説します!
ラダー図の基本構成
ラダー図は、はしご(ラダー)のような構造をしています。
基本的な考え方として、以下のポイントを押さえましょう。
✅ 左側が電源ライン、右側が出力ライン
✅ 電流は左から右へ流れる(リレー回路の考え方と同じ)
✅ 上から順番に回路をスキャンし、順次処理を実行
🔹 ラダー回路図の基本イメージ


このように、左側から右側へと信号が流れるのがポイントです。
基本的な記号の解説
ラダー図には、機械を制御するための基本的な記号が使われます。
ここでは、代表的なものを紹介します。
ラダー図の「X」「Y」「M」って何?
ラダー回路を学ぶと、「X」「Y」「M」という記号がよく出てきます。
これらはPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)で使われる入出力や内部リレーを表しています。
初心者でもわかるように、それぞれの役割を詳しく解説します!
X(入力:スイッチやセンサー)
「X」は、外部からの入力信号を意味します。
スイッチやセンサーなどの信号がONになると、ラダー図内でその信号を使うことができます。
✅ 特徴
- 外部機器(押しボタン、リミットスイッチ、光電センサーなど)からの入力信号
- PLCの入力端子に接続される
- ONになると回路が動作
✅ 例:スイッチ(X1)を押したらモーターを回す(Y1をON)

スイッチX0を押すと、モーター(Y1)が動く!
Y(出力:ソレノイドやモーター、ランプを動かす)
「Y」は、PLCから外部機器を動作させるための出力信号を意味します。
リレーやモーター、ランプなどの実際に動作する機器に信号を送る役割があります。
✅ 特徴
- PLCの出力端子に接続される
- リレー、モーター、ランプ、電磁弁などの制御に使う
- 入力(X)と組み合わせて制御する
✅ 例:スイッチ(X2)を押したらランプ(Y2)が点灯

スイッチX2を押すと、ランプ(Y2)が点灯!
M(内部リレー:プログラム内の仮想スイッチ)
「M」は、内部リレー(メモリ)を意味します。
XやYと違い、PLCの内部だけで使われる仮想的なスイッチで、外部機器とは直接つながりません。
✅ 特徴
- PLC内の仮想スイッチとして使う(外部接続なし)
- 一時的な記憶や動作条件の組み合わせに便利
- 複雑な制御をスッキリまとめることができる
✅ 例:スイッチ(X1)を押したらM1をON、M1がONならY1をON

スイッチX1を押すと、内部リレーM1がONになり、モーター(Y1)が動く!
(このようにMを使うと、より複雑な制御ができる)
X・Y・Mの違いを簡単に!
記号 | 役割 | 例 |
---|---|---|
X(入力) | スイッチやセンサーの信号を受ける | X0(押しボタンスイッチ) |
Y(出力) | ランプやモーターを動作させる | Y0(モーター駆動) |
M(内部リレー) | PLC内での仮想スイッチ | M0(条件が揃ったときにON) |

これらを使いこなせるようになると、より効率的なラダー図を理解できるようになります!
A接点、B接点
▶ 電気の流れを制御するスイッチの役割
記号 | 名称 | 説明 |
---|---|---|
![]() | A接点 | 通常はOFF(開いている)が、信号が入るとON(閉じる) |
![]() | B接点 | 通常はON(閉じている)が、信号が入るとOFF(開く) |
✅ 事例:スイッチを押したらモーターが回る

🔍スイッチを押すと回路が閉じて、モーターがON!
✅ 事例:安全スイッチ(B接点)を使った制御

🔍通常時はモーターが回るが、非常停止を押すとOFF!
コイル(ソレノイド・ランプ・モーター)
▶ モーターやソレノイドを駆動する出力装置
記号 | 名称 | 説明 |
---|---|---|
![]() | コイル(出力) | コイル(ソレノイドやモーターの制御) |
✅ 事例:スイッチを押すとソレノイドがONになる

🔍ソレノイドがONになることで、シリンダーを動作させることができます。
タイマー(ONディレイ/OFFディレイ)
▶ 一定時間後に動作を開始・停止する機能
記号 | 名称 | 説明 |
---|---|---|
![]() | タイマー | 一定時間後にONになる K10=1秒 |
✅ 事例:スイッチを押して3秒後にランプをON

🔍スイッチを押してから3秒後にランプが光る!
カウンター(回数カウント制御)
▶ 動作の回数を数えて一定回数で動作を制御
記号 | 名称 | 説明 |
---|---|---|
![]() | カウント | カウントが指定回数に達するとON K1=1回 |
✅ 事例:100回加工したら自動停止

- スイッチを押してモーターON
- 自己保持回路により、モーターONを保持
- センサーにてカウント(100回検知後、カウント信号ON)
- C1のB接点が開いてモーターが停止
🔍100回信号を受けると自動で停止!
まとめ
ラダー回路図の基本構成を理解することで、機械の制御がよりスムーズに設計できるようになります。
✅ 電源ラインは左から右へ流れる
✅ リレー接点(A接点/B接点)で電気の流れを制御
✅ コイルを使ってモーターやソレノイドを動作させる
✅ タイマーで一定時間後の動作を設定
✅ カウンターで回数を管理し、自動停止が可能
ラダー回路の基礎をしっかり理解して、機械設計に活かしましょう!
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