【PLC】ラダー図における自己保持回路とは?【安全性】

動力選定

ラダー図を学ぶと、「自己保持回路」という言葉をよく耳にします。
これは、スイッチを押し続けなくても機械を動作させ続けるための回路です。

「スイッチを離してもモーターを回し続ける」ような仕組みを作るために使われます。
初心者でもわかるように、仕組みや実際のラダー図の例を交えて解説します!


自己保持回路とは?

自己保持回路(じこほじかいろ)とは、一度ONになったら、スイッチを離してもその状態を維持する回路のことです。
例えば、工場の機械やコンベアの動作では、スイッチを押し続けなくても動き続けるようにする必要がありますよね?

これを実現するのが「自己保持回路」です!

🔍 自己保持回路を使うとできること

✅スイッチを一瞬押しただけで、機械が動作し続ける
✅停止ボタンを押すまで動作を維持する
✅手がふさがっていても機械を動かせる


自己保持回路のラダー図

🔹基本的な自己保持回路の例(スイッチを押したらモーターが回り続ける)

各記号の意味

  • X1(スタートスイッチ) → スイッチを押すと自己保持が開始
  • M1(内部リレー) → 自己保持のための仮想スイッチ
  • Y1(モーターなどの出力) → 動作する機械
  • X2(非常停止ボタン) → OFFにすると自己保持解除

動作の流れ

  1. X1(スタートスイッチ)を押す → M0がONになる
  2. M1がONになると、Y1(モーターなど)がONになる
  3. M1がONの間は、スイッチX0を離してもY1が動き続ける(自己保持)
  4. X2(非常停止ボタン)を押すと、M1がOFFになり、Y1も停止する

自己保持回路の仕組みをわかりやすく解説!

例1:工場のコンベア

工場でベルトコンベアを動かす場合、ボタンを押し続けるのは大変です。
自己保持回路を使えばスイッチを一度押すだけでコンベアが動き続ける!

例2:ファンやポンプの運転

工場のファンやポンプを動作させるときも、ずっとスイッチを押しているのは非効率です。
自己保持回路を使えば停止ボタンを押すまで自動で運転できる!

例3:自動ドアの制御

センサーが反応してドアが開いたあと、すぐに閉まるのではなく一定時間開いたままにする場合にも使われます。


自己保持回路を使用する際の注意点とは?

自己保持回路は、スイッチを一度押すだけで機械を動作させ続けられる便利な回路です。
しかし、適切に設計しないと安全性の問題や誤作動を引き起こす可能性があります。

本項では、自己保持回路を使用する際の注意点と対策について、初心者でもわかるように解説します!


自己保持回路の基本的な仕組み

まず、自己保持回路は以下のような仕組みで動作します。

自己保持の基本動作

  1. スタートスイッチ(X1)を押すと自己保持がONになる
  2. スイッチを離しても、回路がONのまま維持される
  3. ストップスイッチ(X2)を押すと自己保持が解除され、回路がOFFになる

この仕組みは非常に便利ですが、設計を誤るとトラブルの原因になります。
次の章で、具体的な注意点を解説していきます!


自己保持回路を使用する際の注意点

非常停止の設置が必須!

🚫 注意点:自己保持回路だけでは安全が確保できない

自己保持回路は一度ONになると、スイッチを離しても動作を維持します
つまり、緊急時にすぐ停止できないと危険です。

対策

  • 必ず非常停止ボタンを設置する
  • 非常停止が押されたら自己保持を解除する設計にする

🔹改善例(非常停止ボタンを追加)

☑ 非常停止が押されると、M0がOFFになり回路が停止!


機械の誤操作を防ぐためにインターロックを設ける

🚫 注意点:複数の動作が同時に動くと危険!

例えば、

  • コンベアが動いている間はドアを開けさせない
  • ロボットが動作中は人が近づけないようにする

このような制御が必要です。

対策

  • インターロック(相互の動作を制限する回路)を導入する
  • 状態を監視して、動作条件を満たさないときは自己保持を解除する

🔹改善例(インターロック回路を追加)

ドアが開いているときはM0をOFFにすることで、安全を確保!

誤作動を防ぐためにチャタリング対策を行う

🚫 注意点:スイッチの誤動作(チャタリング)で自己保持が不安定になる

スイッチの接点が摩耗していたり、振動の影響を受けると、ON/OFFが短時間で繰り返される「チャタリング」が発生します。
この現象が発生すると、自己保持回路が誤動作を起こし、勝手にOFFになったりONになったりすることがあります。

対策

  • ソフトウェア(PLC)でチャタリング防止処理を入れる
  • タイマーを使ってスイッチのON時間を安定化する

自己保持回路の使用時は安全対策が必須!

自己保持回路は便利ですが、設計を誤ると重大な事故やトラブルの原因になります。
以下の4つのポイントを意識して設計しましょう!

非常停止を必ず設置する
インターロックを設けて誤動作を防ぐ
スイッチのチャタリング対策を行う

はじめ
はじめ

「安全で信頼性の高い自己保持回路」を設計して、機械の制御を最適化しましょう!


まとめ

自己保持回路は、一度スイッチを押すだけで電流を流し続け、別のスイッチが押されるまで動作を維持する回路です。機械のON/OFF制御や自動化に広く使われています。

スイッチを押し続けなくても機械を動作させられる
停止スイッチを押すまで動作を維持できる
モーター・コンベア・ポンプ・ファンなど、さまざまな機械に応用可能

自己保持回路を理解すると、ラダー回路の設計がグッと楽になります!


はじめ
はじめ

モーターやアクチュエーターなど、機械の駆動源に関する基礎知識と選定基準をまとめています。

コメント