リミットスイッチの特性と選定ポイント【繰り返し精度】

機械要素

機械が正確に動作するためには、「今どこにいるのか」「どの状態か」を把握することがとても大切です。そうした動作のタイミングや位置を検出するセンサーのひとつがリミットスイッチです。

リミットスイッチは、物体が物理的に接触することでON/OFFの信号を出力するセンサーで、構造がシンプルで信頼性が高く、昔から産業機械で幅広く使われています。特に、ワークの位置検出やストロークの終点検知、装置の安全確認などに欠かせない存在です。

この記事では、そんなリミットスイッチの基本的な特性や、機械設計における選定時のポイントについて、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。

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リミットスイッチとは?

リミットスイッチ(Limit Switch)とは、物理的な接触によって作動する位置検出用のセンサーです。ワークや可動体がスイッチに触れることで、スイッチがON/OFF信号を出力し、その位置を機械に伝えます。

押しボタン式やローラー式、レバー式などがあり、構造がシンプルで信頼性が高く、産業用設備に広く使用されています。


リミットスイッチの主な特性

機械的接触による検出

  • 検出対象物がスイッチに直接接触することで信号が出力されます。
  • 非接触センサーとは異なり、確実な位置検出が可能です。

優れた耐環境性

  • 防塵・防水仕様の製品が多く、粉塵・油・水などの厳しい環境でも使用可能
  • 屋外機器や加工現場にも適しています。

シンプルな構造

  • 電気的な仕組みが単純で、配線や調整が容易
  • 電気ノイズの影響を受けにくく、制御盤との接続も簡単です。

長寿命(ただし制限あり)

  • 動作回数に応じて機械的摩耗が発生します。
  • しかし、高品質な製品であれば数百万回の繰り返し動作に耐えることができます。

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主な用途

  • 可動部のエンド検出(ストッパー位置)
  • ワークの有無検出
  • ドアやフタの開閉検出
  • クランプ装置の状態監視
  • 搬送装置の位置制御 など

リミットスイッチの選定ポイント

リミットスイッチを選定する際は、次のポイントに注目しましょう。

接点構成

  • 1a/1b接点
    • 単一のON/OFF出力
  • 2a2b接点
    • 複数の信号出力が必要な場合に使用
    • 用途に応じて必要な接点数・動作を確認。

動作方式

ローラレバー式

可動部の滑らかな動作に適する

プランジャ式

垂直方向からの直線的な押し込みに強い

ヒンジレバー式

横からの押し込みにも対応できる柔軟さ
動きの方向・速度・押し込む力を考慮して選定。

動作精度・リピート性

高精度な位置検出が必要な場合は、動作位置の繰返し精度も確認しましょう。

環境対応性

  • 防塵・防水性能(IP規格)
  • 耐油・耐薬品性
  • 使用温度範囲

使用環境に合ったモデルを選定することが重要です。

電気的定格

使用する回路電圧・電流に適合するかどうかを確認。過負荷を避けるため、定格電流より余裕をもって使用するのが安全です。


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注意点と設計上のポイント

可動体の衝撃が強すぎると故障の原因になります。
✅ スプリングやストッパーを併用して保護しましょう。
✅ 動作中に物体がスイッチを擦る設計にすると摩耗が早まります。
✅ できるだけ一方向の押し込み動作にしましょう。
✅ 押し込み「しろ」が十分確保されていないと、確実に接点が切り替わらないことがあります


リミットスイッチの繰り返し精度とは?

機械の位置決めや動作確認に使われる「リミットスイッチ」。
一見シンプルなこのセンサーにも、「繰り返し精度」という重要な性能があります。

本項では、初心者の方でも理解できるように、「繰り返し精度」とは何か、なぜ大切なのかをわかりやすく解説します!


そもそも「繰り返し精度」とは?

繰り返し精度とは、「同じ動作を何回繰り返しても、毎回ほぼ同じ位置でスイッチが反応する能力」のことです。

💡 たとえば・・・

  • シリンダーが動いて同じ位置でスイッチに当たる
  • コンベアでワークがスイッチにぶつかる

…このような動作で、スイッチの反応位置が毎回バラバラだったら、機械の精度が落ちてしまいますよね。

はじめ
はじめ

繰り返し精度が高い=位置決めやタイミングが安定している!ということなんです。


リミットスイッチの繰り返し精度はどのくらい?

一般的な機械用リミットスイッチでは、繰り返し精度は以下のような数値で表されます。

📏 繰り返し精度:±0.05~±0.1mm 程度(高精度品なら±0.01mm以下も)

ただし、これはスイッチの種類・構造・取り付け方法などによって大きく変わります。


繰り返し精度に影響する要素

以下のような要因によって、リミットスイッチの繰り返し精度は変動します。

要因影響内容
スイッチの構造(ローラ式・プランジャ式など)ローラ式よりもプランジャ式の方が精度は高い傾向
アクチュエータの接触角度斜めに当たると反応位置にバラつきが出やすくなる
スイッチの取り付け剛性土台がたわむと反応位置がずれてしまう
ワークの速度・力接触時の衝撃が大きいとブレが生じやすい
使用環境(油・ホコリ・温度など)内部の摩耗や劣化により、反応位置が変わってくることもある

高い繰り返し精度が必要な場面とは?

  • 精密な位置決めが必要な場合(例えば加工機やロボットの原点検出)
  • タイミングが重要な工程(包装機のカットタイミングなど)
  • 自動化設備の安定稼働を求められる場合

こういった場面では、リミットスイッチの繰り返し精度の良し悪しが、設備全体の品質に直結します。


初心者が注意すべきポイント

  1. カタログで「繰り返し精度」の数値を確認しよう
     …できれば±0.05mm以下の製品を選ぶと安心です。
  2. 取り付け時の位置出しと剛性確保が大事
     …土台が動かないようにしっかり固定しましょう。
  3. できるだけ直線的に接触させる工夫をする
     …アクチュエータが斜めに当たらないように調整するのがコツ。

🔹 リミットスイッチの繰り返し精度とは、「毎回同じ場所で確実に反応できる力」。
🔹 精度の良し悪しで、機械の安定性や仕上がりに大きな差が出る!
🔹 製品の選定だけでなく、取り付け方や使い方も精度に大きく関わる。

はじめ
はじめ

位置検出は“なんとなく動けばOK”ではなく、確実で再現性があることが大切です。
リミットスイッチの繰り返し精度を意識した設計・運用で、より信頼性の高い機械設計を目指しましょう!

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リミットスイッチと近接センサーの使い分けとは?

機械設計において、「モノの位置を知りたい」「動作のタイミングを検知したい」といった場面で欠かせないのがセンサーの選定です。

中でもよく使われるのが「リミットスイッチ」と「近接センサー」です。

どちらも位置検出に使われますが、構造や検出方法が異なるため、使い分けが重要です。


リミットスイッチの特徴

物理的に接触して検出するタイプのセンサー。
✔ アームやローラーがワークに押されて、内部の接点が切り替わる。
構造がシンプルで誤動作しにくい
✔ ON/OFFの動作が明確で、確実な検出が必要な場面に強い。

🔍 向いている場面

  • 確実に「当たったこと」を検出したい
  • 大きめのワークの停止位置検出
  • ホコリや油があっても動作させたい場所
  • 機械のストローク端や安全確認用途など

近接センサーの特徴

非接触で検出ができるセンサー。
✔ 金属や樹脂など、対象物に近づくだけで検出する。
✔ 接触がないので摩耗しない
✔ コンパクトで応答も速く、メンテナンスが少ないのがメリット。

🔍 向いている場面

  • ワークに傷をつけたくない場合
  • 接触による摩耗を避けたい高頻度の動作部
  • 小型・軽量のワークの検出
  • 高速ラインや、精密位置決めなど

使い分けのポイント

比較項目リミットスイッチ近接センサー
検出方式接触式非接触式
耐環境性ホコリや油に比較的強い水・油・粉塵に弱いタイプもある
摩耗・寿命接点の摩耗がある(可動部あり)非接触なので長寿命
検出精度ON/OFFの明確な切り替えが可能距離によって反応が微妙な場合もある
ワークの影響接触により傷がつく可能性がある傷をつけずに検出可能
設置スペース比較的大きめコンパクトな設計が可能

リミットスイッチと近接センサーは、どちらも位置検出に使える便利なセンサーですが、

「確実な接触検出」ならリミットスイッチ
「非接触・メンテナンス性重視」なら近接センサー

というように使い分けることで、機械の信頼性や寿命、安全性が大きく向上します。

はじめ
はじめ

設計段階で「どのセンサーが本当に適しているか?」を検討することが、トラブルの少ない設備づくりの第一歩です。

まとめ

リミットスイッチは、構造がシンプルで信頼性が高く、機械の動作位置や状態の検出に非常に適したセンサーです。接触式ならではの確実な検出が可能であり、産業機械の設計において今もなお多く使われています。

選定時には、使用環境や取り付け位置、動作精度、電気的定格など多くの要素を考慮する必要がありますが、正しく選定・設計することで、設備の安定稼働を支えるセンサになります。



はじめ
はじめ

ボルトやナット、軸受け、ギアといった基本的な要素部品の機能と選び方を詳しく紹介します

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