「動いているから、まだ大丈夫」
そんな油断が、ある日突然のトラブルにつながることも…。
機械には、人間と同じように“健康管理”が必要です。
それが メンテナンス(点検・整備)です。
この記事では、なぜ機械は定期的なメンテナンスが必要なのか? という基本的な疑問に対して、初心者でもわかりやすく解説します。
メンテナンスが必要な理由とは?

① 故障を未然に防ぐため
機械は使い続けることで、部品が摩耗したり、潤滑油が劣化したりと、見えない劣化が進行しています。
この劣化を放置すると…
- ベアリングが焼きついてモーター停止
- オイル切れでギアが破損
- センサーの誤作動で装置が誤動作
などの 「突然の停止」や「重大な損傷」 を引き起こす可能性があります。

定期的な点検があれば、異常に早く気づけます。
② 常に安定した性能を保つため
新品のときは絶好調でも、時間が経てば性能は徐々に落ちます。
例えば…
- 潤滑不足で動きが悪くなる
- ダストや粉じんが詰まって動作が重くなる
- 精度がズレて製品の品質に影響が出る

定期的な清掃・調整・補充によって、ベストな状態を維持することができます。
③ トラブルが起きたときの被害を最小限に抑えるため
故障が発生したとき、メンテナンス履歴がないと原因の特定が難しく、復旧に時間とコストがかかることがあります。
一方、メンテナンス記録があれば、
- 交換部品の管理ができている
- 故障の前兆を把握できている
- 予備の対応策を準備しやすい
など、ダメージを最小限に抑えることが可能です。
メンテナンスにはどんな種類があるの?
― 適切な保全で、機械トラブルを防ごう ―
「機械が止まってしまった…」
「突然の故障でラインがストップ…」
こんなトラブルを防ぐには、日ごろのメンテナンス(保全活動)がとても重要です。
でも、「メンテナンスってどんな種類があるの?」と疑問に思う人も多いはず。
本項では、メンテナンスの3つの代表的な種類を、初心者にもわかりやすく解説します。
1. 予防保全(よぼうほぜん)
故障が起きる前に、計画的に点検・交換する方法です。
機械を定期的にチェックして、異常が出る前に部品を交換したり、グリスを補充したりします。
メリット | タイミング |
---|---|
故障を未然に防げる | 使用時間・稼働時間に応じて定期的に |
ライン停止を回避しやすい | 月1回、半年に1回などスケジュール管理可能 |
たとえば「このベアリングは3000時間使ったら交換する」といった基準を決めて、計画的に作業します。
2. 事後保全(じごほぜん)
故障が起きてから修理を行う方法です。
「壊れるまで使う」という方針で、動かなくなったら部品を交換したり、修理に入るやり方です。
メリット | タイミング |
---|---|
使い切れるので無駄がない | 故障発生後に対応 |
消耗が少ない部品には合理的 | 急なトラブルで作業中断が起きやすい |
頻繁に交換する必要がない部品や、壊れてもすぐに直せるものには、この方法が向いています。
3. 状態監視保全(じょうたいかんしほぜん)
センサーや目視で、機械の“ちょっとした異変”を見つけて対応する方法です。
「音が変わってきた」「振動が大きくなった」「温度が高い」など、異常の兆候(予兆)を見逃さず、故障する前に手を打ちます。
メリット | タイミング |
---|---|
故障の兆候に早く気づける | 常時監視、または定期的な点検で判断 |
無駄な部品交換を避けられる | 状態を数値でモニタリング(例:温度、振動など) |
🧠 よく使われる監視手法には、次のようなものがあります。
- 振動センサーで回転軸のガタつきを検出
- 温度センサーでモーターの過熱を監視
- 音の変化を耳で聞き分ける(熟練者の技)
どの保全方法を使うかは、機械の重要度で決まる!
機械のタイプ | 向いている保全方法 |
---|---|
生産ラインの要となる装置 | 予防保全・状態監視保全の併用が最適 |
予備があるサブ装置 | 事後保全でもOKな場合が多い |
高精度を求められる装置 | センサーによる状態監視が有効 |
メンテナンスは「計画性」がカギ!
- 壊れる前に点検する(予防保全)
- 壊れてから対応する(事後保全)
- 兆候を察知して対策する(状態監視保全)
この3つをうまく組み合わせることで、トラブルを減らし、機械を安全に・長く使い続けることができます。
🔧 現場を止めないための第一歩は、メンテナンスの正しい理解から!
メンテナンスには、以下のような種類があります。
種類 | 内容 | タイミング |
---|---|---|
予防保全 | 故障が起きる前に点検・交換 | 使用時間や稼働回数に応じて定期的に実施 |
事後保全 | 故障が起きてから修理 | 不具合が発生してから対応 |
状態監視保全 | 異常の兆候をセンサーや検査で検出 | 振動・温度・音などの変化を常時監視 |

機械の重要度や用途に応じて、どの保全を組み合わせるかを決めましょう。
よくあるメンテナンス項目(例)
機械部位 | 点検・整備内容 |
---|---|
ベアリング | グリスの補給、異音チェック |
モーター | 異常温度、振動の確認 |
チェーン・ベルト | 張力・摩耗・位置の確認 |
空気圧系 | エア漏れ、圧力チェック |
電装品 | コネクターの接触不良、配線の断線確認 |
メンテナンスの「手間」と「コスト」は投資!
「時間がもったいない」「止めたくない」
そう思ってメンテナンスを後回しにすると、いずれ 大きな修理コストやダウンタイムがかかってしまいます。
逆に、こまめな点検をしておくことで、突発的な故障や高額な修理を避けられるのです。
メンテナンス = 保険+投資
壊れてからでは遅いからこそ、今できるケアが大切です。
まとめ:機械にも“健康管理”を
機械は使えば使うほど消耗します。
だからこそ、定期的なメンテナンスで健康状態をチェックし、長持ちさせることが必要です。
✔️ 故障の予防
✔️ 安定した性能の維持
✔️ 突発トラブルの回避
✔️ コストと時間の節約
これらすべてが、メンテナンスによって得られるメリットです。
「動いているうちにこそ、手をかける。」
それが、信頼される設計者・現場技術者の心得です。
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