機械設計を学び始めると必ず出てくる疑問が、「なぜ mm が基本単位なのか?」「cm ではダメなのか?」 です。
普段の生活では「cm(センチメートル)」をよく使いますが、設計や図面の世界では mm(ミリメートル)が基本単位となっています。
この記事では、初心者でもわかるように mm が選ばれる理由と cm を避ける理由を整理して解説します。
機械設計での長さの単位の基本ルール
- JIS(日本工業規格)や ISO(国際規格)では、図面の寸法は mm 表記を基本としています。
- つまり、世界的に共通のルールとして 図面の数値 = mm という考え方が浸透しています。

はじめ
設計現場では「寸法を見れば mm だと自動的に理解できる」のが大前提です。
mm(ミリメートル)が基本で使われる理由

機械部品の寸法にちょうど良い大きさだから
- 機械設計で扱う部品は 数 mm ~ 数千 mm(数 m) の範囲が多いです。
- 例えば
- ボルト径:M6(約 6 mm)
- シャフト径:φ20 mm
- 機械の外形:1000 mm(= 1 m)
👉 もし「m(メートル)」を基準にすると、
- ボルト径は 0.006 m
- 機械外形は 1 m
となり、小さい部品は「小数点だらけ」になって見にくくなります。
公差(加工精度)の表現に適している
- 機械加工では「±0.01 mm」や「±0.005 mm」といった精度を指定します。
- mm を基本にすると、そのまま小数点で表記できて便利です。
- もし cm を使うと、
- 0.01 mm = 0.001 cm
という「0.001」といった小数点3桁以上の表現になり、読み間違いが発生しやすくなります。
- 0.01 mm = 0.001 cm
国際規格で統一されている
- ISO や JIS で「寸法は mm」と定められているため、図面を共有するときに混乱がない。
- 世界中の設計者・加工業者が「数字 = mm」と共通認識できるのが大きなメリットです。
cm(センチメートル)を使わない理由
中途半端な単位だから
- cm は、m と mm の間の単位で、実際の設計ではあまり使い所がありません。
- 部品の寸法は mm 単位で十分表せるし、機械全体の大きさなら m で表せばよい。
👉 結果として「cm はどっちつかずの単位」になります。
公差の表現が不便
- 例えば ±0.01 mm の精度を cm で表すと ±0.001 cm になります。
- 小数点が増えて非常に見づらく、間違いの原因に。
👉 加工精度を扱う機械設計では致命的。
国際的な図面ルールに存在しない
- JIS や ISO の図面表記では、cm は使わないことが基本ルール。
- もし cm を使うと、海外の技術者や協力会社に伝わらず、重大なトラブルの原因になります。
実務での例
図面における寸法
- 「50」 → 50 mm
- 「1000」 → 1000 mm(= 1 m)
👉 単位を書かなくても mm だと理解されるのがルール。
公差の指定
- φ20.00 ±0.01 → 直径 20 mm、公差 ±0.01 mm
- φ100.0 ±0.05 → 直径 100 mm、公差 ±0.05 mm
👉 すべて mm 基準で表記される。
まとめ
機械設計では mm(ミリメートル)が基本単位。
理由は、
部品寸法のスケールにちょうど良い
公差表現がわかりやすい
国際規格(JIS・ISO)で統一されている
cm(センチメートル)は中途半端で、公差表現にも不便、国際ルールにもないため使わない。
設計の現場では、「図面に書かれた寸法はすべて mm」が常識です。
初心者の方も、このルールを早めに覚えておくことで、図面を読む力がぐんと向上します。
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