図面の二点鎖線は“想像線”|用途を理解してミスを防ぐ機械製図の基礎

図面・CAD

機械図面には用途に応じてさまざまな線種が使われます。

その中でも誤解されやすいのが 「二点鎖線」 です。

多くの初心者が
「中心線=二点鎖線?」
と混同してしまいますが、これは誤り。

中心線・対称線 ⇒ 一点鎖線
二点鎖線 ⇒ 想像線(仮想形状)

この記事では、機械設計初心者でも理解しやすいように
図面における二点鎖線の正しい用途
をわかりやすく解説します。


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二点鎖線とは?用途は「想像線(仮想線)」

二点鎖線は、
破線の間に“点が2つ”入った線 のことです。

二点鎖線は以下のような、
実際には存在しないが、設計・組立で重要な線
を表すために使用します。


二点鎖線の主な用途

① 実体がないが位置を示したい「想像線」を表す

装置や部品の“仮の位置”“可動範囲”など、
実体が無い線を表すときに使用します。

🔍 例)

  • 可動アームの動作範囲
  • スライドの最大位置
  • 回転部の想定位置
  • 将来追加される部品の想定ライン

実際の形状ではないため、実線や中心線では表現できず、
視覚的に「仮の線」である」 と伝えるために二点鎖線を使います。


② 切断位置・分割位置などの仮想的な境界を示す

実際に線が存在しない境界を示す場合にも使われます。

🔍 例)

  • 取り付け位置の仮境界
  • 設備据付時の基準ライン
  • ボリューム(空間)の“外形”

「ここに物理的な線は無いけど、考え方としてここに境界がある」
という情報を与えるための線です。


③ 組立時に必要な“見えない基準”を表示する

組立作業において重要な
見えない基準位置 を示すためにも使われます。

🔍 例)

  • モータの中心線(将来位置の想像線)
  • ケーブルやホースの取り回しライン
  • 流体の中心ライン(概略)

中心線(一点鎖線)では実体の中心を表しますが、
二点鎖線は 「実際に存在しない」「仮の位置」 を示します。


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一点鎖線と二点鎖線の違いを解説|機械図面で混乱しないための基礎知識

機械図面では、線の種類によって意味がまったく変わります。
特に初心者がつまずきやすいのが、一点鎖線二点鎖線の使い分けです。

どちらも「点線だから似ている」と思われがちですが、
実際には 用途も意味も全く別物 です。

本項では、図面初心者でも理解できるように
一点鎖線と二点鎖線の違いを“感覚で理解できるレベル” でわかりやすく解説します。


一点鎖線とは? → “中心”を示す線

【一点鎖線の意味】

実体として存在する形状の中心や対称を示す線。

🔍 例)

  • 円・穴の中心線
  • シャフトの中心線
  • 左右対称の中心
  • 物体の中心軸

つまり、実物の中心位置を正しく伝えるための線です。


【一点鎖線を使う場所】

  • 穴の中心
  • 回転体の軸
  • 部品の対称線
  • 組立で基準になる中心

製造・測定・組立で必ず必要となる基準線です。


二点鎖線とは? → “実体のない仮想の線”

【二点鎖線の意味】

実物として存在しない“想像上の線”を示す線。

🔍 例)

  • 可動範囲の外形
  • 未来位置(可動後の想定姿勢)
  • 実際には線がない境界や空間
  • 装置の仮想外形(スペースの確保)

つまり、
「見えないけど、ここに考え方として線がある」ことを示す線


【二点鎖線を使う場所】

  • アームの最大リーチ
  • 可動治具の動作範囲
  • 据付スペースの確保ライン
  • 物体の未来位置を示すライン

→ 理解・検討のために必要な“仮の線”です。


初心者が混乱する理由は「どちらも点線だから」

一点鎖線と二点鎖線はどちらも破線なので、
慣れていないとつい同じように見えてしまいます。

ですが、この2つは 設計意図がまったく違う ため、
誤用すると重大なミスにつながります。


【比較表】

内容一点鎖線二点鎖線
意味実体の中心・対称を示す実体がない仮想線を示す
役割“基準”“想像”
存在実物として存在する実物として存在しない
用途穴・軸の中心、対称線可動範囲、未来位置、空間の形状
円の中心線ロボットアームの最大可動位置

【例で理解しよう】

● 穴 × 取付用ピッチ

穴の中心 → 一点鎖線

● アームが動いたときの先端位置

動作後の位置 → 二点鎖線

● 部品の左右対称の中央

対称線 → 一点鎖線

● 据付スペースに必要なクリアランスライン

空間の外形 → 二点鎖線


まず覚えるべきは「実体があるか・ないか」

最後に、最もシンプルな覚え方をまとめます。

一点鎖線

  • 実体がある
  • 製造に必要
  • 中心・対称・軸を示す

二点鎖線

  • 実体がない
  • 設計や説明のために書く
  • 想像上の位置・可動範囲・仮の外形

「中心=一点鎖線」
「仮想=二点鎖線」

これだけ覚えておけば、図面の線種で迷うことはほぼ無くなります。

❌ よくある間違い

  • 中心線を二点鎖線で描く
  • 対称線なのに二点鎖線
  • 可動部の動作範囲を実線で描いてしまう

線種の誤使用は、
→ 組立ミス
→ 製造ミス
につながるため、非常に危険です。


【まとめ】二点鎖線は“実体のない仮想ライン”を示すための線

最後に、用途を簡潔にまとめます。

二点鎖線の正しい用途

▶ 実体が存在しない想像線を表す
▶ 可動範囲・未来位置・仮の境界などの表示
▶ 組立や理解に必要な「見えない基準」を示す

混同しないように注意

▶ 中心線は 一点鎖線
▶ 二点鎖線は 実体のない仮想形状

二点鎖線の役割を理解することで、
図面の可読性が向上し、製造・組立ミスを大幅に防ぐ ことができます。


図面とCADはアイデアを具体的な形にし、
設計意図を正確に伝えるための重要な手段です。

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