機械図面には用途に応じてさまざまな線種が使われます。
その中でも誤解されやすいのが 「二点鎖線」 です。
多くの初心者が
「中心線=二点鎖線?」
と混同してしまいますが、これは誤り。
▶ 中心線・対称線 ⇒ 一点鎖線
▶ 二点鎖線 ⇒ 想像線(仮想形状)
この記事では、機械設計初心者でも理解しやすいように
図面における二点鎖線の正しい用途
をわかりやすく解説します。
二点鎖線とは?用途は「想像線(仮想線)」
二点鎖線は、
破線の間に“点が2つ”入った線 のことです。
二点鎖線は以下のような、
実際には存在しないが、設計・組立で重要な線
を表すために使用します。
二点鎖線の主な用途
① 実体がないが位置を示したい「想像線」を表す
装置や部品の“仮の位置”“可動範囲”など、
実体が無い線を表すときに使用します。
🔍 例)
実際の形状ではないため、実線や中心線では表現できず、
視覚的に「仮の線」である」 と伝えるために二点鎖線を使います。
② 切断位置・分割位置などの仮想的な境界を示す
実際に線が存在しない境界を示す場合にも使われます。
🔍 例)
「ここに物理的な線は無いけど、考え方としてここに境界がある」
という情報を与えるための線です。
③ 組立時に必要な“見えない基準”を表示する
組立作業において重要な
見えない基準位置 を示すためにも使われます。
🔍 例)
中心線(一点鎖線)では実体の中心を表しますが、
二点鎖線は 「実際に存在しない」「仮の位置」 を示します。
一点鎖線と二点鎖線の違いを解説|機械図面で混乱しないための基礎知識
機械図面では、線の種類によって意味がまったく変わります。
特に初心者がつまずきやすいのが、一点鎖線と二点鎖線の使い分けです。
どちらも「点線だから似ている」と思われがちですが、
実際には 用途も意味も全く別物 です。
本項では、図面初心者でも理解できるように
一点鎖線と二点鎖線の違いを“感覚で理解できるレベル” でわかりやすく解説します。
一点鎖線とは? → “中心”を示す線
【一点鎖線の意味】
実体として存在する形状の中心や対称を示す線。
🔍 例)
つまり、実物の中心位置を正しく伝えるための線です。
【一点鎖線を使う場所】
→ 製造・測定・組立で必ず必要となる基準線です。
二点鎖線とは? → “実体のない仮想の線”
【二点鎖線の意味】
実物として存在しない“想像上の線”を示す線。
🔍 例)
つまり、
「見えないけど、ここに考え方として線がある」ことを示す線。
【二点鎖線を使う場所】
→ 理解・検討のために必要な“仮の線”です。
初心者が混乱する理由は「どちらも点線だから」
一点鎖線と二点鎖線はどちらも破線なので、
慣れていないとつい同じように見えてしまいます。
ですが、この2つは 設計意図がまったく違う ため、
誤用すると重大なミスにつながります。
【比較表】
| 内容 | 一点鎖線 | 二点鎖線 |
|---|---|---|
| 意味 | 実体の中心・対称を示す | 実体がない仮想線を示す |
| 役割 | “基準” | “想像” |
| 存在 | 実物として存在する | 実物として存在しない |
| 用途 | 穴・軸の中心、対称線 | 可動範囲、未来位置、空間の形状 |
| 例 | 円の中心線 | ロボットアームの最大可動位置 |
【例で理解しよう】
● 穴 × 取付用ピッチ
→ 穴の中心 → 一点鎖線
● アームが動いたときの先端位置
→ 動作後の位置 → 二点鎖線
● 部品の左右対称の中央
→ 対称線 → 一点鎖線
● 据付スペースに必要なクリアランスライン
→ 空間の外形 → 二点鎖線
まず覚えるべきは「実体があるか・ないか」
最後に、最もシンプルな覚え方をまとめます。
一点鎖線
- 実体がある
- 製造に必要
- 中心・対称・軸を示す
二点鎖線
- 実体がない
- 設計や説明のために書く
- 想像上の位置・可動範囲・仮の外形
「中心=一点鎖線」
「仮想=二点鎖線」
これだけ覚えておけば、図面の線種で迷うことはほぼ無くなります。
❌ よくある間違い
線種の誤使用は、
→ 組立ミス
→ 製造ミス
につながるため、非常に危険です。
【まとめ】二点鎖線は“実体のない仮想ライン”を示すための線
最後に、用途を簡潔にまとめます。
▼ 二点鎖線の正しい用途
▶ 実体が存在しない想像線を表す
▶ 可動範囲・未来位置・仮の境界などの表示
▶ 組立や理解に必要な「見えない基準」を示す
▼ 混同しないように注意
▶ 中心線は 一点鎖線
▶ 二点鎖線は 実体のない仮想形状
二点鎖線の役割を理解することで、
図面の可読性が向上し、製造・組立ミスを大幅に防ぐ ことができます。


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