センサーを設計や選定する際、
「NPN出力」と「PNP出力」という
用語を目にすることがあります。
これらはセンサーの出力信号を示すものであり、
機械装置や制御回路との接続において重要なポイントです。
本記事では、NPNとPNPについて詳しく解説し、
日本でNPNが主流とされる理由についても触れます。
NPN出力とは?
NPN出力は、センサーの出力端子が電源の負極(0V)と接続される方式です。
センサーが検出動作を行うと、
回路が閉じて「0V」が外部機器に出力されます。
この仕組みは「シンク出力(電流を吸い込む)」とも呼ばれます。
NPNの特徴
NPNの使用例
- 自動車部品の検査装置
- 製造ラインのコンベア制御
PNP出力とは?
PNP出力は、センサーの出力端子が電源の正極(+電源)と接続される方式です。
センサーが検出動作を行うと、
回路が閉じて「+電源」が外部機器に出力されます。
この仕組みは「ソース出力(電流を供給する)」とも呼ばれます。
PNPの特徴
PNPの使用例
- ヨーロッパ製機械装置
- 特定のロボットアーム制御
NPNとPNPの違い

以下はNPN出力とPNP出力の接続回路の表です。
| 項目 | NPN出力 | PNP出力 |
|---|---|---|
| 動作方式 | 電流を吸い込む(シンク) | 電流を供給する(ソース) |
| 検出時の出力 | 0V(負極) | +電源(正極) |
| 外部回路 | プルアップ抵抗が必要 | プルダウン抵抗が必要 |
| 主流地域 | 日本、アメリカ | 欧州、アジアの一部 |
日本でNPNが主流である理由
産業の歴史的背景
日本国内では、NPN出力を基準とする制御機器やセンサーが
早くから普及しており、その影響で多くの設備が
NPN出力に対応する設計となっています。
互換性の確保
既存設備との互換性を維持するため、
新しい機械や制御装置でもNPN出力が採用されることが一般的です。
扱いやすさ
日本の製造現場では、NPN出力を標準化することで、
設計や保守がシンプルになり、エンジニア間での共通理解も得やすいです。
NPN出力とPNP出力のセンサーを間違えて取り付けた場合の影響
NPN出力とPNP出力のセンサーは、それぞれの回路構造や接続方式が異なるため、
取り付けを間違えると期待通りに動作しないばかりか、
システム全体にトラブルを引き起こす可能性があります。
本記事では、センサーを間違えて取り付けた際に
起こり得る問題や、その防止策について解説します。
NPN出力とPNP出力の違いのおさらい
この違いから、NPN出力とPNP出力を入れ替えて接続すると、
回路が期待する動作が得られない場合があります。
NPN入力回路にPNP出力センサーを接続した場合の問題
動作しない
NPN入力回路は信号端子を0V(GND)に接続することを前提にしていますが、
PNP出力センサーは+電源を出力するため、信号が正しく認識されない。
故障の可能性
一般的なセンサや入力機器には、
誤配線時の保護機能が付いているため、
故障の可能性は低いです。
配線を誤ると、回路がショートする可能性があり、
センサーや入力機器の故障を招く恐れがある。
具体例
配線ミスにより、センサーや制御機器が異常に発熱して動作不能になる。
PLCが過電流エラーを検出し、システム全体が停止する。
信号が意図しないタイミングで「ON」「OFF」を繰り返し、
機械が不安定に動作する。
配線ミスによる共通のリスク
- 制御回路の破損
- センサーと入力機器の設計が異なるため、
過電流や短絡が発生する可能性がある。
- センサーと入力機器の設計が異なるため、
- トラブルシューティングの時間ロス
- センサーや入力機器の問題ではなく、
配線の間違いが原因である場合、原因特定に時間がかかる。
- センサーや入力機器の問題ではなく、
- 生産ラインの停止
- センサーが正しく動作しないと、
全体のシステムが停止し、生産効率が大幅に低下する。
- センサーが正しく動作しないと、
正しい接続を確認する方法
センサー仕様の確認
センサーの取扱説明書を確認し、
出力方式(NPNまたはPNP)を必ず確認する。
入力機器(PLCやリレー)の仕様書も確認し、
対応する出力方式を把握する。
回路設計の段階で明記
設計図面にセンサーの出力方式を明記しておく。
使用するセンサーの型番を図面やリストに記載する。
現場での確認手順を徹底
配線作業前に、現場作業者がセンサーの仕様を再確認する。
試運転時には、出力信号が正しく動作しているか確認する。
間違いを防ぐための工夫
- 標準化
- 同一設備内でNPNまたはPNPに統一することで、
取り付けミスのリスクを低減する。
- 同一設備内でNPNまたはPNPに統一することで、
- 色分け配線
- NPNとPNPで使用する配線の色を統一しておくことで、
視覚的に識別可能にする。
- NPNとPNPで使用する配線の色を統一しておくことで、
- 識別ラベルの貼付
- センサー本体や配線に「NPN」または「PNP」と
ラベルを貼付し、現場で一目で分かるようにする。
- センサー本体や配線に「NPN」または「PNP」と
NPN出力とPNP出力のセンサーを間違えて取り付けると、
正しい動作が得られないばかりか、
システムの故障や生産ラインの停止を引き起こす可能性があります。
設計段階で仕様を確認し、配線ミスを防ぐ工夫を取り入れることが重要です。
センサー選定や配線時には、
「どちらの出力方式か」を必ず確認し、正確な接続を行いましょう。
NPNとPNPの選定ポイント
まとめ
NPNとPNPはセンサーの基本的な出力方式であり、
制御装置や設備の仕様に応じた選定が重要です。
日本ではNPN出力が主流ですが、
設備や使用地域によってはPNPが適する場合もあります。
選定時には接続機器の仕様を確認し、
互換性や動作条件を満たす出力方式を選びましょう。





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