配管ねじは、配管接続において重要な役割を果たします。適切なねじ規格を選択することで、漏れ防止や高い接続強度を実現できます。本記事では、代表的な配管ねじ規格である「R、Rc、Rp」「G」「NPT、NPTF」「PJ」について、特徴と用途、互換性を解説します。
管用ねじの比較表
ねじの種類 | 形状 | 規格/図面指示 | |
---|---|---|---|
現行JIS | 旧JIS | ||
管用テーパねじ | テーパおねじ | R | PT |
テーパめねじ | Rc | PT | |
平行めねじ | Rp | PS | |
管用平行ねじ | 平行おねじ | G(AまたはB) | PF |
平行めねじ | G | PF | |
米国管用テーパねじ | テーパおねじ/めねじ | NPT : ASME B1.20.1 | |
ドライシール米国管用テーパねじ | テーパおねじ/めねじ | NPTF: ANSI B2.2 | |
給水栓用ねじ | 平行おねじ | PJ :JIS B 2061 給水栓 |
管用ねじの組み合わせ(互換性)
めねじ\おねじ | R | G(A,B) | NPT | NPTF | PJ |
Rc | 〇 | × | × | × | 〇 |
Rp | 〇 | × | × | × | 〇 |
G | △(接続可) | 〇 | × | × | 〇 |
NPT | × | × | 〇 | × | × |
NPTF | × | × | × | 〇 | × |
R(PT):管用テーパおねじ
特徴
- JIS B 0203で規定されているねじ規格。
- テーパー(テーパ角1/16)を持つおねじ。
- 継手部分に密閉性を持たせるため、シール材(シールテープやシール剤)を使用します。
- 高圧用途や流体を扱う配管に適しています。
用途
- 空圧機器や油圧機器、ガス配管など。
- 配管接続部での漏れを防ぐための一般的な選択肢。
注意点
- 内ねじ(RcねじやRpねじ)との適合性を確認する必要があります。
- シール材の適切な使用が漏れ防止に重要です。
Rc(PT):管用テーパめねじ
特徴
- Rねじ(おねじ)と組み合わせて使用されるめねじ。
- 内側にもテーパがついており、Rねじとの締結で高い気密性を実現します。
用途
- 同様にエアや水配管の接続部に広く使用。
Rp(PS):管用平行めねじ
特徴
- 平行(ストレート)めねじで、主にシール材を使用して密閉します。
- R(PT)のめねじと互換性がありますが、シール材が必要。
用途
- 液体や気体の配管でシール材を用いる場合に使用されます。
G(PF):管用平行ねじ
特徴
- 平行(ストレート)なねじ山を持つ管用平行ねじ。
- 漏れ防止のために、パッキンやガスケットを使用する必要があります。
- 先端に30°シート形状がついた規格があります。組み合わせに注意しましょう。
- おねじの表記A,Bは等級記号
- A等級:精度が高い
- B等級:A級より精度が劣る
用途
- 液体や気体の配管で使用。主に機械内部の配管や低圧配管に適しています。
NPT:米国管用テーパねじ
特徴
- アメリカ規格のテーパねじで、テーパ角1/16テーパ。
- Rねじとは互換性がありません。
- 締結部にシール材(テープやペースト)を使用することで気密性を確保します。
用途
- 北米市場向けの機械や装置に使用されることが多い。
- 圧力がかかる空気、ガス、液体配管に適しています。
NPTF:ドライシール米国管用テーパねじ
特徴
- NPTねじと形状が似ていますが、特殊なねじ山形状のため、より高いシール性を持つ。
- シール材を使用せずとも、ねじのみで密閉性を確保できる。
用途
- 高圧・高精度な流体制御が求められる場面。
PJ:給水栓用おねじ
特徴
- Rねじに似た形状ですが、PJねじは特にガス配管や精密な用途向けに設計されています。
- 【Rc】【Rp】【G】いずれのメスねじとも結合できます。
- シール材を使用することで、漏れを防ぎます。
用途
- ガス機器や高精度の流体制御機器。
選定時の注意点
- 互換性の確認
- RねじとNPTねじは互換性がありません。
- 誤った規格を選定すると、気密性が確保できず漏れの原因になります。
- 使用するシール材の選定
- 平行ねじ(Rcねじ、Rpねじ)はシール材が必須です。
- 適切なテープを選ぶことで、漏れを防ぎます。
- 用途に応じた選定
- 高い圧力がかかる配管にはテーパねじ(R、Rc、NPT)が適しています。
- 低圧配管や内部配管には平行ねじ(Gねじ)が便利です。
配管ねじの互換性問題を解決!ミスミのねじ変換継手が便利
機械設計の現場では、異なる配管ねじ規格が混在する場合が少なくありません。たとえば、RねじとGねじ、NPTねじなど、配管ねじには多くの規格が存在し、それぞれの用途や特徴が異なります。そのため、互換性のないねじ同士を直接結合することは不可能で、設計や施工の際に課題となることがあります。
そんな悩みを解決するのが ミスミのねじ変換継手 です。この継手を活用することで、異なる規格のねじを簡単に接続でき、効率的で柔軟な設計が可能になります。本項では、ミスミのねじ変換継手の特長や使用方法について詳しく解説します。
配管ねじの互換性問題とは?
配管ねじの規格は、用途や地域によって異なるため、互換性がない組み合わせが多く存在します。以下は代表的な規格とその特長です。
- Rねじ(PTねじ)
- 管用テーパーねじで、主に空圧機器や配管継手に使用。
- 漏れ防止のためにシールテープやシール材が必要。
- Rcねじ(PSねじ)
- 内ねじ用のテーパーねじで、Rねじの外ねじと組み合わせて使用。
- Gねじ(PFねじ)
- 管用平行ねじで、主に低圧用途や装置内部の配管に適用。
- テーパーねじと異なり、パッキン、ガスケットで密封する。
- NPTねじ
- 米国規格のテーパーねじで、産業機械や輸入設備に使用されることが多い。
- NPTFねじ
- NPTねじに類似しているが、シールテープなしでも気密性を確保可能。
互換性がないこれらのねじを直接接続しようとすると、ねじ山が合わない、漏れが発生するなどの問題が生じます。
ミスミのねじ変換継手の特長
ミスミが提供するねじ変換継手は、異なる規格のねじを簡単に接続するための便利なアイテムです。主な特長は以下の通りです。
- 多様な規格に対応
- Rねじ、Gねじ、NPTねじなど、幅広い規格間の接続を実現。
- 簡単な取り付け
- 継手を使用するだけで、工具や特別な加工なしにねじ規格の違いを補完。
- 漏れ防止設計
- シールテープやガスケットを併用することで、高い気密性を確保。
- 豊富なラインナップ
- サイズや用途に応じた多種多様な変換継手が選べる。
使用例:RねじとNPTねじを接続する場合
たとえば、国内機器に多いRねじと、輸入機器に多いNPTねじを接続する場合、ミスミの変換継手を使用すると以下の手順で簡単に接続が可能です。
- 適切な変換継手を選定
- Rねじ(オス)→NPTねじ(メス)の変換継手を選ぶ。
- シール材の準備
- シールテープやシール材を継手のねじ山に巻き付ける。
- 継手を接続
- それぞれの配管ねじを変換継手に締め込む。
- 漏れの確認
- エアテストなどで漏れがないことを確認。
利点と注意点
利点
- 設計の自由度が向上し、異規格機器の導入がスムーズに。
- 専用の加工や特注品の必要がないため、コスト削減が可能。
- 機械メンテナンス時に柔軟に対応できる。
注意点
- シール材を適切に使用しないと、漏れが発生する可能性がある。
- 継手の耐圧性能を確認し、用途に合った製品を選定する必要がある。
- 継手分のスペースを確保する必要があります。
配管ねじの互換性の問題は、機械設計や施工現場での課題の一つです。しかし、ミスミのねじ変換継手を活用すれば、これらの問題を簡単に解決できます。設計の自由度を高めるだけでなく、作業効率も向上するため、現場でのトラブルを未然に防ぐことが可能です。
配管ねじの選定やねじ変換継手の選び方にお困りの方は、ぜひミスミのカタログをチェックしてみてください。互換性問題をスムーズに解消する最適な一品が見つかるはずです!
まとめ
配管ねじの選定は、配管の使用圧力や流体の特性、設置環境によって異なります。適切な規格を選び、正確に使用することで、安全性と効率性を確保しましょう。また、国際規格やシール材の使用方法も事前に確認しておくことが重要です。
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