機械加工や表面処理の現場でよく耳にする「サンドブラスト」。
名前は知っていても「ショットブラストと何が違うの?」「どんな場面で使うの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、サンドブラストの基本原理から特徴、具体的な用途まで、初心者でもわかりやすく解説します。
サンドブラストとは?
サンドブラストとは、圧縮空気の力で砂や研磨材(アルミナ、ガラスビーズなど)を高速で吹き付け、部品の表面を削り取る処理方法です。
「砂を吹き付けてブラスト(打ち付ける)」ことからその名がついています。
主な目的は、
- サビや塗膜の除去
- 表面の粗化(ザラザラ加工)
- 装飾やデザイン加工(マット仕上げなど)
といった表面のクリーニングや仕上げにあります。
サンドブラストの特徴
サンドブラストの特徴
- 細かい研磨材を使うため、金属だけでなくガラスや樹脂にも処理可能
- 均一に表面を削れるので、美しいマット調やつや消し仕上げが可能
- 塗装や接着の前処理として密着性を向上させられる
サンドブラストのメリット
- 錆びた金属や古い塗膜を効率的に除去できる
- デザイン性のある表面仕上げにも使える
- 薬品を使わないため環境に優しい
サンドブラストのデメリット
- 粉じんが多く発生するため、防塵マスクや集じん設備が必要
- 細かい加工が可能な一方で、大型部品には処理時間がかかる
- 表面が荒れるため、鏡面仕上げには不向き
サンドブラストの主な用途をわかりやすく解説
サンドブラストは、圧縮空気を使って砂や研磨材を吹き付け、部品表面を削る加工方法です。
錆落としや下地処理だけでなく、デザイン用途まで幅広く使われています。

ここでは、サンドブラストの代表的な3つの用途をわかりやすく紹介します。
① サビ・塗膜の除去
金属部品や建材は、長期使用や保管中にサビや古い塗装が付着していることがあります。
サンドブラストは、これらの不純物を効率よく落とすのに非常に有効です。
- サビ取り
- 化学薬品を使わず、物理的にサビを削り落とせるため環境にも優しい
- 塗膜剥がし
- 古い塗装を均一に除去でき、再塗装前の下準備として最適
👉 鉄骨や鋳造品、建築用の鉄材などでよく利用されます。
② 下地処理
塗装やメッキ、接着の品質を高めるためには「表面の状態」がとても重要です。
サンドブラストで表面を少しザラつかせることで、塗料や接着剤がしっかり食いつき、密着力が大幅に向上します。
- 塗装前処理
- 仕上がりが長持ちし、塗膜剥がれを防止
- メッキ前処理
- メッキのムラを防ぎ、均一な仕上がりに
- 接着前処理
- 接着剤とのなじみが良くなり、接合部の強度アップ
👉 特に、自動車部品や機械部品の量産工程では欠かせない工程です。
③ 装飾・意匠加工
サンドブラストは、ただのクリーニングや下地処理だけではありません。
ガラスやアクリルといった素材に模様を刻み込み、デザイン加工にも活用されています。
- ガラス彫刻
- ロゴや文字、模様を入れて装飾品や看板に利用
- マット仕上げ
- 光沢を抑えた落ち着いた見た目にできる
- デザイン加工
- インテリアや工芸品にも応用可能
👉 工業用途だけでなく、工芸やデザイン分野でも広く利用されているのがサンドブラストの特徴です。
サンドブラストの用途は大きく分けて、
- サビ・塗膜の除去
- 下地処理(塗装・メッキ・接着の密着性向上)
- 装飾・意匠加工(マット調仕上げや模様加工)
の3つです。

単なるクリーニング技術にとどまらず、品質向上からデザイン性まで幅広く活躍する技術であることを覚えておくと理解しやすいでしょう。
サンドブラストとショットブラストの違い
「サンドブラスト」とよく比較されるのが「ショットブラスト」です。
どちらも表面処理技術ですが、使う材料や目的が異なります。
項目 | サンドブラスト | ショットブラスト |
---|---|---|
使用材 | 砂・ガラスビーズなど微細な粒子 | スチールショット グリットなど金属粒子 |
加工方式 | 圧縮空気で研磨材を吹き付け | 機械的に遠心力で投射 |
主な目的 | サビ落とし、塗装前処理、デザイン加工 | 黒皮やスケールの除去 表面強化(ショットピーニング) |
特徴 | 仕上げが細かく、 マット調加工やデザイン性に優れる | 大面積を効率的に処理 強度アップ効果も期待できる |
適用対象 | 金属・ガラス・樹脂など幅広い素材 | 主に金属部品や構造材 |
👉 まとめると
- サンドブラスト=「繊細な仕上げやデザインに向く」
- ショットブラスト=「強力で効率的な表面処理や強度アップに向く」
と覚えておくと分かりやすいです。
まとめ
サンドブラストは、「表面をきれいにする」「密着性を高める」「デザイン仕上げを行う」といった幅広い用途に使える表面処理方法です。
特に、金属のサビ落としや塗装前の下地処理、さらにはガラス工芸まで応用されるなど、産業からデザインまで活躍の場があります。
ただし、粉じん対策や仕上がりの粗さに注意が必要です。
用途に応じた研磨材を選ぶことで、最適な仕上がりが得られるでしょう。
初心者の方は、まずは「サビ落としや下地処理に便利な方法」として覚えておくと理解しやすいですよ。
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