ショットブラストとは?仕組み・目的をわかりやすく解説

表面処理・熱処理

金属加工や機械部品の製造現場でよく使われる「ショットブラスト」。
名前は聞いたことがあっても、具体的にどんな処理なのかイメージしづらい方も多いのではないでしょうか?

本記事では、ショットブラストの仕組み・目的・特徴を初心者でもわかりやすく解説し、酸洗いや研磨との違いについても紹介します。


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ショットブラストとは?

ショットブラストとは、金属の表面に小さな鋼球(ショット)や砂状の研磨材を高速で吹き付ける処理方法です。
ブラスト(blast)=「吹き付ける」という意味の通り、エアーや遠心力で研磨材をぶつけて表面を加工します。

はじめ
はじめ

簡単にいうと「金属表面を砂や鋼球で勢いよく叩いてきれいにする方法」です。


ショットブラストの主な目的

① スケール(黒皮)やサビの除去

鉄鋼材料は製造過程で高温にさらされるため、表面に「スケール(黒皮)」と呼ばれる酸化被膜が形成されます。
この黒皮は非常に硬く、通常の研磨や洗浄では簡単に取り除けません。
また、長期間放置した鋼材や鋳物部品にはサビが発生し、表面処理や塗装の密着性を妨げてしまいます。

ショットブラストを用いることで、これらのスケールやサビを効率的かつ均一に除去できます。
その結果、部品の表面が清浄化され、後工程の塗装やメッキ、溶接などの品質を大幅に向上させることができます。

② 塗装や溶射の下地処理

表面を少し粗くすることで、塗装や溶射の密着性を高められます。

③ 表面の強化(ショットピーニング効果)

金属表面に圧縮応力を与え、疲労強度を高める効果があります。
特に自動車部品や航空機部品に活用されます。

④ 見た目の改善

表面を均一に整え、光沢を抑えたマットな仕上がりにできます。


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ショットブラストの特徴をわかりやすく解説

金属加工の現場でよく使われる「ショットブラスト」。
鋼球や砂状の研磨材を勢いよく吹き付けることで、表面をきれいにしたり強度を高めたりできる処理方法です。

ここでは、ショットブラストの特徴(メリットと注意点)をわかりやすく解説します。


ショットブラストの特徴(メリット)

① 薬液を使わず環境にやさしい

酸洗いのように薬品を使わない。
物理的に表面を処理するため、廃液処理などの環境負荷が少ないのが大きな利点です。

② 複雑な形状の部品にも対応できる

小さな粒子を吹き付けるため、穴あき部品や凹凸の多い形状でも均一に処理できます。
鋳造品や鍛造品など、複雑な部品に特に有効です。

③ 下地処理と表面強化を同時にできる

塗装やメッキの前に行うと密着性が高まり、剥がれにくくなります。
さらに「ショットピーニング効果」により、金属表面に圧縮応力が加わり、疲労強度もアップします。

ポイント

  • 表面処理と同時に強度アップが可能!
  • 塗装やメッキ前の下地処理として最適

ショットブラストの注意点(デメリット)

① 騒音や粉じんが発生する

ショットを勢いよく吹き付けるため、大きな音と粉じんが発生します。
実際の現場では、集じん機や防音設備の設置が必須です。

② 鏡面仕上げには向かない

ショットで叩くことで表面が細かく荒れるため、光沢を出したい用途や鏡面仕上げには不向きです。
仕上げが必要な場合は、ブラスト後に研磨を行うのが一般的です。

⚠️ 注意

  • 騒音対策や粉じん対策が必要
  • 仕上げの見た目を重視する場合は不向き

ショットブラストは、

  • 環境にやさしく
  • 複雑な形状の部品にも使え
  • 下地処理と強度向上を同時に実現できる

というメリットを持っています。

一方で、騒音や粉じん対策が必要で、鏡面仕上げには適さないといった注意点もあります。
用途や仕上げの目的に応じて、酸洗いや研磨と使い分けるのが大切です。

酸洗いや研磨との違い

  • 酸洗い
    • 薬液で表面を化学的に処理
    • 均一にスケール除去できるが、強度向上は期待できない
  • ショットブラスト
    • 物理的に粒子を衝突させる
    • 下地処理+強度向上が可能
  • 研磨
    • 砥石やバフで仕上げ
    • 光沢や平滑な仕上がりを得るのに最適
はじめ
はじめ

酸洗いは「化学的にきれいにする」
ショットブラストは「物理的に叩いてきれいに&強くする」
研磨は「見た目を美しく仕上げる」という違いがあります。


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まとめ

ショットブラストは、

  • スケールやサビを落とせる
  • 塗装や溶射の下地処理に有効
  • 表面強化(疲労強度アップ)が可能

    というメリットを持つ表面処理方法です。

酸洗いや研磨と比較して、「強度も兼ね備えた下地処理」というのが最大の特徴です。
機械設計や製造現場で部品の寿命や品質を向上させるために欠かせない技術のひとつといえるでしょう。



はじめ
はじめ

設計において欠かせない材料の特性や用途を解説しています。
適材適所の選定をサポートします。

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