ねじが緩むのはなぜ?締結と振動のメカニズムをやさしく解説

機械要素

ねじは、機械や構造物をしっかりと固定するために欠かせない重要な部品です。
しかし、一度締めたからといって安心していると危険です。
振動・熱変化・時間の経過などによって、ねじは少しずつ緩んでいく可能性があります。

見た目ではわかりづらいこの“緩み”が、機械のガタつきや故障、事故の原因になることも。
本記事では、ねじが緩む原因や、その対策について初心者にもわかりやすく解説します。


ねじの締結は「バネ力」で成り立っている!

ねじを締めると、ボルトが伸びて、バネのような力(軸力)が発生します。
この軸力が、部品同士を押し付ける力(締結力)となり、部品が動かないように固定されているのです。

👉 ポイント

ねじ締結=バネ力(軸力)で部品を押さえ込んでいる!


なぜ振動で緩むの?

振動や衝撃が加わると、次のようなことが起こります。

🚫 部品同士が微小にズレる(微動)
 → 締めたときの摩擦力が減少

🚫 ねじ山同士がわずかに回転方向に滑る
 → 少しずつ緩む

🚫 ねじ軸の戻り弾性が働いて回転を助ける
 → ねじ自体が回ってしまう

このように、微小なズレや振動が積み重なって、徐々に緩みが進行します。


こんなときは特に緩みやすい!

  • 回転体など、常に振動している部品の固定
  • 高速で往復運動するシリンダーの取付部
  • 高温になる環境での熱膨張・収縮の繰り返し

緩みを防ぐには?

以下のような対策が効果的です。

🔹 スプリングワッシャーや平座金の使用
 → 摩擦力を増やして緩みを抑制

座金についての関連記事はこちら

🔹 緩み止めナット(二重ナット・Uナットなど)
 → 回転を抑える構造

ナットについての関連記事はこちら

🔹 ねじロック剤の使用(中強度・高強度など)
 → 化学的に固定

🔹 座面やねじ部に「ゆるみ止め機構」を採用
 → 例:セレート座金、偏心ワッシャーなど


✅ ねじの締結は「バネ力」で成り立っている
✅ 振動によって摩擦が減少し、ねじが回って緩んでしまう
✅ 緩みを防ぐには摩擦力の維持回転防止構造が大切!

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ねじの緩み対策に「合いマーク」が効果的!

~視覚で確認できる簡単・便利な緩み防止手法~

機械を長く安全に使うためには、「ねじが緩んでいないか」を定期的にチェックすることがとても大切です。
その中で、誰でも簡単にできて、非常に効果的な方法

合いマーク(マーキング)です!


合いマークとは?

合いマークとは、ねじと固定対象物にまたがって線を引くことで、
「ねじが動いたかどうか」を一目で判断できるようにする方法です。

▶ ボルトの頭と周囲の部品をマジックやペンで線で結ぶ
▶ 線がズレていたら、ねじが回転=緩んでいる証拠!


合いマークのメリット

目視で簡単に緩みを発見できる!
 👉 点検がスピーディに。工具不要で確認OK。

誰でもできる・コストがかからない!
 👉 マジック1本あればすぐに導入可能。

作業ミスや締め忘れの防止にも効果的!
 👉 初期締め後に合いマークをしておくと、後で「ちゃんと締めたか?」が明確に。


合いマークが特に有効なシーン

  • 振動の多い機械設備(コンプレッサー、モーター、搬送装置など)
  • 安全に直結する部品の締結部(ブレーキ、リミットスイッチの取付など)
  • 定期点検が必要な現場(生産ライン、建設機械など)

合いマークをするときのポイント

🔸 耐油性・耐水性のあるペンを使う
 👉 油や水で消えないように!

🔸 マーキング位置を工夫する
 👉 線がずれたらすぐ分かるよう、視認性の高い場所に!

🔸 定期的な点検時にマーク更新
 👉 メンテナンスのたびに塗り直すのも◎


▶ 締結不良の早期発見・事故防止につながる!
▶ 合いマークはねじの緩みを「見える化」する方法です
▶ 誰でもすぐにできて、点検作業の効率アップ!

はじめ
はじめ

ねじは「締めて終わり」ではなく、「締めた後の管理」も大切です。
ぜひ、合いマークを活用して、ねじの緩みを未然に防ぎましょう!


ねじの緩み対策は「定期的な増し締め」がカギ!

~目には見えない緩みを防いで、トラブルを未然に防止~

機械や設備で使われているねじは、一度締めたら終わりではありません。
振動・熱膨張・時間経過など、さまざまな要因で知らないうちに緩んでしまうことがあります。
そのため、定期的に「増し締め」を行うことが重要です!


「増し締め」とは?

増し締めとは、すでに締結されているねじに対して、
もう一度トルクをかけて締め直す作業のことです。

▶ 緩みかけたねじを早期に再固定できる
▶ 締結力を維持して、部品の脱落やガタつきを防げる


なぜねじは緩むのか?

ねじは、見た目はしっかり締まっていても、
次のような要因で徐々に緩んでいきます

🔹 振動(回転機器・搬送装置など)
🔹 熱変化(膨張・収縮によるトルクの低下)
🔹 樹脂やゴムなど相手材のヘタリ
🔹 締結面の馴染み(クリープ)で初期のトルクが落ちる

これらは時間とともに自然に進行するため、定期点検が必要不可欠なのです。


増し締めのタイミングは?

📌 機械導入後の初期増し締め(慣らし後)
 👉 初めて運転して数時間〜数日後に一度チェック!

📌 定期点検(週1、月1、年1など使用頻度に応じて)
 👉 点検スケジュールをルール化して実施

📌 異音・振動・ガタつきを感じたときはすぐに!
 👉 異常の前兆かも。即確認を!


増し締め時の注意点

トルクレンチで適正トルクを守る

 🚫 締めすぎも破損やネジ山潰れの原因に!

ナットや座面の状態もチェック

 🚫 ワッシャーの摩耗やサビも緩みの原因

緩み止めの確認も同時に!

 🚫 スプリングワッシャー、ゆるみ止め剤、合いマークなどの併用が◎


▶ ねじは振動や経年で知らないうちに緩む
定期的な増し締めで緩みを防止し、事故を未然に防ぐ!
▶ トルク管理や点検ルールを徹底しよう


はじめ
はじめ

機械トラブルの原因は、「たった1本のねじの緩み」から起こることも。
ぜひ、定期的な増し締めを習慣にして、安全・安心な運用を心がけましょう!


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まとめ

ねじの緩みは、小さな兆候に見えても大きなトラブルの原因となります。
特に、振動の多い装置や温度変化のある環境では注意が必要です。

緩みのメカニズムを理解し、合いマークによる目視点検定期的な増し締めなどの対策を行うことで、
機械の信頼性と安全性を大きく向上させることができます。

ねじは「締めたら終わり」ではなく、「締めた後こそ大切」。
トラブルを未然に防ぐためにも、日頃からの点検・メンテナンスを心がけましょう!



はじめ
はじめ

ボルトやナット、軸受け、ギアといった基本的な要素部品の機能と選び方を詳しく紹介します

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