【耐荷重】台形ねじの特性と選定ポイント【ねじ山角度】

機械要素

台形ねじは、回転運動を直線運動に変換するねじの一種であり、
高い耐荷重性と自己ロック性を持つことが特徴です。

ボールねじと比較して構造がシンプルで、コストも低いため、
多くの機械装置に採用されています。

本記事では、台形ねじの特性と選定ポイントについて詳しく解説します。


スポンサーリンク

台形ねじとは?

台形ねじは、ねじ山の断面が台形状になっている送りねじの一種です。

ボールねじと異なり、転がりではなく滑り摩擦を利用して動作するため、
部品点数が少なくシンプルな構造になっています。

主な用途

  • 工作機械の送り機構(フライス盤、旋盤など)
  • 昇降装置(ジャッキ、リフター)
  • バルブの開閉機構
  • 成形機やプレス機の駆動部

台形ねじの特性

高い耐荷重性

台形ねじは、ねじ山の接触面積が大きいため、
高い荷重を受け止めることが可能です。

そのため、重量物の昇降やプレス機など、
高荷重がかかる用途で使用されます。

自己ロック性がある

台形ねじは、ねじ山の摩擦が大きいため、
外部からの力で逆転しにくいという特徴があります。

ボールねじのようにブレーキやロック機構を追加しなくても
位置を保持することが可能です。

ただし、リード角が大きくなると
自己ロック性が低下するため、注意が必要です。

シンプルで低コスト

構造がシンプルで製造コストが低いため、
コスト重視の設計に適しています。

ボールねじのようにボールが摩耗することがないため、
メンテナンスが容易であることもメリットの一つです。

効率は低め

台形ねじは、滑り摩擦によって駆動するため、
エネルギー損失が大きく、伝達効率はボールねじよりも低いです。

そのため、高速での精密な位置決めが必要な場合には、ボールねじが適しています。


スポンサーリンク

台形ねじの選定ポイント

リードとねじ径の選定

リード(1回転あたりの移動距離)が小さいほど、
送り速度は遅くなるが、荷重支持能力が高くなる

ねじ径が大きいほど強度が増すが、
必要以上に大きくするとコストが増加するため、適切なバランスが必要。

材質の選定

SCM材(クロムモリブデン鋼)S45C(炭素鋼)が一般的。
ステンレス製(SUS304)は耐食性が必要な環境で使用される。

ブロンズや樹脂製ナットを組み合わせることで、耐摩耗性や静音性を向上できる。

ねじナットの種類

  • 一般的な金属ナット
    (耐久性が高いが摩擦が大きい)
  • 樹脂ナット
    (軽量で静音性に優れるが耐荷重が低い)
  • ブロンズナット
    (耐摩耗性が高く、長寿命)

逆転防止(自己ロック性)の有無

逆転を防ぎたい場合は、
リード角が小さいものを選ぶ。

逆転を防げない場合は、
補助ブレーキやロック機構を追加する。


台形ねじの高い耐荷重性とは?わかりやすく解説!

台形ねじは、工作機械や昇降装置などの
大きな荷重を支える機構に広く使用されています。

その理由の一つが、高い耐荷重性です。

では、なぜ台形ねじは他のねじに比べて耐荷重性が高いのでしょうか?
本項では、台形ねじの耐荷重性の秘密を詳しく解説していきます。


台形ねじの耐荷重性が高い理由

台形ねじが高い荷重に耐えられるのは、主に以下の3つの理由によります。

ねじ山の形状が広く接触するため

台形ねじは、ねじ山の断面が台形になっており、
ねじ山の接触面積が広くなっています。

これにより、荷重を分散させることができ、
1か所にかかる負担を減らせるため、高荷重に耐えられます。

  • 比較:台形ねじ vs ボールねじ
ねじの種類接触面積耐荷重性
台形ねじ広い(ねじ山全体で支える)高い
ボールねじ点接触(ボールが荷重を分担)中程度

ボールねじは、ボールが転がることで高効率ですが、
荷重を点で支えるため、耐荷重性は台形ねじほど高くありません。

一方、台形ねじは広い面で支えるため、
大きな荷重に適しています。


滑り摩擦による自己ロック効果があるため

台形ねじは、ねじ山同士が滑り摩擦によってかみ合う構造です。

このため、荷重がかかっても逆回転しにくく、
自己ロック性を持っています。

自己ロック性があるとどうなる?

  • 外部からの力で勝手に動くことがない
  • 大きな荷重を保持しやすい(昇降装置やリフターなどに最適)
  • ブレーキ装置が不要な場合もある
はじめ
はじめ

ボールねじの場合、
転がり摩擦のため自己ロック性がなく、
ブレーキや保持機構が必要です。

一方、台形ねじは摩擦が高いため、
重い荷重でも逆回転しにくく、安全性が向上します。


ねじ山の角度が浅く、力を分散しやすいため

台形ねじのねじ山角度は
29°(インチ規格)または30°(メートル規格)と、
比較的浅い角度になっています。

この角度により、軸方向の力(ねじの進行方向の力)を、
より広い面積に分散することができます。

ねじの種類ねじ山角度耐荷重性
台形ねじ29°~30°高い
ボールねじ45°~60°中程度

ねじ山角度が小さいと、
力がねじ全体に均等にかかり、耐荷重性が向上します。

これにより、
台形ねじは長期間にわたって高い荷重を支えることが可能です。


台形ねじの耐荷重性が求められる用途

台形ねじは、以下のような高い耐荷重が必要な機械や装置に使われます。

昇降装置(リフター、ジャッキ)

重い荷物を持ち上げる機構には、
自己ロック性と耐荷重性が必須

台形ねじなら、
外部の力がなくても重力で勝手に落ちることがない

産業機械の送りねじ

高い荷重をかけながら動かす
(例:旋盤やフライス盤)

ボールねじでは負担が大きすぎる場面でも
台形ねじなら対応可能

金型の位置調整機構

高精度な位置決めが必要な場面で使用
重い金型を支えるために耐荷重性が求められる


スポンサーリンク

台形ねじの耐荷重性を最大限に活かす選定ポイント

ねじの直径を適切に選ぶ

太いねじほど耐荷重性が高くなる
一般的な目安として、必要な荷重に応じたねじ径を選定

材質を選ぶ(強度が重要!)

材質特徴
SS400一般的な鋼材でコストが低いが強度は中程度
S45C炭素鋼で、耐荷重性が高くなる
SCM440クロムモリブデン鋼で、高強度・高耐久

高荷重用途には、S45CやSCM440などの強度の高い材料が適しています。

ねじピッチを選ぶ(細かいピッチほど荷重分散しやすい)

  • ピッチが大きい(粗い)
    → 送り速度は速いが、耐荷重性は低い
  • ピッチが小さい(細かい)
    → 送り速度は遅いが、耐荷重性が高い

台形ねじの耐荷重性のポイント

広いねじ山の接触面積で高荷重に耐えられる
自己ロック性があるため、重力で逆転しにくい
ねじ山角度が浅いため、荷重を分散しやすい
昇降装置、産業機械、金型調整などの高荷重用途に最適
ねじ径、材質、ピッチの選定が耐荷重性を左右する

はじめ
はじめ

台形ねじは、高荷重を支えるための最適な機構として、
多くの産業で活躍しています。
用途に合わせた適切な選定を行い、
最も効率的な設計を目指しましょう!

台形ねじの角度とは? わかりやすく解説!

台形ねじは、工作機械や昇降装置などで使われる送りねじの一種で、
ねじ山の断面が台形になっているのが特徴です。

台形ねじにはねじ山の角度があり、
この角度がねじの性能や用途に大きく関わります。

本項では、台形ねじの角度について、詳しく解説していきます。


台形ねじの角度とは?

台形ねじのねじ山の側面の角度(ねじ山角度)は、
一般的に 29°(インチ規格) または 30°(メートル規格) です。

この角度は、ねじの摩擦特性や強度、ねじ込みやすさに影響を与えます。

規格ねじ山角度主な用途
メートル台形ねじ30°ヨーロッパやアジア圏の機械
インチ台形ねじ29°アメリカ規格、工作機械

ねじ山角度が台形ねじに与える影響

摩擦力と効率

角度が大きいほど摩擦力が減り、効率が上がる(ただし耐荷重が減る)
角度が小さいほど自己ロック性が高まり、逆転しにくくなる

耐荷重性

角度が小さい(29°や30°)と、ねじ山の接触面積が広がり、
高い荷重を受け止めやすい

角度が大きいとねじ山が細くなるため、耐荷重が低下

ねじの加工性

29°や30°の角度は比較的加工しやすく、
コストを抑えながら製造可能

角度がさらに大きいと、
ねじ山が細かくなり、加工が難しくなる

ねじ込みやすさ

角度が大きいほどねじ込みがスムーズになるが、自己ロック性が下がる
角度が小さいと逆転防止に優れるが、ねじ込みにはより大きな力が必要


角度による選定ポイント

角度が小さい台形ねじを選ぶ場合(自己ロック性重視)

  • 工作機械の送りねじ
  • 昇降装置やリフター
  • ブレーキなしで停止させたい機構
  • バックラッシュ(ガタ)を抑えたい場合

角度が大きい台形ねじを選ぶ場合(効率重視)

  • 高速で動かしたい送りねじ
  • エネルギー効率を上げたい設計
  • 摩擦を減らして長寿命化したい場合

台形ねじのねじ山角度は 29°(インチ)または30°(メートル)
角度が小さいほど自己ロック性が高く、耐荷重性が向上
角度が大きいほど摩擦が減り、ねじ込みやすいが逆転しやすい
用途に応じて最適なねじ角度を選定することが重要!

はじめ
はじめ

台形ねじを選ぶ際には、
ねじ山角度がどのように影響するのかを理解し、
用途に応じた適切なねじを選定しましょう!

スポンサーリンク

台形ねじとボールねじの使い分け

項目台形ねじボールねじ
耐荷重性高い中程度
自己ロック性あり(リード角による)なし(逆転防止が必要)
コスト低い高い
伝達効率低い(滑り摩擦)高い(転がり摩擦)
メンテナンス少ない定期的なグリス補充が必要
精密な位置決め不向き向いている
高速動作不向き向いている

ボールねじと台形ねじの使い分けについての関連記事はこちら

まとめ

台形ねじは、高い耐荷重性と自己ロック性を持ち、
構造がシンプルで低コストというメリットがあります。

一方で、ボールねじに比べると伝達効率が低く、
高速動作や精密な位置決めには不向きです。

設計時には、用途や荷重、必要な送り速度、コストを考慮して
適切なねじを選定することが重要です。

特に、低速で高荷重を支える用途では台形ねじが有効な選択肢となります。


はじめ
はじめ

ボルトやナット、軸受け、ギアといった
基本的な要素部品の機能と選び方を
詳しく紹介します。

コメント

タイトルとURLをコピーしました